株に出会う

独自開発のテクニカル指標で株式市場の先行きを読む!

薄気味悪い心地良さ

2006-01-02 22:57:24 | 株に出会う
元日の日経の論調は予想通り、景気回復、デフレ脱却の明るい話一辺倒でした。ところが、12月31日の日経11面の「大機小機」というコラムに、このブログと同じタイトルの一文が掲載されておりました。ご覧になっていない方のために、その内容をご紹介します。

1.年初来40%の株価の上昇は、長期金利の低位安定と想定外の円安に支えられた持続性の怪しい僥倖相場の疑いをぬぐいえない。

2.米国のトリプル高(ドル高、株高、金利低下)はITによる生産性革命とグローバル化で説明される。住宅バブルが象徴する金融をテコにした旺盛な国内需要を背景に、企業の高い収益力が世界の貯蓄を引き寄せ、新興諸国の低賃金労働力が物価のアンカーとなる。

3.米国を最終消費地、中国を中間生産地として循環する世界経済の拡大不均衡は、いずれドル安と過剰生産力の調整を避けて通れない問題先送りにすぎず、この成長循環は永久運動機関のだまし絵に見える。

4.日本に視線を戻せば、企業の3つの過剰と金融の不良債権処理はほぼ片づき、持ち合い解消で株式市場は生まれ変わった。しかし単なる自助努力の成果ではなく、政府が民間債務を肩代わりした結果である。株式市場のリスクが債券市場にシフトしたのであり、PKO(政府の株価維持策)に相当する異常な金融政策は家計から企業への所得移転を促し、最大の債務者の政府の財政破綻を覆い隠すものだ。

5.政府が日銀を執拗にけん制するのは、財政問題のみならず、日本発の過剰流動性の終えんが米国を通じて世界経済を縮小させる影響を危惧するからではないのか。そうだとすれば、金融政策の正常化さえ出来ない異常な環境の下での株高は、ぜい弱な構造によって立つあだ花の可能性を否定できない。

慎重な言い回しになっておりますが、日経といえども良識ある論者はいるものです。そして、そのような論調はこっそりとこうしたコラムによって吐露されるようですね。デフレからインフレ(場合によってはハイパーインフレ)へと移行するときは、一時的な景気回復が見られるといいます。ちょうど、五右衛門風呂を下から焚きつけている時、最初はうす寒く感じた湯の温度も、ほどよく焚き立つうちにちょうど良い湯加減になります。今がその時です。しかし、その後は徐々に過熱感を増し、いてもたってもいられない熱湯へと転じます。これが国民全員が不幸に陥るハイパーインフレですね。

2007年問題というのは、団塊の世代の引退が始まり本格的な人口減少社会が到来するというだけではありません。金利高騰により財政破綻が顕在化するとされる時期でもあります。あと1年です。今年が好況を謳歌する最後の時期かも知れません。

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