5月22日、広島から呉線~山陽線~福塩線と乗り継ぎ、最後は三次からの芸備線である。次の広島行きは17時18分発。首都圏色のキハ47が西日に照らされてまぶしく見える。
もっとも、三次を発車した時の乗客は2両合わせて10人くらいだったか。キハ47の昔ながらのボックス席で、これはこれでゆったりして進む。芸備線の広島~三次間はそれなりの利用客もあるためか、この列車は車掌付きの運行である。またこの先広島までの区間で、福塩線のような「必殺徐行・時速25キロ運転」が行われることもなかった。中国山地のローカル線としてはまだまだ健闘している区間である。
三次の次の西三次で行き違い停車の後、近郊の田園地帯を走る。赤い石州瓦が西日を受けて鮮やかな色合いを出している。これも中国山地ならではの車窓である。
この先、志和口、狩留家でも数分停車。少しずつだが乗客もある。こうしたローカル線の駅だが、いずれも行政では広島市内(安佐北区)ということで、JRの「特定の都市区内ゾーン」の駅となっている。特定の都市区内ゾーンとは、そのゾーン内の中心駅(広島の都市区内でいえば、広島駅)から着駅までの営業キロが201キロ以上ある場合、乗車券は「広島市内発」として、広島発着の営業キロで計算するという規則である。ただし、広島の都市区内ゾーンでの途中下車は不可。
まあ、それだけ広島市の行政区域というのは広いし、さまざまな景色が広がるということだ。
深川地区の3駅(上深川、中深川、下深川)あたりで周囲も近郊区間となる。
広島の一つ手前の矢賀には新幹線の車庫が隣接している。ちょうど列車が停まった横の側線に、N700系の先頭車両が見えた。日常的な光景なのだろうが、私としては初めてである。
広島貨物ターミナル、そしてマツダスタジアムからは少し離れたところを走るが、最後のエンジン音を高らかに響かせて広島に到着。19時14分着。完全に日が暮れてしまう前に着くことができた。
さて、これで観光列車と超閑散ローカル線の福塩線を一度に乗ることができた。中国地方には個性豊かなさまざまな観光列車が走っているが、ちょっと福塩線には似合わないだろう。それだけの地味な線区と言えるが、逆にいえば日本の地方部の平穏な原風景を楽しめるのではないかと思う。そこは大切にしたいものだ・・・。