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株に勝つための遺伝子はあるのか?

2005-06-11 21:29:35 | 行動ファイナンス理論など
今、「心を生み出す遺伝子」というゲアリー・マーカスという人が書いた本を読んでいる。まだ、三分の一ほど読み残しているが、これまでのところで出色だったのは、次のような箇所である。
少々長いが引用する。

「どんな遺伝的プロセスも何らかの種類のシグナルをきっかけとする。細胞にとっては、どこからシグナルが来るかは関係ない。たとえば、シナプスを調整せよというカスケードを始めるシグナルは、内側から来ても外側から来てもかまわない。細胞内の指示に基づいてシナプスを調整するのに用いられるのと同じ遺伝子が、細胞外の指示にも再利用されることがある。

この小さな事実の帰結は膨大である。次のように言っても大きな誇張にはならないだろう。これが、地球上に知的生命が生じた謎を解く一つの鍵-もしかしたら唯一の鍵-なのだ。動物が学習できるのは、外界での経験に基づいて自らの神経系を改変しうるからである。そして、動物がそのように出来る理由は、経験それ自体が遺伝子の発現を変えうるからである。

遺伝子の役割は、単に新生児の脳と体を作るだけではなく、絶えず変わり続ける世界にうまく対応できるだけの柔軟性を持った有機体を作り出すことである。誕生の瞬間までにとどまらず生涯を通じて遺伝子は重要な役割を担う。遺伝子との一生の関わりの中でもとりわけ重要なのが、遺伝子によって学習が可能になるという点だ。」

これまでは、遺伝子についての本を読むと、設計図とか青写真といった喩えで説明されているものが多いが、そうではなく、遺伝子とは、「経験それ自体が遺伝子の発現を変えうるからである」との表現にみられるように、環境との相互作用をするのみならず、遺伝子同士も柔軟に相互作用をしている。それを導くレシピのようなもの、といった方が正しいようである。本書では、IF-THENとの表現で説明されているが、「もしXXXならば、その時は、ZZZZをすること」といった単純な約束事から、細胞レベルのプロセス、つまり分裂、分化、移動、予定された細胞死、の4つの活動が引き起こされているのである。

もちろん、表題にあるような単一の遺伝子がある訳がないことは、この本を読めば誰でも分かることである。しかも、このような仕組みは何も人間に限ったことではなく、微少な生命体、何と細菌までもが、同じ仕組みを持っていることが、数々の研究からも立証されているようだ。

つまり、株式投資にこの考え方をあてはめると、勝つという目標(人体では生きるという目標)のためには、日々の経験から如何に学習するかにかかっているようである。人(だけでなくすべての生き物は)は学習するように遺伝子によって作られているのである。

そこで改めて、何を学習したかを、毎日の経験の中から自分の言葉で探り出すこと、そしてできることなら、遺伝子の発現の仕方を変えていくことを、恐れ多くも、このブログの1つの目標としたいと思っているところである。

最後に、単なる知識問題。人の体は、生化学者の間では、C.HOPKiNS CaFe との語呂合わせで記憶されているそうである。すなわち、炭素、水素、酸素、リン、カリウム、窒素、硫黄、カルシウム、そして鉄である。 実に単純な元素の組合せから、かくも複雑怪奇な生き物をよくも宇宙は生み出したものである。
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