
ゴーベールの音楽にはモネの絵が似合います。
私は、特にソナティネの2楽章など、合うと思っています。
モネは1840年~1926年、ゴーベールは1870年~1941年二人が活躍していた時期は大体だぶっています。「ノクターンとアレグロスケルツァンド」「バラード」などが、よく演奏されて有名ですが、「ソナティネ」が作られたのは1937年頃でかなりゴーベールのスタイルが完成されていた時期です。
モネは「光の画家」と言われ、特にジヴェルニーに家と庭を造ってからは、そこをほとんど出ずに、朝の光の中の睡蓮、昼の光りの睡蓮と言う風に、庭の花と光りの移ろいを描き続けました。
時代の空気と言うものがあると思いますが、2つの世界大戦の中、戦いとは別の次元にあるものを追いかけ続けた二人に共通するものは、優しい和やかな空気感と、何にでもある枠組みというもののない世界。
睡蓮の花と水は現実の世界では色が混じると言うことは起こらない。起こらないけれど、光と時と言うものを通して移ろっていくものとすれば、この世の世界のものはすべて共通して、はかない夢のようなものとも言えるかもしれない。
この枠と言うものが、ゴーベールの音楽でいえば、従来一つか二つの転調で済ましてきた音楽の枠組みは、はっきりせず、少しの間にどんどん動いていき、その動くことで、音楽が変化し、光の移ろいのように微妙に変化していく感じが表現されていきます。
国家と言う枠、民族と言う枠をはっきり定め、対立を深め、所属する団体のために力強く、猛々しいことを是とされ、戦いを推し進めていった時代の方向性への、彼らの寡黙な抵抗だったような気がします。
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