2月22日、聖徳太子御忌にめぐる形となった神仏霊場巡拝の道。朝護孫子寺、法隆寺、中宮寺といういずれも聖徳太子に縁がある寺院を回ることができた(これに気づいたのは最後に法隆寺を後にする時だったのだが)。
JR法隆寺駅に移動した時点で夕方となり、この日の札所めぐりはおしまいとする。翌23日、まずは廣瀬大社に向かうことにして、大和路線の列車で王寺に移動する。この日は王寺で一泊である。
コインロッカーに預けた荷物の引き取りも兼ねて、駅隣接の商業施設「リーベル王寺」に立ち寄る。書店ではさすが地元ということで聖徳太子、飛鳥、平城京関連の書籍を扱うコーナーがある。その一方で、下のフロアでは北海道物産展をやっており、珍しいので自分土産として何品か購入する。奈良を訪れた土産が北海道産品というのもそれはそれで・・。
王寺駅の自由通路を通って駅の南側に出る。この日の宿は東横イン。これまで乗り換えで駅前に降り立ったことはあったが、宿泊となると初めてである。
玄関では犬の像とダルマ像が出迎える。まず犬のほうは、王寺町のキャラクター「雪丸」である。モデルとなった雪丸とは聖徳太子の愛犬で、人の言葉を解し、お経を唱えることもできたという。王寺町にある達磨寺に葬られたとある。
そしてダルマ。聖徳太子の伝説の一つに、飢えた人を助けるというのがあるが、この飢えた人というのが達磨大師の化身だったという説がある。この説から建てられたのが達磨寺だが、現在において達磨・・ダルマさんは必勝祈願、合格祈願になくてはならないものである。ちょうど受験シーズンの中ということもあり、王寺駅近辺では達磨寺、雪丸、ダルマさんで受験生を応援しているところだ。王寺駅の改札口や「リーベル王寺」の入口にも合格祈願のダルマさんが安置されていた。
チェックインして窓の外を見ると、王寺駅の構内が広がっている。ホームというより留置線側だが、引退間近の201系の姿も見える。特に指定したわけではないが、このところ、宿泊した部屋の窓から駅構内や鉄道の走行風景を見る機会が増えているように思う。ちょうど大阪に向かう特急「まほろば」も見ることができた。
さて、初めて王寺での一献である。駅の南口近辺もそれなりに居酒屋が広がっており、その中で訪ねたのが「ネオ居酒屋 なかい屋」。このところ「ネオ居酒屋」「ネオ大衆酒場」と「ネオ」を冠した店が増えているそうだ。昔ながらの大衆酒場の雰囲気、そこに新しいアレンジを加えたところが「ネオ」の意味だという。
店じたいも最近の開業のようだし、内装も明るい。カウンターに陣取ったが、土曜の夜ということもあってか、窓側、壁側を見ると若い客層が楽しく飲食している。そこに、予約の女子会グループも入って来る。この日がたまたまそうだったのかわからないが、私のようなおっさんのほうが少数派である。
「ネオ」とはいうが、メニューを見ると昔ながらの居酒屋一品料理もずらり並ぶ。定番メニューがラミネートの両面にあるうえ、本日のおすすめ1枚の都合3ページ。
こうした客を迎え入れる店員も若いが、このご時世らしく東南アジア系の人が多い。注文を取りに来た外国人店員の一人はまだ日本語じたいにも慣れていないようだが、このメニューを見て大丈夫かなと思う。それでもメニューの文字を指さして口頭で言うと通じたようだ。
これは「ネオ」とは関係ないだろうが、生け簀も設けている。刺身の盛り合わせを注文すると、そのうちの一品に生け簀からの車エビがあった。他のネタも鮮度は悪くなかったが、さすがに車エビは頭一つ抜けていた。
そしてこれも生け簀からのアワビ。小さいとはいえ、刺身か丸焼きを選ぶことができてこちらは丸焼きを選択。海のない奈良県で車エビとアワビを同時に味わえるとは。
大衆酒場メニューとして明太子だし巻き玉子。また飲み物も大衆酒場らしくチューハイ、そして宝焼酎に店名を冠した「なかい屋ハイボール」などで楽しむ。
店員に敬意を表するわけではないが、「ベトナム風春巻き」を注文。ここで気にする人が気にする「風」の一文字・・(広島にもそうした「気にする人が気にする」食べ物がありますな)。私の頭の中では、ベトナムの春巻き=生春巻きというイメージがあったが、出てきたのは揚げた一品。かといって中の具材は中国のものとは違うような気もするし・・まあ、美味かったのでいいでしょう。
締めは「三輪そうめんのペペロンチーノ」。いや、こちらのほうが問題でしょう。ただ実食すると、これは「あり」である。何なら自宅での食事でも、そうめん(三輪でも揖保でも小豆島でもどこでもいいが)を茹でて、そこにコンビニでも売っているペペロンチーノのソースをかけても成り立つ。これは「ネオ」だな。