ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「あしたの少女」、あなたの見えないまなざしを私は見ている!

2024-05-25 16:47:36 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆☆

2022年・第23回東京フィルメックスのコンペティション部門で審査員特別賞を受賞。

PG12

高校生のソヒ(キム・シウン)は、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され、実習生として働き始める。
しかし、会社は顧客の解約を阻止するために従業員同士の競争をあおり、契約書で保証された成果給も支払おうとしなかった。
そんなある日、指導役の若い男性チーム長が自殺したことにショックを受けたソヒは、自らも孤立して神経をすり減らしていく。
やがて、凍てつく真冬の貯水池でソヒの遺体が発見され、捜査を担当する刑事・ユジン(ペ・ドゥナ)は、彼女を自死へと追いやった会社の労働環境を調べ、いくつもの根深い問題をはらんだ真実に迫っていくのだった…

前半は、主人公である少女の主観的目線。後半は、その死の真相を追う刑事の目線から、韓国社会の歪んだ構造を客観的に描いている。

全てが競争にさらされ、ランキングによってインセンティブが支払われる社会は、資本主義社会そのものの矛盾をそのまま照らしている。全てをお金でジャッジすることは、極めて合理的でわかりやすいが、この映画の主人公のような残酷な立場へと追い込まれることを想定していない。企業も学校も家族も、それぞれが合理的なことをしようとしているのにうまくいかない。まさに「合成の誤謬」ともいうべき現実がここで突きつけられる。

 

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「コンクリート・ユートピア」、狂気が目覚める!

2024-05-22 17:02:40 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆★

「韓国のアカデミー賞」と称される第59回大鐘賞映画祭で作品賞ほか6冠に輝いたほか、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表作品にも選出された、韓国映画界において2023年を代表する1本となった本作。

描かれるのは、極限状態に陥った人々の末路。世界規模の大災害によってソウルで残った1棟のマンションを舞台に、生き残りをかけた選択が想像も絶する闘乱を引き起こす。元凶となる代表に祭り上げられた一人の男。猛威を振るう、その男の狂気。ラストに待ち受けるのは、光か、闇か。

破滅的で地域を横断した大地震を考えればいいのか、恐怖のディザスター映画のオープニングで、それだけで絶句。ソウルのマンション群がすべて破壊・横転し、唯一無傷で残ったのが皇宮マンション。

住民代表となったのは902号室に住む職業不明の冴えない男ヨンタクで、彼は権力者として君臨するうちに次第に狂気をあらわにしていく。そんなヨンタクに傾倒していくミンソンと、不信感を抱く妻ミョンファ。やがてヨンタクの支配が頂点に達した時、思いもよらない争いが幕を開ける。

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「人生は、美しい」、初恋の人に会いたい!

2024-05-15 20:31:48 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆★

リュ・スンリョンとヨム・ジョンアが初共演し、余命わずかな女性とその夫の旅をポップな音楽に乗せて描いたロードムービー。

初恋の人に逢いたい――。余命2か月と宣告された主婦の最後の願い。ラスト10分、あたたかい涙に包まれること必至の優しい感動作!

典型的な亭主関白の夫・ジンボンと、思春期真っただ中の生意気盛りな息子と娘。
そんな家族に時にうんざりしながらも、健気に尽くしてきた平凡な専業主婦のセヨン。だがある日、自分の命が残りわずかと知らされる。
突然の余命宣告に激しく動揺したのも束の間、何かが吹っ切れたセヨンは、自身のおそらく最後となる誕生日に、学生時代の初恋相手との再会を熱望。
よりによって彼を一緒に探してほしいと夫に頼み込み、夫婦の奇妙な最後の旅が始まる。木浦から東灘を経由して釜山に。さらに清州から、小さな島=甫吉島へ……。
初恋相手を探す韓国横断の旅は、いつしか夫婦のドラマチックな出会い、激しい恋の日々、はしゃいだ新婚旅行など、甘い記憶を呼び覚ましていく…。

余命という暗くなりそうなテーマに、ミュージカルというアクティブな要素を加えて、初恋の人へまっしぐら。

前半コミカル、後半に泣かせのポイントを用意するという流れも秀逸。

 

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「ハント(2022) HUNT」、世界を欺く!

2024-04-28 16:39:51 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆★

「イカゲーム」で主人公を演じたイ・ジョンジェが脚本を手がけて自らメガホンを取った監督デビュー作で、20年来の友人でもあるチョン・ウソンとともにダブル主演も務めたスパイアクション。

舞台は1980年代の韓国。安全企画部(旧中央情報部=KCIA)の海外班長パクと国内班長キムが、組織内に入り込んだ“北”のスパイを探し出す任務を任される。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるかもしれない状況で、大統領暗殺計画を知り、巨大な陰謀に巻き込まれていく。4年を費やしたという緻密に練られたシナリオで、高まっていく緊張感とスピーディーな展開に、冒頭から最後まで目が離せない。

光州事件やラングーン爆破事件を巧みに脚色し、歴史ものの重みを感じさせる。

軍事政権については、現代は否定的であり、それが背景にある。

アメリカでの事件から、日本へ、そしてラストのミャンマー事件まで、緊迫感あふれる描写は飽きさせない。

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「トンソン荘事件の記録」、韓国震撼!

2024-04-17 16:55:53 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆★

猟奇殺人事件の一部始終を記録したビデオに映った“あるもの”を追って取材班が調査する姿をフェイクドキュメンタリー形式で描き、韓国でスマッシュヒットを記録したホラー映画。

1992年、釜山の旅館「トンソン荘」で殺人事件が起きた。旅館のアルバイトの男が恋人を連れ込み、隠しカメラで部屋の様子を撮影。しかし男は部屋で恋人を殺害してしまう。殺害の一部始終が収められたビデオはその残虐性から封印されたが、検事の間で話題になったのは殺害の様子ではなく、部屋の鏡に映っていたそこにいるはずのない何かの姿。取材班は真相を突き止めるべく調査を開始。その様子を記録映画として撮影するが―。

青年の素性を調べるべくトンソン荘の主人に取材をする過程でさらに87年に起きた一家惨殺事件へとたどり着く。その事件の主犯が鏡に映った青年であり、彼は何かを訴えようとしていたのではないかと調べていくと・・・という展開。

恐怖が倍加するわけではなく、グダグダ感が増すだけで、映画は迷走する。カメラ主観のドラマだから、観客はついてくるはず、という思い込みで、過去の呪われたゾーンに着き進んでしまった感じがする。

 

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「極限境界線 救出までの18日間」、23名の命は彼らに託された!

2024-04-12 16:34:54 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆★

ファン・ジョンミンとヒョンビンが初共演し、タリバンの人質となった韓国人を救出するためアフガニスタンへ飛んだ外交官と現地の工作員が繰り広げる決死の交渉作戦の行方を、実在の事件をもとに描いたサスペンスドラマ。

当然ながら、政府の交渉なんて極秘事項であり、一般に公開されることはない。

2007年。アフガニスタンの砂漠で韓国人23名がタリバンに拉致される事件が起きた。タリバンは24時間以内に韓国軍の撤退と収監中の仲間23名の釈放を要求。韓国政府が交渉役として現地に派遣したエリート外交官チョン・ジェホは、アフガニスタン外務省に釈放を要請するが拒絶されてしまう。情報員も動き出し、工作員パク・デシクがアフガニスタンのフィクサーと交渉するも決裂。チョンとパクは人質を救うため、不本意ながらも手を組むことになるが……。

迫るタイムリミット、身代金狙いの詐欺師、国民より国家ファーストの政府―2人が命をかけた最後の交渉とは?

一旦、チョンジェホは、交渉役を解除されるが、人質の映像を目にし、交渉を決意、通訳を連れて単身タリバンに乗り込み、交渉を続ける。

地味な作風ながら、緊迫感はさすが、両主役の活躍がみもの。

 

 

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「デシベル」、騒ぐな危険!

2024-04-11 20:21:07 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆

サスペンス映画好き ☆☆☆★

音声に反応する爆弾が仕掛けられたのはサッカースタジアム、巨大ウォーターパーク、公園にカフェなど人が多くて爆弾が作動しやすく爆発したら被害が甚大な場所。犯人の動機は過去に起こった潜水艦事故にあった…

潜水艦の沈没事故がある。
船員の半分は死んだのだが、生き残った船員が爆弾テロに狙われて、というストーリー。

音に反応するというのがみそ。

潜水艦で死んだ半分の船員は、救助までに酸素が無くなるために、クジで人減らしで決めたもの。生き残った者たちも苦しい選択。
犯人は副長への逆恨みとなる。

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「PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ」、暗殺作戦を企てるスパイ、幽霊は誰だ!

2024-04-04 21:40:53 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆

スパイ映画好き ☆☆☆★

1930年代のソウルで繰り広げられる諜報合戦を緊張感たっぷりに活写したスパイアクション。

1933年。日本統治下の京城では、抗日組織“黒色団”のスパイ“ユリョン”が暗躍していた。

疑いをかけられたのは、保安情報受信係監督官の村山、暗号記録係のチャギョン、政務総監秘書の佑璃子、暗号解読係長のウノの4人。たった1日という限られた時間の中、仲間のために暗殺作戦を成功させなければならないユリョンと、自分にかけられた疑いを晴らそうとする者たちの心理合戦と死闘が幕を開ける。

韓国の女性スパイを描いたアクション作品。

韓国の俳優が、日本語で演技をするが、どうしても韓国なまりで鼻につく。

後半は、アクションも多く、見どころがある。

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「狎鴎亭(アックジョン)スターダム」、今度のマブリーは、ビューティビジネスに殴り込み!

2024-04-03 19:55:43 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆☆

マ・ドンソクが製作・主演を務め、人生崖っぷちの2人の男がタッグを組んで美容整形業界の頂点を目指す姿を描いたコメディドラマ。

タイトルの狎鴎亭(アックジョン)は、ソウル江南地区の美容外科クリニックがひしめきあう狎鴎亭(アックジョン)。今や世界中の有名人やセレブまでもが施術を受けるためにやってくる。

狎鴎亭(アックジョン)で生まれ育ち、何を生業にしているか誰も知らないけれど、住民達のあらゆることに精通しコネを持つ狎鴎亭の“主〈ぬし〉”テグク(マ・ドンソク)。
弟分扱いをしているヤクザまがいの実業家テチョン(チェ・ビョンモ)が美容整形ビジネスを始めるために、手を組もうと勧誘している天才美容整形外科医ジウ(チョン・ギョンホ)がかつての同級生の弟で、何者かによって騙され医師免許を剥奪された上に借金も抱えていることを知る。
ジウの技術と容姿を活かした画期的な美容整形ビジネスのアイデアが閃いたテグクは、テチョンを出し抜いてあの手この手でジウを口説き落とし、テグクとジウはかつてない手術システムと宣伝方法で新しい時代を切り開く。しかし莫大な利益をめぐって、様々な思惑がふたりの周囲に渦巻いていた-。

うさん臭い人間が次々と登場して、主人公二人も友情と裏切りの間を行ったり来たりする。ただし、やはりマ・ドンソク作品で重量級アクションがあまり見られないのはなんだか寂しい感じ。

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「スペシャル・エージェント 特殊工作員」、必ず殺る!

2024-03-29 16:44:29 | 韓国映画

おすすめ度 ☆☆

アクション映画好き ☆☆★

必ず殺る! 観る者すべてを血しぶき吹き荒れる極限の戦場へ誘う、没入型バイオレンス・アクション!

韓国国家情報院所属だったウォンチョルは鑑別所に収監された娘を救う為に国からのある命令を受け入れる。それは韓国から北朝鮮に拉致され、大量殺戮を可能とする生物兵器の開発を強要されている科学者、通称VIPの暗殺。一人国境を越えたウォンチョルだがVIPもまた彼と同じく娘を人質同様にされた立場と知る。悩んだウォンチョルが下した決断はVIPと共に逃げる事。しかし想像を絶する残酷な追っ手との死闘が待ち受けていた。

南北の首相会談が実現、更には地雷原での戦いという特殊な背景により、重火器が制限された両国の特殊部隊は残酷極まる殺人術、ナイフ術で敵を迎え撃つ。

韓国と北朝鮮の兵士部隊のナイフ戦作品。ほとんどのシーンは山の斜面で、グサグサとやり合います。

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