27日は天気予報が何とか持った感じで富山アルペンスタジアムに現れる。途中で昼食を買い求めたりしたので球場に着いた頃にはちょうどスタメン発表が行われているところであった。
今年人工芝が張り替えられたというアルペンスタジアム。外野スタンドの彼方には立山連峰が屏風のように広がるというロケーション。雲は広がっているものの、朝方に比べれば山の姿も少しではあるが見えるようになってきた。この球場には一度観戦に訪れたことがあるのだが、その時も雲が広がっていて立山の山並みは見えなかったような・・・。
入場する時にアンケートを渡された。中京大学の学生さんの作によるもので、富山サンダーバーズのチームイメージのことやら、観戦スタイル、好きな選手、そして今後BCリーグファンを増やすにはどうすればよいかという質問など多岐に渡っていた。
どこから来たのかという問いには「兵庫県尼崎市」と答えるしかないのだが、それにしても、わざわざ天候を心配しながら、前泊をやってまでこのリーグの観戦に来るヤツってよほど変わっているなと思う。富山ナンバーばかりの駐車場の中に1台神戸ナンバーのクルマを並べるというのも、正直浮いているかな・・・?
BCリーグの地域密着の理念というのは、どこぞの独立リーグとは全く違うもので私個人としては共感できるし、ミキト・AEDプロジェクトなどもリーグの発足を後押しした出来事で社会貢献としてのプロ野球として感心する部分である。ただ、「興行」という点で見れば、いくら県民球団として地元紙が大いに取り上げたとしてもキャパには限度がある。また、リーグを見渡しても球団の「看板スター」選手がいるわけではないし、野球スタイルもどうも小粒になっているように思う(まあ、若い選手の修練の場として個人が目立つことを抑えているという背景はあると思うが)。
だから、リーグのファンを増やそうと思えば、もっと県外、そして北陸・上信越以外の地域の人たちにももっと観てもらう、呼び込めるようなコンテンツが欲しいなとも思うのである。私のように観光や北陸の味めぐりとリンクして試合も観てもらうとか、今年は新潟でNPBのオールスター戦が行われ他地域からの野球ファンも訪れるところから、「前座試合」ではないが「BCリーグのオールスター戦」もあわせてやってみるとか・・・。そんなことの半分くらいをアンケートにしたためる。
さて、雨の予報、そしてリーグでも大きく負け越しているチーム同士の試合(富山は北陸地区最下位)ということもあって、キャパの大きいアルペンスタジアムの空席が余計に目立つ。結局この日の入場者数は668人。このうち信濃ファンは10人くらい。でもまあ、どこぞの独立リーグと比べれば大いに盛況。富山の応援団、ファンの気合も入っている。
先発は富山が崇博(田中)、信濃が杉山という顔ぶれ。両投手とも球速は130キロ代半ばではあるが、球質が重いのか相手打者にいい当たりを出させない。
元オリックス→楽天で信濃打撃コーチ兼任の5番・竜太郎(辻)にも的を絞らせない。
試合が動いたのは4回表。3番・山崎のヒットと竜太郎の死球でニ死1・3塁として6番・瀧本がセンター前にタイムリー。信濃1点先制。
再び1・3塁となり7番・市川の場面で崇博が3塁→1塁に牽制球。ところがこのプレーでボークを宣告され、3塁ランナーが還り2対0となる。この判定に富山・横田久則監督が抗議に出るが判定はそのまま。「塁審、説明せんね」というヤジも飛ぶ。牽制でのボークといえばプレートを外したかどうかとか、足を向ける方向がどうかとかいうものだが、プロの監督がわからないものを素人の私がわかるわけもなく・・・・。だから説明がほしかった。
横田監督がこの後マウンドでハッパをかけたためか崇博も立ち直り、後続を抑える。富山ファンからも暖かい拍手が送られる。
次のヤマは6回表。先頭の2番・五十嵐がセーフティバントを試みる。崇博がダッシュして抑えるが、送球を富山のゴリさんこと一塁・成瀬がはじく。続く山崎が今度は送りバント。それを捕った崇博の一塁送球が高くセーフ。続く4番・今村も送りバントをするが、飛んだところがよく捕った崇博はどこにも投げられず。バント3つで無死満塁という展開に。
ところがここから落ち着いた投球を見せ、竜太郎を空振三振、瀧本をファールフライ、市川をニゴロに抑えて無得点。逆に信濃は畳み掛けることができず。うーん、こういうプレーが両チームとも不振の現れなのかなと思ったりもする。
そういえば、長野のオリスタで2年前だったかの信濃対富山戦で、中盤に両軍続けて5回の満塁のチャンスをつくったにもかかわらず、犠牲フライとか併殺崩れで1点ずつしか取れなかったという試合を観たことがある。こういうところでしっかり打点を挙げられないようではプロを目指す上で苦しいなと思うのだが・・・。蒸し暑い中、より一層けだるさ感が漂う。
そんなムードを吹き飛ばすこの試合一番の当たりが7回表、韓国出身のムヨルの豪快な一発。一瞬、ロッテの金泰均なみの風格を感じた。これで3対0となる。
信濃先発の杉山は的を絞らせない好投を見せ、8回まで富山打線を5安打に抑える。結局富山はチャンスらしいチャンスもないままのゼロ行進。野原(現阪神)、草島、井野口(現群馬)ら好打者を擁したリーグ初年度・2年目の強力打線はどこに行ったのやら。
9回も信濃のリリーフ・飯田に簡単に抑えられて結局4対0。富山は前期最終戦を白星で飾ることができなかった。
試合終了後、選手がグラウンドに整列し、横田監督からのあいさつがあった。鈴木康友監督からバトンタッチして投手コーチから昇格した横田監督も前期は不本意な成績。その分、後期での巻き返しを誓う言葉があった。前後期制、地区プレーオフ、リーグチャンピオンシップとまだまだチャンピオンのチャンスがあるだけに、後期の熱戦に期待したいところである。
試合後のお見送りもあったが、敗戦後ということで握手やサインを求めるのは控えてそのままクルマへ。これからまた北陸道を通って帰宅するのである・・・・。
よくしたもので、高速に乗り西に向かうと途中断続的に強い雨に出会う。試合中も何回かパラッと振ってきたが試合進行には全く支障なく、試合終盤にはお日様まで差し込んできたくらいだった。正に雨師は試合を避けてくれたようなものだった。
金沢西インター近くにナイター照明を見かける。この日、インター近くの石川県営球場では石川ミリオンスターズと福井ミラクルエレファンツの試合。通った時はまだ試合途中だったようだが、結局引き分けに終わり2試合を残して石川の北陸地区優勝が決定。地区では常に安定した成績の石川である。
さて7月からは後期シーズンが始まる。またできるだけ機会を作って訪れてみたいもの。どこぞの独立リーグは選手の野球賭博で存続の危機すらささやかれているが、BCリーグは決してそのようなことのないように、引き続き地域の力になるような熱戦を期待したいものである・・・・。