9月20日の9時36分、岡谷の駅前を出発。・・・と早速駅前の交差点で信号に引っかかる。
飯田線の554M列車と豊橋まで競争しようというこのチャレンジ。手持ちの小型時刻表を見ると主な駅の発車時刻は、岡谷9時36分、辰野9時52分、伊那市10時27分、駒ヶ根10時52分、飯田12時03分到着19分発、天竜峡12時49分、中部天竜14時09分、本長篠14時57分、新城15時17分、豊川15時43分、そして終点豊橋が15時54分着というもの。天竜峡まではほぼ飯田線と並走するが、天竜峡から愛知県に入った東栄あたりまでの、ちょうど飯田線の「秘境駅」が並ぶゾーンでは国道は離れる。さてどういうことになるか。途中有料道路は使わず、走行もムチャに飛ばすのではなくあくまで「道路の流れ」に乗ること、途中昼食はちゃんととることというのがルール。
岡谷では多少出遅れたものの、その後の県道は順調に走る。辰野駅近くに差し掛かったところで9時52分と、列車が5分ほど停車するそのすきに追いつく。
ここで初めて飯田線の踏切を渡る。正確に言えば辰野から南が飯田線ということになり、ここからが本当の競争である。
ローカルな区間ともなれば信号の数も減り、また順調に進む。飯田までの伊那谷は中央自動車道も通るルートで、地形から見ても開ける要素というのはある。鉄道ファンならどうしても中央線が走る木曽谷がメインとイメージするのだが・・・。
伊那市に入る。この辺りから天竜川が近づいてくる。ここで国道から少し脇に入り、伊那市駅へ。せっかくなので駅舎の写真を撮る。ここで10時23分と、列車を4分リードする。
伊那市の駅前商店街を抜け、そのままの脇道を走る。また線路が近づいてきたなと思ったら、そこは下島駅。ホーム1本切りの小さな駅である。
ここでカンカンカン・・・という踏切の音。10時32分ということで、ここであの豊橋行きがやってくる。ここはせっかくなので列車の写真を撮ることにする。列車の運転手は、まさかこの男が豊橋まで並走するなどとは思っていないだろう(もっとも、運転手自体飯田辺りで代わるのだろうが)。
さて再び列車が先行することに。中央アルプスと南アルプスを両側に見る駒ヶ根に入る。ただこの辺りは雲が広がっていてアルプスの絶景を見るというまでは行かなかった。大田切駅に列車が停まっているのがチラリと見え、ここでまた逆転である。
田切駅を過ぎた辺りから交通量も少なくなり、また安定した走りを続ける。この辺りの小さな駅に列車が停まっていく中、信号もほとんどない国道を行くマイカーはほとんど停まらずに走る。ここで少しずつ差を広げることにする。
収穫にはまだ早いリンゴ畑が広がる中を過ぎ、飯田の市街地に入る。20分以上差がついたようだ。ということで、国道沿いのラーメン屋に入って昼食とする。
「飯田線との競争」といえば、飯田市街を舞台にした伊那上郷~飯田~下山村のオメガカーブを列車が進む間に、それを自分の足で走って競争するというのが知られている。元々はマンガで取り上げられたネタだったそうだが、私は旅と鉄道の雑誌でこれあるを知った。この「競争」は結構有名なそうで、ネットを見ていると数多くのチャレンジャーが列車との競争に「勝利」していたり、「探偵ナイトスクープ」(私はこの番組は一切観ないのですが)でも取り上げられたとか。
そんなチャレンジャーとは全く別な世界のヒマ人の競争。別に勝ったからどうというものではないが、半分を終えたところでマイカーが大きくリードという展開。さてこれからの山岳・秘境駅区間でどのような展開になるか・・・?