中日新聞の「中日春秋」に下記の事が書かれていました。
中日春秋
2024年7月21日
<夕ぐれの時はよい時。/かぎりなくやさしいひと時。>。
堀口大学の詩「夕ぐれの時はよい時」の夕暮れは穏やかで、懐かしい。
若い人にとって夕暮れは希望のひと時だと詩は教える。
そして、老い、<青春の夢とほく/失ひはてた人々>には<それはやさしい思ひ出のひと時、/それは過ぎ去つた夢の酩酊(めいてい)、(中略)/なつかしい移り香>であると。
<やさしい思ひ出>に誘われてしまうのか。
「夕暮れ症候群」という言葉がある。
アルツハイマー型認知症の方が夕暮れ時に混乱しやすく落ち着きがなくなることをいう。
「家に帰りたい」と出ていってしまう人もいる。自分の家にいらっしゃるにもかかわらずである。
絶対にたどり着けぬ家を探しに出かけるのは一説では「親への固執」という症状と関係がある。必ずしも親と住んだ家を探しているわけではないそうだ。
認知症によって暮らしの中でうまくできないことが増え、本人は不安になっている。
このため、かつて自分を守ってくれた親の家のような「心から安心できる場所」を求めて外出してしまう。
昨年届け出のあった認知症の行方不明者は延べ約1万9千人。
ほとんどの方がほどなく保護されるとはいえ、発見が遅れれば命にかかわる。
確実に保護する仕組みを整えると同時に認知症の方を心から安心させる方法を見つけだしたい。<やさしい思ひ出>の代わりに。
以上です。
私は認知症だけにはなりたくないと思っていますが、こればっかりは防ぎ用がないように思えます。
アルツハイマーに効くという薬が市販されたようですが、効果のほどは?
早く成果の出る薬が生まれるといいですが。
うちの父親は、認知症になりました。
遠くから訪ねて来た旧友の話をしますが、実際は来られていません。
本人の願望か、昔訪ねて来られたことがあったのでしょうか?
足の丈夫な認知症患者は始末におえないと言いますが、ある日の夕暮れうちの父親もどこかへ行ってしまいました。
どうやら道路で寝転んでいたようです。
車の運転手さんが気づいて、本人の生きたいという街に連れて行ってくれたそうです。
昔商売をしていた街ですので、本人は行きたかったでしょうね。
商売が繁盛していて、本人の一番良い時代の街でした。
そこで商店のウィンドウの前で座り込んでいると、昔の父親を知っている店主さんがその日は泊めてくださいました。
父親にとっては、良い時代の思い出がいっぱい蘇ったのでは。
特養でバイトした事がありますが、60代前半で認知症になって入居されていた人もいらっしゃいました。
見た感じ、認知症を患っているなんて分からない人もいらっしゃいました。
よくどこかへ行ってしまう入居者の方には、携帯電話をズボンのポケットに忍ばせてありますが、本人が気づいて捨ててしまうこともあり、行方が分からなくなる事があります。
介護士さん達は、大騒ぎです。
見かけた方からの電話で、早く見つかることもあります。
見つからなかったら、事故などに巻き込まれたり、行方不明になったりしますので施設側も大変です。
私の親しかった入居者は、よく喫茶店で見つかりました。
ご本人が、コーヒー好きだったので。苦笑
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