1996年より地下鉄直通用の6000系の車体が更なる軽量化を目指してステンレスからアルミに設計変更され、それらの実績から西武鉄道の新形式はアルミ車体を採用する方向性が定まりました。そして当時多数が残存していた101系初期車置き換えと池袋線中村橋〜練馬高野台間の複々線化完成に伴う列車増発で自社線専用の通勤車両を計画する事になり、1999年より20000系が登場しました。
設計に当たり「シンプル&クリーン」のコンセプトを掲げた本形式は日立製作所が開発した次世代アルミ合金車両システム・A-trainに基づいて製造された車両で、これは1999年10月に登場したJR九州815系に次いで2例目、民鉄では初の採用でした。特徴的な前頭部は普通鋼製で構体とは別に製造し後にボルトで結合する構造ですが、この工法は2004年登場の東武50000系グループにも同様の手法が用いられています。
10両編成では通常の密着式連結器を装着していますが、8両編成では20152F以降奥に引っ込んだタイプ(20151Fは通常仕様にカバーを被せている)になりました。これは先頭車全長が若干長くなっている為、ホーム有効長がギリギリの駅に停車した際尖った部分が踏切にはみ出さないようにする為の措置で、先頭車の外観から編成両数を見分けるポイントでもあります。2019年より前照灯のLED化が開始され印象が変わりましたが、現在は全編成に波及しました。
白い化粧板に青い座席の組み合わせで清潔感のある車内。片持ち式座席は初採用になりました。写真は1次車の車内ですが、4次車から7人掛け部分を3-4で仕切るスタンションポールを設置、5次車からは更に内装が見直され、ポールを2本に増設の上で袖仕切りを大型化するなど、バリアフリー面の充実が年度毎に図られています。
車内案内表示装置はオーソドックスなLED1段表示で、全ドア上に設置されチャイムも併設されています。
近年は銀河鉄道999列車や埼玉西武ライオンズラッピング車L-trainに起用されるなど、華やかな役回りが多く注目された20000系ですが、登場に至るまでの背景はなかなか画期的で、日本のみならず海外にも勢力を拡大する日立製標準車両の嚆矢的存在でもありました。今後も長く活躍すると思いますが、経年20年を超えつつある今は最新形式に準じたリニューアルにも期待したいですね。