団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

どんなに深く愛し合っている男女にも、最後には必ず別れと、残された者には「ひとり」が待っている。

2013-11-22 08:26:04 | 日記
10月の中日新聞夕刊に「往復書簡」というタイトルで小説家の小手鞠(こてまり)るいさんとノンフィクション作家の梯(かけはし)久美子さんが手紙をやりとりする形でつづるリレーエッセーが載っていましたので投稿しましたが、今週も小手鞠(こてまり)るいさんが梯(かけはし)久美子さんに書簡を書かれていたので、そのことで投稿します。

タイトルは必ず待っている「ひとり」です。


梯久美子さんへ

私たち夫婦が、久美子さんの「たったひとつの希望の星」になり得ているなんて、身に余る光栄です。調子に乗って書いてしまえば、私の発言・・・・「ますます夫が好きになる」の威力は、その後も衰えるどころか増すばかりなので、天国のやなせ先生といっしょに、安心していてね。
京都の書店で出会ったときには二十代だった私と夫も、共に五十代を迎えましたが、倦怠期なんてどこ吹く風で、私はいまだに、夫が家を留守しているときなど、会いたくてたまらない恋人を思うようにして、彼の帰宅を待ちわびている始末です。
三十年も経った今も、恋愛感情は冷めていません。
 その一方で、私は昔から、シングルライフに人一倍、強いあこがれを抱いてきました。久美子さんのように凛然と、ひとりで美しく生きていけたらどんなに素敵だろうなって。
仲のいい夫婦だからこそ乗り越えられない、悲しみや苦難に見舞われることもあって、そんなときには、ああひとりだったらよかったのにと、思うこともなきにしもあらず。でも私は生来、異常なまでの寂しがり屋なので、ひとり暮らしというものに耐えられない。だからこうして、結婚制度のお世話になっているわけです。
 結婚してよかったかどうかがわかるまでには、本当に長い年月がかかります。大恋愛がうまくいくとは限らないし、子どもはかすがいにならないことが多いみたいだし、懸命に努力しても、壊れてしまう結婚もある。私も一度は失敗して、大泣きしていますしね。
 以前のお手紙に「ひとりで老いていきたい」と、久美子さんは書いていました。潔いその言葉を読んだとき、私は思わず胸に手を当てていました。どんなに深く愛し合っている男女にも、最後には必ず別れと、残された者には「ひとり」が待っている。そう思うと、今、私の胸のなかに在るこの幸せは、あなたが書いてくれた通り、私にとっても希望の星。
いつ消えてしまうかわからない、儚い光ではあるけれど。
                                         小手鞠るいより

当たり前のことを書かれていますが、心に響くお手紙だと思いました。

If You Go Away by Scott Walker
コメント (8)
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