17日は小矢部での富山対石川の試合観戦後、富山に宿泊。そして18日の朝、前日の観戦記をブログにアップした後にホテルをチェックアウト。今度は安宅の関跡に立ち寄った後、やってきたのは加賀温泉。この日は加賀市中央公園野球場での石川ミリオンスターズ対信濃グランセローズの一戦である。
球場入りまで少し時間があるので、通り道にある片山津温泉に立ち寄る。観光案内板にはこのもう少し先に「北前船の里」というスポットがあるとかで、もう少し時間があればそちらにも行きたかったが、まあそれはいずれの日への楽しみにしておく。せっかく加賀温泉郷に来たのだから、どこかに入浴しておこう。
やってきたのは片山津温泉の公衆浴場である「総湯」。500円でシャンプーやボディーソープも備え付けてある「高等浴場」を選択。ちょうど客は私だけで小ぢんまりした浴室は貸切状態。ホテルの朝風呂を省略したこともありちょうどよい。深い浴槽、結構熱い。水道の蛇口からホースが出ていたのでこれはうめてもいいのだろうと判断し、水を注ぎこむ。心なしか入れるようになったので湯につかる。体にカーッとくる感じだ。飲用もできるということでコップで飲んでみたが、塩辛く感じる。この温泉の成分はナトリウムを含んだ塩化泉という。
短時間の入浴であったが初めての片山津温泉(加賀温泉郷自体が初めての訪問である)体験ということにして、コンビニで昼食やペットボトルなど買い求め、野球場へ。
前日の小矢部と比べてグラウンド、スタンドともに広いが、ナイター設備はない。雲が広がり時折ポツポツと雨も降る天候。風がほとんどなくムシムシする。直射日光が当たるのもかなわないが、こういう蒸し暑さもジワジワと身体に影響してくるような気がする。汗のかき方も嫌な感じだ。
スコアボード。得点は電光掲示であるが選手名のところはポジションだけで名前が表示されない。まあ、手書き式だから新しく作るのも手間だろう。地元の人なら石川が誰、信濃が誰ということもよくご存知のところ、場内アナウンスだと正確に聴き取れないことがあるので、年に1、2試合しか訪れない者としてはやはり選手名鑑は必需品である。
さてBCリーグの試合、特にローカル球場で目立つのは地元の少年野球のチーム。この日は4チームの子どもたちが保護者に連れられてスタンドにやってきたが、いずれも「こんちわー」と周りに挨拶したり、また別のチームがやってきた時はお互いに「こんちわー」とやっている。少年たちにとっては地元の「プロのお兄ちゃん」たちの活躍を見ながら自分たちも勉強する機会である。私の周りに座ったチームの少年たちはミリオンスターズのイヤーブックを手にしており、「この選手知ってる」「オレと同じ背番号だよ」などと言い合っている。
石川といえば結構試合イベントをやるチームだが(いつぞや、「石川はイベントが多いからいつも試合時間が長いんだよ」という、他チームのファンの会話を聞いたことがあるが)、この日はボールボーイも務める片山津の少年野球チームのみんなが試合前にグラウンドで君が代を歌ったり、1回の守備につく際に選手がサインボールを投げ入れたりというくらいで試合開始となる。それにしても、サインボールってなかなかキャッチできるものではない。
さて石川の先発は山崎。初回、信濃の先頭・脇田がいきなり二塁強襲の内野安打を放つと、続くフミヒサにはセンターの頭上を越える二塁打を打たれ、いきなり無死二・三塁のピンチを迎える。ここで3番・今村がセンターへのタイムリーでいきなり先制。
そして今季からコーチ兼任の肩書が取れて選手一本の登録となった元・オリックスの竜太郎がライト前にタイムリー。さすが、BCリーグではモノが違うというところを見せてくれる。この時、一塁走者の今村が三塁を欲張ってタッチアウト。
それでも信濃の攻撃は止まらず、5番・原も二塁打を放ち3点目。6番・ペレスも続く。石川がドミニカ出身で前日も出場していたモタ、ルーゴなら、信濃はペレス、そして9番にはヘルナンデスというベネズエラ出身者が加入している。独立リーグも韓国、ドミニカ、ベネズエラなど国籍も多様で、昨年途中に群馬からオリックスに加入してパワーを披露したカラバイヨのこともあるし、彼らにとっても自分たちの夢をつかむ舞台となっている。まあ、BCにあっては「地域貢献」が最大のテーマなのだが、彼ら外国出身者にそのあたりのところはどのくらい浸透しているのかな。
山崎は後続を何とか抑えたが、初回先頭打者からいきなり6連打で3失点。これは結構重い失点になるだろう。
さてその裏の石川の攻撃。信濃の先発が左腕の三宅ということで、前日と比べて右打者を中心に据えて打順を大幅に組み替えてきた。先頭の佐竹がさっそくレフト前に運び、地元ファンも早くも反撃ムードに期待が高まる。続く戸田がきっちり送り、3番・謝敷(しゃしき)が四球でチャンスを広げる。
4番・敬洋は浅いフライで犠飛にはならなかったが、前日の2番からこの日5番に入った楠本がヤッターマンのテーマ曲に後押しされてタイムリー。1点を返す。
ここで続くのはドミニカ出身のルーゴ。少年野球の子どもたちも中南米出身の選手を見ることはなかなかないとあって食い入るように見ているし、「LUUUU! LUGO!」というプラカードをかかげるファンの人も。私もこういうパワーヒッターは好きなので期待して見る。しかし三宅の前にあえなく凡退し、反撃は1点どまり。
2回以降は山崎も立ち直ったようで、ランナーは許すものの後続をきっちり抑えていく。「やればできるやないか!」少々お酒の入ったお父さんの声援も響く。
3回裏。「一発狙っていけ!」「大きいのなくてもいいよ~」と相反する声援が飛ぶ中で打席に向かう謝敷。軽く振り抜いた打球は一直線でライトスタンドへ。2対3と追い上げる。これには大きな歓声が沸いたが、実はこの前に、四球で出塁した戸田が盗塁失敗ということがあった。結果オーライなのだろうが、それだけに余計にもったいない気もするし、森慎二監督(元西武の抑え)としても「得点は入ったがその前がよくない」ということになるのだろうか。気のせいか謝敷にも笑顔がなかったような。
4回裏、先頭の楠本がセンターへのヒット。ここで登場はルーゴ。鋭いスイングで豪快な打球が飛ぶがいずれもファウル。それでも「こいつは何かやってくれるんではないか」という、やはり外国人打者には期待したくなる何かがある。ここで捕えた一球は見事三塁線を破り、チャンスを広げる二塁打となった。
ここで信濃は先発の三宅をあきらめ、長身の飯田に交代。ところが続く笹沢(前日の試合で自打球を当てながらも気力で全力疾走した石川の捕手)がタイムリー。2者が還って4対3と石川が逆転に成功する。
大いに沸く石川のファンたち。・・・・と、中盤までは立ち直った山崎と少しずつ目覚めた打線の力で逆転したが、その後はパタリと打線が動かなくなる。まるで、この日ほとんど風がなく、バックスクリーンで垂れ下がったままの旗のように。
6回表。2回以降立ち直ったことで勝利投手の権利も得た山崎に代わって登板したのは、何と前日の小矢部での試合にも先発し、序盤と中盤でガラリと異なる投球を見せたモタ。これは調整登板なのか、それとも中継ぎ投手そのものがいないためなのか。この日はまず6回をぴしゃりと抑える。「Animo!」「Vamos!」という掛け声が飛ぶ。
それはそうと、モタ投手、この日は45番をつけていたが、確か前日は「背番号19」で投げていたはず。あれ?これはどういうことだろうか。公式HPでは背番号45となっており、それなら前日はユニフォームを忘れたのか、あるいは日曜バージョン版はまだ用意されておらずに他の選手のを借りざるをえなかったのか。
6回裏、打席にはルーゴ。ところが2ストライクの後、微妙なところに見えたがストライクと判定されて三振。ここで「チョットハズレテマセンカ?」という意味のことを言ったのか、他にどういうことを口にしたのかはわからないが、ルーゴが球審の森山審判に何か話しかけたところ、「退場!」をコールされた。
アナウンスで「審判に対する侮辱行為のため退場とします」と毅然と言い放った森山審判。これには「(ルーゴは)日本語がわからないのにどこが侮辱なの?」「審判、お前が退場じゃ!」などとヤジが。それに対して「ヤジった観客が退場だ!」と言わんばかりにスタンドをにらみつける森山審判。
イニング終了後は森監督も説明を求めるといった感じで歩み寄り、その間に別の審判が割って入るという一幕も。ルーゴが何と言ったかはもちろんわからないが、やはり子どもたちへの悪影響を考慮してか、特にこのリーグは審判への侮辱行為、あるいは他の選手に対する挑発行為には毅然とした態度で臨むという姿勢がある(かつて新潟の主力を張っていたが、試合中の非紳士的行為が子どもたちにも悪影響を与えると問題視されて、事実上BCリーグから永久追放となったNという選手もいる)。
いずれにしても退場となったルーゴに代わって三塁には遠山がつく。続く7回、ヘルナンデスの鋭い打球がその遠山の横を襲い、二塁打。その後二死三塁となり、3番・今村の放った三塁へのゴロを今度は遠山がはじくタイムリーエラー。これで4対4の同点となる。続く竜太郎もセンターオーバーの二塁打(あれは普通に守っていれば捕れたのではないかというファンの声)を放ち、4対5と信濃再逆転。この日もモタが持たなかった。
9回には石川4人目の佐藤から信濃打線が一死一・三塁のチャンスを作り、途中出場の村田がスクイズ。大きなダメ押し点となった。
最終回。5回以降信濃の飯田、中村の継投の前にパーフェクトに抑えられた石川打線。この回抑えの杉山から先頭の楠本が猛打賞となる二塁打を放つ。久しぶりの出塁に沸く三塁側の石川ファン。しかし後続が続かずあっさりとゲームセット。結局4対6、地元石川にとっては苦しい連敗ということになった。
今回の2試合の観戦は石川にとっては連敗という結果(石川の皆さんスンマセン)であったが、富山、石川と地元の人たちの「県民球団にかける熱い想い」というのを感じることができ、訪れてよかったなと思う。楽しみな選手も出てきたことだし、また北陸、今度は上信越方面にも旅行を兼ねて観戦に訪れたいところである。
さてこの後は高速道路へ。加賀から越前は順調に進んだが、若狭へと抜けるあたりから雨が降り出し、滋賀県に入ると先が見通せないくらいの大雨。おまけにこの後は彦根から栗東まで延々と渋滞・・・・。クルマで出かけるのも、なかなか楽なものではないなと思った次第。