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おすすめ度 ☆☆☆★
NHK BS プレミアム 鑑賞 1983年製作 スペイン・フランス合作
内戦の苦悩を内に秘める父と、彼を静かに見つめる娘を静謐なタッチで描く。ビクトル・エリセの、『ミツバチのささやき』に続く10年ぶりの第2作。
この映画は、素晴らしい映像美の中で静かに淡々とストーリーが進む。劇的なシーンもないが、悲劇は起こる。主人公の少女の目線で語られる物語のようで、激情も激しい悲しみも表現されないが、心の奥に秘められた感情は十分に観る者を感動させる。
語り手は少女だが、主人公は父親。父親には失った恋人や帰らない故郷があるわけだが、語り手の少女にとってそれははっきり掴めないものであり、見る側にも掴めないぼんやりしたものとして提示される。けれど、その父親がもっている大きな暗い穴のような喪失感は映画全体の基調になっている。美しい映像だが甘くはない、重さを感じる作品。
フランコ政権のスペイン。北と南の断絶。
少女が主人公だけに、謎めいている。美しい風景も物語!
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