実家に行くとサイネリアが咲いていました。
フランツ フォン シュトック オルフェウス
カミーユ・コロー ウリディスを導くオルフェ
の交響詩「オルフェウス」1853-1854年は、リスト4番目の交響詩です。
紀元前450年のギリシャの壺。
シネラリアは北アフリカ原産18世紀、イギリスで交雑され世界に輸出されました。
耐寒性があり、寒い時期に咲く花として日本でも普及しました。
日本ではシネラリアという名前が死に通じるということでサイネリアに改名されました。
セネッティという品種だそうです。
こういう忌み言葉は使用を憚られる言葉、穢れのことです。
穢れ…不浄な状態は共同体に異常をもたらすとされます。
古来は死、病気、出産、性交、女性、怪我、排泄を不浄とします。
他にも共同体以外の人、特定の身分の人、特定の職業の人、身体の一部を不浄とすることもあります。
穢れを払う
として宗教的儀式や民間信仰儀式、習慣が行われることがあります。
日本書紀のイザナギ、イザナミの神話も死と出産、女性の穢れのお話しともとれます。
女性が男性よりも先に口を聞いたことで災いがふりかかり
火の神を産んだことでイザナミは亡くなります。
イザナミの死を認めたくないイザナギが黄泉の国に探しに行くと、「黄泉の国のものを食べたので戻れません。」とイザナミは言い、「決して見ないでいると帰れるので待ってください。」と言います。
イザナギは待ち疲れイザナミの姿を見てしまいます。
その姿はうじ虫に食われ、身体には雷神が座っています。
イザナギはその姿に恐れをなし、黄泉の国から逃げることになります。
これは女性が先に口を聞いたこと、忌み言葉から発した不幸で、出産、死、女性を忌むものとして何百年も決定づけた物語です。
ヨーロッパでは「オルフェオとエウリディーチェ」の物語があります。
オルフェオは音楽の力を持つギリシャの英雄で黄泉の国に亡くなった妻エウリディーチェを探しに行きます。
この物語は、古代ギリシャに発しましたが、長くヨーロッパで支持され何度も再話され、音楽にもなっています。
1600年記録に残る最古のオペラ「エウリデュケ」ヤコポ ペリ(1561- 1633年)教皇領ローマ生まれ、トスカーナ大公国フィレンツェ没
1602年 ジュリア カッシーニ エウリデュケ
1607年 モンテヴェルディ オルフェオ はじめのこの主題の傑作
1690年 ルイ リュリ オルフェウス (テレマン一部再演)
1726年 テレマン オペラ オルフェウス
1761年 グルック オルフェオとエウリディーチェ
1791年 ヨーゼフ ハイドンアニマ デル フィロソファ オルフェオとエウリディーチェ
1853年 リスト 交響詩 オルフェオ
フランツ フォン シュトック オルフェウス
1858年 オッフェンバック 地獄のオルフェウス
1907年から1916年ドビュッシー未完成のプロジェクト
1913年ジャン デュカスとルビーシュタインによるオルフェオ
1925年 ダリウス・ミヨー オルフェの魔法
1947年 ストラヴィンスキー バレエ音楽 オルフェウス
カミーユ・コロー ウリディスを導くオルフェ
主な作曲家のものだけ書き出してみましたが、この物語は他にもたくさん残されています。
物語の結末は、悲劇とは限らず、振り返ってしまったものの、その勇気に神に赦されてエウリディーチェが生き還るハッピーエンドのものまで様々です。
フランツ・リスト(1811-1886年)オーストリア帝国ドボルヤーン生まれ、ドイツ帝国バイエルン王国バイロイト没
の交響詩「オルフェウス」1853-1854年は、リスト4番目の交響詩です。
ヴァイマールの宮廷歌劇場でグルックのオペラ「オルフェウスとエウリディーチェ」を見て、その序奏の音楽として作ろうとしました。
リストはいろいろな文献や資料に当たりましたが、インスピレーションをルーブル美術館にあったエトルリアの壺から受けたと言っています。
その壺には優雅でほっそりした指で竪琴を弾くオルフェウスの姿が描かれていたそうです。
紀元前450年のギリシャの壺。
ルーブル美術館のものは見つけられませんでしたが、たぶんこんな感じ。