11月24日、この日は尾道の札所めぐりである。天気が下り坂なのが気になるが、前日から予報をこまめに見ていると、雨が降り始める時間が少しずつ後にずれている。帰りは尾道駅前16時02分発の高速バスだが、それまで持ってくれるか。
さて、中国観音霊場の札所として、尾道には第9番の浄土寺、特別霊場の西國寺、第10番の千光寺がある。寺の町でもある尾道にあって、この3ヶ所は観光スポットとしても有名である。私も過去に訪ねたことがあるが、今回は久しぶりのことだし、これまで意識していなかった中国観音霊場の札所として訪ねるとなると、やはり新たな気持ちになる。
この3ヶ所を東から順に訪ねればいいのだが、「尾道七佛めぐり」というのがあるという。上記3ヶ所の他に、海龍寺、大山寺、天寧寺、持光寺の4ヶ所が加わる。七福神めぐりを意識した組み合わせだが、尾道を古寺巡礼をベースとして回ると、自然につながるという。ならば、中国観音霊場めぐりとセットにしよう。七佛めぐりとしての朱印もあるようだ。
この七佛めぐりの案内を見ると、いずれも拝観・納経は9時からとある。普段の札所めぐりの感覚では遅いスタートだが、尾道ではこれがルールなのだろう。ならば、朝はゆっくりできる。
ということで、バイキング形式の朝食を済ませ、チェックアウト後に尾道駅前に出たのは7時半。ようやく曇り空が明るくなったかという頃合いである。まずは、もっとも東にある海龍寺に9時に着くようにのんびり歩けばいい。
目の前は昨日から見ている尾道水道。ふと、渡し船に乗りたくなった。向島まで往復しても時間はある。ちょうどやって来た渡し船に、地元の通学生やサイクリストたちとともに乗り込む。しまなみ海道を自転車で走るコースでも、尾道から向島へは渡し船の利用が推奨されているという。
向島までわずか数分だが、両側の景色は見ごたえがある。運賃は100円。係の人が集金に来る。
海岸線から少し入ったところに到着。向島から尾道本土に向かう人たちが待ちかねたように乗り込んでいく。休日でこうなのだから、平日は尾道~向島ならではのラッシュが繰り広げられるのだろう。本数もピーク時には6~7分おきに1便というのは、鉄道とほぼ変わらない。
今回乗ったのは駅前渡船だが、近くからは福本渡船というのがある。ただし日曜日は全面休み。こうした棲み分けもあるようだ。
再び渡船で尾道駅前に戻り、この後は海岸沿いに歩く。散策コースとしても整備されているので歩きやすいし、写真になるスポットも多い。絵や彫刻も飾られていて、自然の景色を活かした美術館にもなっている。
向島との間にはさらにもう1本の渡し船がある。こちらは乗らずに入港の様子を見る。自転車とともにクルマも降りてきた。
尾道が中世からの優れた港であることをアピールする一角もある。広島県は太平洋戦争にて、広島に原爆が落とされたのを始めとして、各地の港も空襲で壊滅的な被害を受けたが、尾道だけは空襲を免れた。そのおかげで寺や文化財も数多く残された。


