今年の交流戦、オリックス・バファローズは15勝7敗2引き分けという高い勝率(昨年の16勝8敗を上回る勝率)で見事2位という成績。最大で10あった借金も一時は返済するという、まったく「このチームはどないなっとんねん?」というくらいの快進撃を見せた。応援する側として結構愉快なことである。
そんな中で迎えたのが最終カードである中日戦。交流戦では好成績を収めるとはいえ、優勝した昨年も中日には相性が悪かった。そして今季もこれまで苦戦している状況である。
今回は19日の早朝に大阪を出発し、午前中は新規開業の「リニア・鉄道館」に向かう。そちらの見学記はまた別に譲るとして、あおなみ線と地下鉄を乗り継いでナゴヤドームへ。
ナゴヤドーム。ここで「中日ドラゴンズの主催試合」を見るのは初めてである。私の記憶をたどると、これまでナゴヤドームには2回訪れている。一度目は地下鉄のイベントか何かで開放されていた時。中日が優勝した年のオフということもあってか、グラウンドも開放されていた。ベンチに腰かけたり、芝の感触を楽しんでみたり・・・・。グラウンドにいると「どうすればあんな遠くのスタンドまで打球が飛ぶんだろうか?」という気持ちになったものだ。
その次が確かオリックス・ブルーウェーブの主催で西武戦だった。イチローはメジャーに行った後だったかな。彼が愛知出身ということもありナゴヤでも主催試合をやっていた時があったものだ。愛知在住の友人と外野上段で観戦したが、オリックスには応援団もおらず、スタンドもガラガラで「やっぱりパリーグなんだよな」としんみりした記憶がある。
で、中日戦は初めてである。交流戦7年目でようやく機会を得た。前売りで三塁側上段を予約していたが、フェンスかぶりつきである。大正ドームよりはやや高く急に見下ろす感じになる。
試合開始まで辺りを散策。球場に来ると飲食物のコーナーを見るのだが、15時からの試合と言うこともあってか、もう一つ面白味に欠ける。何かこう、名古屋に来たからにゃあこれを食わなきゃいかんでというながあれば…。 結局ビールのアテを買ったが、このイカフライ、「セ界のドアラと世界の山ちゃんのコラボ」らしく、あの手羽先屋の看板の社長?がドアラの着ぐるみを着ているというイラスト。中身もあの手羽先のスパイスが効いていて、なかなかいける味だった。
試合が始まる頃には結構観客も埋まり、レフトスタンドにもバファローズファンの姿が結構見える。ちなみに私の左は小学校低学年くらいのお子さん連れの家族、右にはバファローズファンらしいが時折ブツブツいいながらひたすら携帯でツィッターに励んでいる様子。それに挟まれる飲み鉄モードの私。
試合前のメンバー交換。いや、両監督とも実に輝いて見える。
試合は中日が左腕の川井、オリックスが金子。初回は両投手ともきれいな立ち上がり。
ただ早くも2回に金子が捕まる。中日の4番・和田がライトへ鮮やかな一振り。和田はこの日が誕生日だったようで、それと合わせてスタンドから大きな声援が送られていた。
「わだー、おめでとー!」そう隣で叫んだのは家族連れの男の子。ただこの子、小さいながらも結構熱心で、背番号を見れば控えの選手でもすぐ名前が出てきたり、この後のチャンスやピンチではメガホン使って叫ぶように声援を送る。まあ、それにつられたわけではないが私もバファローズのピンチやチャンスにガラの悪い河内言葉で気合入れにかかったのだが…。
でもまあ、敵地にあって何だか微笑ましい感じで楽しませてもらったのはこの男の子のおかげもある。おそらく家族の楽しみにドラゴンズがあり(どちらかと言えばお母さんのほうが熱心と見えた)、子どもも自分のヒーローのように選手を応援する、こういう家族のためにも、プロの選手には魂のこもったプレーをしてもらいたいものだ。
家族と言えば、ちょうどこの日に横浜で行われていた横浜対ソフトバンク戦に行ってますというメールを受けた。ソフトバンクの猛攻を受け、昨年の球団身売り騒動のことやらまたも最下位に澱んでいることの愚痴やら。そして「娘が飽きてきてます」とのメッセージ。まあこの子のためにも一矢報いてくださいなと返信したら、何とか完封は逃れたようである。やれやれ、こちらの娘さんは大きくなったら果たしてベイスターズのファンになるかどうか。その前にベイスターズが横浜に残っているかどうかは別として・・・。
話はナゴヤに戻るが、隣の男の子の芸が細かいなと思ったのは、オリックスの捕手・鈴木の打席。何とこの後も鈴木の打席の時だけはバファローズ応援団のリードに合わせてメガホン叩き「フミヒロ!」と声援。ははあ、元中日(といっても大分前だぞ)ということで応援しているのかな?
さて試合、金子は和田の一発の後もピンチを迎えるが、川井の強攻が併殺となり何とかしのぐ。その後も、決して本調子とは言えない中、ランナーは許すものの中日に追加点を与えない。
一方の打線も川井から点が取れず重苦しい展開だったが、6回に後藤二塁打、バルディリスの四球でチャンスをつくり、イ・スンヨプの犠牲フライでようやく1対1の同点に追いつく。
投手戦というか拙攻戦というか。七回に「燃えよドラゴンズ」の大合唱。もちろん生で聴くのは初めてで、応援歌としてあまりに有名なので私もしっかり歌わせていただいた。
後は、ドアラのバク転。これもナゴヤドーム名物だがあえなく失敗に終わる。この時はさすがに「オリックスが勝つな」という予感がしていた。ちなみに後日、パフォーマンスの不振という理由で「ドアラの二軍行き」というニュースが出た。マスコットの二軍行きなんて初めて聞いたが、年俸制やら契約更改を行うキャラもいるし、逆に二軍戦の観客誘致の意味もあるのかもしれないな。
両先発が七回まで投げきり、ここからは両チーム自慢の継投に入る。中日は平井、浅尾。そしてオリックスは平野。お互いに譲らず、とうとう延長戦へ。
すでに3時間を過ぎており、3時間半で時間切れということを考えると10回、ひょっとしたら11回まで行くか微妙なところ。 10回表は中田から勝ち越しのチャンスを作るが、代打北川があえなく凡退。
続く裏のマウンドには岸田があがる。この時点では、三人でピシャリと抑えれば11回まで入ることもできるタイミング。そうなれば岩瀬も出ることになるだろう。
先頭の荒木を打ち取り、次は投手のところで代打小池。元横浜のある程度長距離も期待できる選手だが、まあここは無難にしのげるだろう。
・・・そう思っていた初球だった。打球は私の目の前を通過し、レフトスタンドへ。見事な代打サヨナラ本塁打となった。
隣の男の子はもちろんだが、ここまでどこか重苦しそうな中日ファンは大喜び。思わずドッカとシートに座り込んだ私。
まあ負けたのは仕方ない。ただ今年の交流戦、生で2試合観戦だが、前回の広島戦での石原の決勝アーチともども「同点から岸田が被弾して敗戦」という、オリックスからすればとんでもない疫病神みたいな結果になったのは残念。最後はこっそりとドームを後にした・・・。
名駅に戻り、時間あるので新幹線口に近い郷土居酒屋「鶴八」に入る。手羽先やどて煮といった料理をしばし楽しみ、近鉄乗り場へ。
するとどうだろう、結構な数のバファローズファンを見かける。大阪から2時間という距離は、日帰りでも行けるし一泊の遠征で旅気分も味わえるし、なかなか面白い。今夜はバファローズファンのおかげでアーバンライナーも満席に近い乗車だったようだ。
まあ私の観戦はともかくとして、チーム自体は投手の頭数も揃い、打者では坂口が絶好調、T‐岡田も打点で貢献している。24日からのリーグ戦がまたどういう展開になるか、実に楽しみである…。