まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第13回中国観音霊場めぐり~第18番「宗麟寺」

2020年07月31日 | 中国観音霊場

大雨のため急遽レンタカー利用に切り替えた24日、第17番の龍蔵寺から第18番の宗麟寺を目指す。

当初の予定通りなら午前中いっぱいで龍蔵寺から湯田温泉まで戻り、鉄道~バス乗り継ぎで午後のそれなりの時間に宗麟寺に着くところだったが、このままクルマで回ると午前中には2ヶ所とも回り終える。レンタカーの返却時間まで他の寄り道もできてしまう。意外な展開になった。

無料の山口宇部道路の宇部東インターで降りて、山間部の道を走る。鉄道の宇部線は海側をぐるり回っているが、内陸を行く最短ルートである。宗麟寺には北側から到着した。幸い、宇部市街に入ると雨もやんだ。ちなみに公共交通機関だと、宇部新川駅からバスで宗麟寺上に着く。カーナビの案内が悪くて周辺をぐるぐる回った時に見つけたが、バス停は寺の裏手に位置していた。

宗麟寺が開かれたのは奈良時代、唐から来た為光(威光)和尚が、故郷に似た景色を愛でて、松江山(ずんごうざん)普済寺としたのが始まりとされる。松江とは、唐の国では観音菩薩の聖地として崇められていた湖である。鎌倉時代に臨済宗となったようだが、戦国時代にはいったん廃絶された。

再興されたのは江戸時代前期、長州藩の家老で宇部の領主の福原広俊が、父の元俊の菩提寺として建立した。宗麟というのは元俊の法号である。本堂は平成になって再建されたものだ。前日訪ねた第16番の洞春寺と同じように、正面に本堂を見て、左手に観音堂がある。中国観音霊場としては観音堂にてお勤めである。こちらでは雨も上がって、ホッとした気持ちでのお参りである。

さて、宗麟寺は庭園が有名だという。カーナビや道路標識も「宗麟寺庭園」と表記されていた。本堂の裏手に鎌倉時代の作という龍心庭がある。拝観は納経所で受付とあるので声をかける。住職とおぼしき方が何やら仏教のものらしい分厚い本を読んでいた。納経帳を差し出すといったん奥に下がり、マスク姿で出てきた。お互い様というところだろう。この時に庭園の拝観を申し出ると、本堂の横から上がって縁側沿いに裏に進むよう案内される。「案内の『テープ』を流します」とのこと。

そのまま進むと、いきなり「テープ」が流れてきた。おそらく住職本人が自ら語り、自ら「吹き込んだ」ものだろう。宗麟寺の歴史や、この庭園が禅の深淵な真髄を説いていることについて滔々と語っている。こちらも縁側に腰を下ろして「拝聴」する。

庭が造られたのは南北朝の頃で、池の形が「心」の字という。ただ、禅の心を理解するには私にはより一層の精進が必要である。それでも、一度荒廃したにも関わらず、南北朝時代の庭が今に残されていることにはうなるばかりである。宇部というと宇部興産に代表される工業の街のイメージが強かったが、こうしたスポットもある。中国観音霊場めぐりは、中国地方のさまざまな歴史を教えてくれるので私もたくさん学ばせていただいている。最後には納経所に納まっている住職にお辞儀をして寺を後にする。

これでこの日の2ヶ所を回り終えた。当初の公共交通機関利用のプランなら、もう1ヶ所、ときわ公園に行くことにしていたが、レンタカーのため行動範囲は広がっている。

そこで選んだのは、このまま宇部市街を突き抜けて、もう少し西へ。あの終着駅を含めた一帯である・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~第17番「龍蔵寺」

2020年07月30日 | 中国観音霊場

雨の中の出発となった24日。9時前に新山口駅の南口に降り立つ。こちらが新幹線側ということで、駅前にはビジネスホテルや各社レンタカーが目立つ。

今回利用するのはバジェットレンタカー。前夜、天気予報を見て急遽予約を入れた。9時から16時の利用である。おしまいを16時にしたのは、その後に宇部線に乗って宇部新川に向かうから。公共交通機関をベースとしつつも、レンタカーも織りまぜる。そこには当然クルマならではのプラスアルファは期待したい。

軽ということでスズキのワゴンRが出てきた。まだ走行距離が6000キロあまりという新車である。1人で移動するなら十分だ。

これから龍蔵寺に向かうので、ちょうど来た道を戻る格好ではある。一見無駄な動きのようだが、湯田温泉にはそもそもレンタカー店がなかったし、この先の宇部新川の宗麟寺も一緒に回るのでかえって合理的ではないかと思う。

時折強く降ったり、また少し弱くなったり、変わりやすい天気である。この日は夕方までこうした天候に一喜一憂しながら運転することになる。

20分あまりで湯田温泉の手前まで来て、秋芳洞方面に続く県道に入る。バス停のある吉敷はこの辺りで、龍蔵寺へはローソンの角を曲がって山の方向に進む。住宅地も広がっているところで、少しずつ坂が上っていく。これ、レンタサイクルならじわじわと痛めつけられるパターンだ。

そのうちに道も細くなり、山も深くなった。龍蔵寺は道の行き止まりにある。駐車場から雨の中歩く。緑に覆われて秘境感もただよう。山口県最古の名刹とある。

寺の縁起によると、豊後で修行していた役行者が北のほうに瑞雲と光明を見つけて、この地にやってきた。そこの岩窟を「龍の蔵」と名付けて熊野権現を祀ったのが始まりとされる。後に行基が千手観音を祀り、伽藍を築いたという。以後は山岳修行の場として、また大内氏、毛利氏の保護もあったそうだ。

紅葉に覆われた境内は風情があるのだが、いかんせん大雨である。参道横の川も濁流と化している。

石段を上がり、楼門に差し掛かる。すると正面にはロープが張られ、「閉門」の札が出ている。うわっ、雨のために拝顔中止と来たか。

それでも、入山料を納める小箱は門の横に置かれていたし、これは昨日夕方に「閉門」の札を出していたのがそのままになっているのではないかと思う。本当に入山を止めるのなら駐車場に看板を出すのではないかな。

さらに石段を上がった正面に観音堂がある。ともかくお勤めとする。脇には樹齢860年というイチョウの木が立つ。

奥の院「龍の蔵」へ続く山道の案内があるが、とても行けたものではない。

水溜まりができた中を歩き、鼓の滝に向かう。三段になっていて、中央がくびれた形からこの名がついたという。四季折々に美しい景色を見せるとあるのだが、この時は濁流が上から襲いかかろうかという水流だ。四季の風情などと言ってる場合ではなく、下手すれば寺に土砂が流れ込むのではないかとヒヤヒヤする。ここは、早々に引き上げたほうがよさそうだ。

観音堂から楼門への石段の途中に、本堂への通路がある。本堂横の建物が納経所で、電気がついている。寺じたい閉めたわけではないなと思い、インターホンを押す。もしこれで誰も出てこずに、「再度訪問」となったらどうしようかと思ったが、しばらくして女性が姿を見せたのでホッとした。

内心、こんな雨の中に来たおっさんをどう感じているかはわからないが、普通に筆をとって墨書と朱印を押してくれた。どこから来たのかという質問もなく、「お気をつけて」で送られた。

駐車場に戻ると雨が一層強くなった。ともかくここから出る。吉敷までの細道を通るが、途中、雨ガッパがずぶ濡れになりながら自転車を押していた少年とすれ違う。その先では、大阪ナンバーのクルマと離合する。このクルマの主、同じように中国観音霊場めぐりか?

今回は大雨の中で早々に引き上げたが、山口市の寺といえば瑠璃光寺が有名な中で、こうした山岳信仰に由来を持つ寺に来ることができたのは新たな気づきである。夏は森林浴も楽しめそうだ。中国観音霊場の選定にあたり、毛利氏の菩提寺だった洞春寺とは違うカラーを持った龍蔵寺も選ばれているのは、札所めぐりの景色により一層の彩りを与えてくれるのだなと思う。またいつか、雨に降られていない時に奥の院も含めてゆっくり回ってみたい。

カーナビで次の目的地を第18番・宗麟寺にセットして、国道9号線に戻る。そのうち、無料道路の山口宇部道路に入る。県道6号線の一部との扱いだ。こうした道路の存在も、山口市街から宇部に移動するのは今やこうした道路がメインである。龍蔵寺から宗麟寺まではカーナビだと1時間ほどで着くと出る。これが山口線~宇部線、さらに路線バスに乗るかテクテク歩くかと比べると、その差は歴然としている。公共交通機関の移動の不便さも楽しみの一つではあるが・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~湯田温泉

2020年07月29日 | 中国観音霊場

湯田温泉のバス通り沿いにはさまざまなタイプのホテル、旅館が並ぶ。駐車場には広島や北九州、福岡などを中心としたナンバープレートのクルマがずらりと並ぶ。

山口県では県独自の宿泊割引キャンペーンを展開していて、県内の対象宿泊施設で使える5000円分のクーポン券を半額の2500円で発売している。7月17日から山口県民向けに、県内のコンビニで先行発売を始めたところ、あっという間に予定枚数に達したという。また20日からは中国、四国、九州地方のコンビニで発売しているとのことである。他にも、県内と四国、九州向けフェリーの割引クーポンなども同様に発売している。これはGoToトラベルキャンペーンとは別の県独自、あるいは近隣エリア向けの取り組みで、比較的近いところから観光需要を増やそうというものである。GoToと比べて批判的な声はほとんど聞かれないように思う。先にクーポン券を買って、それを利用した施設に対して実積ベースで補填するものだから仕組みもシンプルである。

私もここに来る途中のコンビニで買えば今日明日の適用が受けられたのかはわからないが、今夜の宿については宿泊予約サイトで貯まったポイントを使うし、別にいいかなと思った。

この日泊まるのは「ホテルニュータナカ」。湯田温泉の洋風ホテルとして老舗なのだそうだ。宿泊以外にも宴会、結婚式場として使われることも多いようだが、こうした状況では売上もなかなか厳しいのではないかと思う。

部屋は普通のシングルルーム。まあ、売りは屋上と地下の両方にある大浴場なので、これは後で入ることにして、まずは夕食である。施設内にも和洋のレストランがあるが、ここは外に出る。

向かったのは、ホテルから少し県庁前方面に歩いた「長州酒場 魚有(うおんちゅう)」。先ほどバスの中から見えていた。魚有・・これをよーく見るとある魚になる。そう、マグロ。

その名のとおりマグロが売りの店だが、ここはあまりそれにとらわれずいろいろいただこうと思う。幸いカウンターが空いていた。

さて注文というところ、おしぼり・割り箸とともに、1枚の紙切れを渡される。QRコードが書かれていて、自分のスマホで読み込んで、注文はスマホ画面から行うようにとのこと。これまでタッチパネル方式の店には出会ったが、注文まで自分のスマホで・・というのは初めてだ。元々こうした方式なのか、あるいはコロナ対策で共有物に触れるリスクを避けて新たに編み出したやり方なのか(他の店でもあるのかな)?

もっとも、その日のいくつかのオススメの中から選択する刺身の盛り合わせだけは、紙のメニューを見て口頭での注文となった。日毎に違うとさすがにアプリが追いつかないか。萩港直送というアジ、炙りサワラ、サザエの3種を選択。いずれも身がしっかりしていた。

メインにしたのは長州鶏の唐揚げ。

「魚有」の店だからマグロも頼もうか・・と選んだのは、なめろう。アジやイワシならともかく、マグロをそう調理するのが珍しかったからである。あ、でもネギトロとかあったな。この一品も海苔を巻くと風味がある。

珍しいというので選んだのは、フグの塩辛(ここでは「フク」ではなく、あくまで「フグ」)。これは地元ならではの一品だろう。このたび閉店することになった大阪の「づぼらや」では扱っていたのだろうか。

他にも、さまざまなネタがてんこ盛りの海鮮丼や、マグロで出汁を取ったラーメンなど、目を引くメニューもあるのだが、後は部屋でまったり飲むことにして引き上げる。

二次会の前に入浴。この夜は地上38メートル、湯田温泉でもっとも高い位置の屋上露天風呂に入る。浴室内はもちろん撮影禁止なので、どういう感じなのかはホームページ等見ていただくとして、少しずつ暗くなる山口の町並みを見下ろすことができる。のんびりくつろげる。この時はちょうど雨も上がっていた。

湯上がりは部屋で地酒の「山頭火」などやりながら、デスクの引き出しを開けたら出てきた中原中也の詩集、そしてBS朝日でやっていたホークス対ファイターズ戦を観る。酒豪の山頭火、酒なんか飲んだことあるの?という中也、そこに野球である。

23日の試合は宇佐見の3ラン、バーヘイゲンの好投で、3対2でファイターズの勝ち。それはそれとして、野球中継は22時前までの枠だったが、試合が21時より前に終わった。次の番組は22時からの「お笑い演芸館」で、それまで1時間空く。

そこに入ったのが、BS朝日の「新 鉄道・絶景の旅」。これはラッキーだと思って見ると、何と舞台は山口県。しかも、翌々日に訪ねる予定の小野田線・長門本山駅が出ている。これには驚いた。

旅のルートは、長門本山を出発して、小野田線~山陽線~美祢線~山陰線~山口線とたどるもの。湯田温泉にいる私、ベッドの上に座り直した。

昨年の夏に取材したようだが、番組では途中下車しまくり。秋芳洞、センザキッチン、萩の町並み、日本海の景色を楽しみ、津和野を散歩した後に1泊。翌日に「SLやまぐち号」に乗ったり、徳佐でりんご狩りをしたりというもの。番組としては面白かった。ただ、これをリアルの時刻表をベースにして1泊2日の旅ができるかといえば・・正直無理(途中、列車に乗らずにクルマでワープするなら別だが)。でもまあ、そもそもテレビの旅番組はそういうものだろう。

一方で、翌24日の私はどうするか。午前中に第17番の龍蔵寺を訪ねた後、湯田温泉から新山口に移動して、宇部線で宇部新川へ。路線バスを使って第18番の宗麟寺に向かうことにしている。また、時間があればときわ公園にも行ってみたい。宿泊は宇部新川なので、最悪どちらかが翌々日に回ってもやむを得ないというところだ。

龍蔵寺へは秋芳洞行きのバスに乗って吉敷のバス停から2キロ歩くか、湯田温泉からも5キロほどなので雨の心配がなければレンタサイクルもありかなと考えていた。しかし、天気予報を見ると強い雨の予報。レンタサイクルは無理で、歩くのも気持ちが萎えそうである。タクシーは禁じ手としているので・・となると、レンタカー投入か。しかしこの時間から予約できるのかな。

検索をかけると、新山口駅前のバジェットレンタカーの軽自動車が最安値と出た。補償をつけるとそれでも5000円近くなるが、ならば、龍蔵寺に行った後で、そのまま宗麟寺、ときわ公園も回ってしまおう。夕方に新山口に戻ってから宇部線にも乗れる。そう決めて眠りにつく。

夜半になって、また雨が降ってきたようだ・・・。

翌24日。朝から雨が続いている。山口県の広い地域に大雨警報が出ている。やはり徒歩、レンタサイクルはあきらめて正解である。

朝風呂ということで今度は地下の大浴場に向かう。湯量たっぷりで、浴槽には大画面のテレビもある。これにて名湯を味わったことにする。

そして朝食。2階の広い宴会場である。通常ならバイキングのところ、こういう状況なので個別に御膳を出す方式に変更されている。そのため、チェックイン時に朝食の時刻を訊かれた。指定の7時に行くと、用意された席に通される。ご飯、味噌汁、漬物は係の人がカウンターでよそうので、ビニールの手袋をはめて、トレイを持って取りに行く。

一方の御膳は和洋一通りのものがあり、質量ともにホテルの朝食として十分かと。山口らしくフグの一夜干しや、うにいかなどもある。いちいち用意するほうも大変だなと思う。そこはありがたくご飯もおかわりできて、しっかりいただいた。

チェックアウトして、いったん新山口まで移動する。山口線の湯田温泉駅までは700メートルほどだが、この雨である。ほど近いバス停から防長バスに乗り込む。後で知ったが、山口線、宇部線は大雨のためにダイヤが乱れていたようで、特に山口線ではこの日は一時的に全線で運転を見合わせたという。

バスは水しぶきを上げながら国道9号線を走り、20分あまりで新山口駅に着く。

バスが着いたのが北口で、レンタカー店があるのが南口のため、自由通路で構内を渡る。そこにあるのが「垂直の庭」。山口県内の森から採集した植物を通路の壁に張り巡らせた「作品」なのだが、昨日来の風雨で飛ばされた草葉も結構あるようで、係の人が清掃中だった。

さてこれからどのような札所めぐりになるだろうか・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~第16番「洞春寺」と瑠璃光寺

2020年07月28日 | 中国観音霊場

山口駅から15時51分発のJRバス中尾口行きに乗る。秋芳洞方面にむかう系統の途中のバス停で、この路線に乗ると翌日訪ねる予定の第17番・龍蔵寺の最寄である吉敷も通過する。バス停から寺までは2キロほど歩くことになるが、翌日のアクセス方法の一つとして頭に入れておく。

その前に、これから向かうのは第16番・洞春寺。路線バスは繁華街の米屋町や、山口県立美術館といったところを経由する。ちなみに、山口市のコミュニティバスも運転されていて、多少大回りになるが洞春寺や瑠璃光寺の前を通る。タイミングが合えばこれを利用するのも手だろう。美術館の一帯は公園になっていて緑豊かな感じだが、泊まるとなると夜は少しさびしいかなと思う。夜の賑やかさは湯田温泉が一手に引き受けているということかな。

10分足らずで県庁前に到着。ここまで何とか雨に遭わずに持ちこたえて来た。その山口県庁だが、元々は長州藩が拠点を置いた山口城跡である。関ヶ原の戦いで毛利氏は防長2ヶ国に封じ込められた。毛利氏はその際に新たな拠点として山口への築城を求めたものの、幕府はこれを認めずに萩への築城を指示した。それが幕末で世の中の情勢が慌ただしくなったところで、有事に備えて下関や広島方面にも対応しやすいとして山口に拠点が移された。その頃は幕府の力も衰えて、長州藩も雄藩として発言力を持つようになったことから、こうしたこともスムーズに運んだのだろう。

幕末の第一次長州征伐では、幕府が攻撃を取り止める条件の一つに山口城の取り壊しがあり、この時は城の一部を取り壊して萩に撤退した。しかしすぐに山口に戻り、その後の第二次長州征伐の時には長州藩の拠点として機能した。後に山口藩~山口県の県庁所在地となったのもその流れである。

かつての藩庁の門が、現在も県庁の西門として開放されている。さらには、現在の山口県庁のビルの建物と並んで、洋風のしゃれた建物が現れる。これが山口県旧庁舎である。今から100年あまり前、大正時代の建物で、当時の最新のデザインの影響も受けているそうだ。この日は休館日だったが、通常は山口県政の資料館として開放されている。

県庁前から少し歩くと洞春寺への案内標識がある。そのまま進むとそれらしき山門が見えてきた。室町時代の創建当時の檜皮葺の姿を残しているという。

またその一方で、横には人形とともに「ヤギ飛び出し注意」という手書きの看板がある。ヤギって、あの山羊でしょ。室町時代の寺とヤギのギャップがよくわからない。

寺の歴史について触れておくと、元々この地には、大内盛見の菩提寺である国清寺が建てられていた。この大内盛見とは第15番・漢陽寺を開いた人物であり、隣の瑠璃光寺の五重塔を建てた人物である。何かとこの辺りでちょこちょこ顔を出す方である。一方、洞春寺は元々、毛利元就の菩提寺として吉田郡山城下にあったが、関ヶ原の戦いに敗れたことでこの地に移り、その後毛利氏の拠点が萩に定められたことから萩に移り、さらに維新後に再び山口に戻って現在に至る。毛利氏の菩提寺だから主君とともにあちこちに移った歴史がある。そのためか、屋根瓦や塀には毛利氏の家紋が並ぶ。

宗派としては臨済宗。本堂の障子が少し開いていて、正面に掲げられた額に書かれているのはおそらく前の寺名だった「国清」の文字だろう。

なお中国観音霊場としては、本堂の左手にある観音堂が該当する。建物も禅宗様式というのか、中もがらんとしたところで、聖観音像を祀っている。ここでお勤めとする。

納経所に向かう。庫裡の扉は開いているが、声をかけても応答がない。時刻は16時半前だからまだ時間はあるはずだ。足元に鐘があったので鳴らすと、しばらくして寺の方が外から戻って来た。納経帳を差し出すと、「遠方からですか?」と訊かれる。「大阪から」と答えると「大阪のどの辺り?」というようなやり取りがあった。単に挨拶の代わりで訊かれたことと思うし別にそれ以上のことはなかったが、ひょっとしたら何日かしてこの辺りで新型コロナウイルスの新たな感染確認者が出たら、「そう言えば大阪から来てたのがおったなあ」という話になるのだろう。これがもし「東京から」とでも答えたら、その時点で違った反応が出てきたかもしれないが、考えすぎかな。

それにしても、すべての墨書を1本の筆ペンで、しかもインクの補充もなくかすれた感じで一気に書き通すとは、なかなか豪快なものだ。ひょっとして粗略に扱われた?考えすぎかな。

さて納経所を出ると、山門の方から動物の鳴き声がする。山門の横に駐車場を兼ねた広場があるのだが、1頭のヤギがつながれており、ちょうど草を食べているところだった。後でわかったことだが、洞春寺には親子のヤギ3頭が暮らしているという。これは子ヤギかな。コロナ禍で休校が続く子どもたちに和みの場を提供するとともに、生き物を大切にすることの尊さを学んでもらおうと始めたことだという。

また洞春寺は「名物住職」の犬が飼われていて知る人ぞ知る人気があったそうだ。旅行記でもこの犬について紹介したものも見られたが、残念ながら今年天寿を全うしたという(現在は2代目の子犬がいるとか)。境内には「山口育児院」の建物がある。これは洞春寺の何代目か前の住職が日露戦争の戦災孤児救済のために建てたものだという。当然、犬やヤギも子どもたちに人気だろう。かつての毛利氏の菩提寺が、現在は子どもたちに近い寺として地域で親しまれている。

洞春寺の境内から瑠璃光寺に抜けられるという。すぐ横が瑠璃光寺のある香山公園。長くなるが、瑠璃光寺の参詣もこの記事でまとめてしまう。

山口市を代表する観光スポットの一つである瑠璃光寺。しかし私はといえば、かなり昔、広島在住時代に一度訪ねたかな?というくらいのもので、実質初めて訪ねるといってもいいだろう。

洞春寺からは公園の裏手から入る形になる。・・とここで、雨が落ちてきた。ここまで何とか持ってくれたが、傘の出番となる。

長州藩毛利氏の墓所に続く手前の石段に「うぐいす張りの石畳」というのがある。ここで強く足踏みをするか手を叩くと美しい音が返ってくるというので、手を叩いてみる。確かに何か反響するのが感じられる。寺の本堂の天井とか、長いコンクリート橋の橋脚で同じような仕掛けに触れたことがあり、音を反響させる周囲の環境によるものだが、意図して制作したのか偶然の産物なのか。

そして、瑠璃光寺の境内である。シンボルの五重塔は後にして、まずは参詣とする。堂々と建つ銅像は、大内氏の勢力を強め、後の大内文化につながる山口の町づくりを行った大内弘世の像である。長州藩といえば毛利氏になるが、元々の山口の町文化の基礎を築いたのは大内氏ということで、こと山口市においては、長州だ、毛利だ、維新だというよりは、中世の雄である大内氏のほうが親しまれているようにも見える。

瑠璃光寺もさまざまな歴史を持っているようだ。最初に建てられたのは室町時代で、大内義弘が香積寺という名前の寺を建立した。義弘は足利義満との戦いで戦死し、それを弔うために五重塔を建てたのが弟の盛見である。また一方、大内氏の家臣の陶氏(後に、陶晴賢が主君の大内氏を滅ぼすことになるのだが)の菩提寺として、安養寺という寺が同じ山口市の仁保に建てられた。これが後に瑠璃光寺と改められた。

関ヶ原の戦い、毛利氏の防長2ヶ国封じ込めで拠点が萩に移された時、毛利氏は香積寺を萩に移した。もっとも、移したというよりは、萩で新しく城や屋敷を建てる余裕がないので、その材料として取り壊して持って行ったというのが実態のようだが、五重塔だけは地元の人たちが嘆願書を出してそれが叶ったために取り壊しを免れたと言われている。時代が少し下って、仁保にあった瑠璃光寺がこの地に移り、そして現在に至る。何だか、隣の洞春寺ともども慌ただしく複雑な歴史があり、ある意味、毛利氏に振り回されてきた寺どうしとも言える。

瑠璃光寺というから薬師如来を祀る寺であることは推測できるが、宗派としては曹洞宗である。柱には「大本山 永平寺 総持寺」と書かれた札が掲げられている。曹洞宗と薬師如来というのが私の頭の中ではすぐに結びつかないのだが、寺の名前もいろいろ変遷したところだけに、本尊もいろいろ変わることもあるのだろう。そして本堂に上がると、薬師如来だけでなく聖観音、弥勒菩薩の像もある。

また、島根の一畑薬師の分院や、別に薬師堂があって長寿薬師如来が祀られている。大きな念珠があるが、心静かに「8個だけ」玉を落とすと邪念が払われるとある。この「8個だけ」というのが曲者で、勢い良すぎると一気に10個くらい落ちそうだ。だから自然と慎重になる。この辺りが、心を落ち着かせて邪念を払うことにつながるのだろう。

そして五重塔である。池越しに眺める姿が優美である。法隆寺、醍醐寺と並んで日本三名塔に挙げられているが、周囲の景色との調和、そして建物が発する優しさという点では瑠璃光寺がこの中で一番かなと思う。

「長州はいい塔をもっている」・・これだけならプロレスの観戦記かと思うが(ある年齢層以上限定かな)、これは司馬遼太郎の『街道をゆく』の長州路編の一節である。この碑が五重塔のたもとに建てられている。

夕方からの時間で洞春寺からの瑠璃光寺を回ったので、翌日からの予定にも幅を持たせることができそうだ。県庁前のバス停に戻り、いったん山口駅までバスに乗る。コインロッカーの荷物を出すためだが、ちょうどすぐに次の秋吉行きのバスが来た。これで湯田温泉に向かう。これでも湯田温泉には18時前には着ける。雨が降ったこともあって、結果的に洞春寺や瑠璃光寺の滞在が短くなった影響だが、ここは前向きに捉える。

湯田温泉通バス停で下車。バス通り沿いには多くのホテルが並び、歩道を行き交う人も多い。十分に賑わっているように見えるが、これでもここ数年の業績と比べると落ち込んでいるのかな。

後から言えば一人旅でもこの日の湯田温泉は自分なりに楽しめた。次は「自分なりに」楽しめたところを・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~山陽線を行く

2020年07月27日 | 中国観音霊場

山陽新幹線で岡山、山陽線で糸崎まで来て、9時52分発の岩国行きに乗る。糸崎で乗り継いだ時はすぐの発車だったが、次の三原で4分停車。中国観音霊場めぐりでは三原からバス(紅葉の時季だったので臨時便が出ていた)で仏通寺を訪ねたが、山陽線のこの先の広島までの区間に乗るのは久しぶり、中国観音霊場めぐりでは初めてである。

三原の市街地を抜け、本郷を過ぎる。この先の河内までの区間が2018年の西日本豪雨で被害が大きかったところである。線路に並走するように沼田川が流れているが、氾濫して一帯が冠水してしまった。沼田川が増水して、支流の水が合流することができずにその付近で水があふれてしまう「バックウォーター現象」である。この時倉敷の真備町で大きな被害が起きたのもそうだし、昨年2019年の台風19号で長野や福島、そして今年2020年の熊本や岐阜の豪雨で大きな被害が出たところでも同じ現象が起きている。西日本豪雨を受けて、各地でも同じ現象が起きる可能性が指摘されて、政府も「何とかしなければ」と対策を考え始めたところだったが、自然は待ってくれない。

山陽線に大きな被害が出たことで、通勤通学の足としてはもちろんだが、貨物列車へのダメージが大きかったのが、そうした業界に身を置く者として気がかりであった。トラック、船舶による代行輸送や、伯備線~山陰線~山口線の迂回列車の運転という対応で何とかしのいだ結果、2ヶ月で復旧できたのは奇跡的だった。その一方で、2020年の豪雨では山陽線は被害はなかったものの、芸備線、福塩線がまたも長期運休となっている。これらの路線の今後のあり方にも影響が出そうな話である。

車窓を見るとまだまだ復旧作業が行われていたり、橋の半分が流失してそのままになっているところもある。

糸崎を出てから外は雨がぱらつくようになった。この日は移動がメインとはいえ、山口まで行ったら第16番の洞春寺、もしくは第17番の龍蔵寺のどちらかは今日中に回っておきたいとも思う。ただそれも現地の天候次第で、スマホで雨雲予報を見ると、濃い色の表示が九州北部から山口県にかけて覆っている。この先、本格的な雨雲の中に自ら突っ込んでいく形である。まあ、状況次第だ。

河内から白市、西条という東広島市内に入る。西条の次に寺家という駅ができていたとは知らなかった。広島のベッドタウンとして住宅地も広がるところで、2017年にできた駅だという。

八本松から瀬野の下りも山深いところで、この一帯も西日本豪雨の被害を受けたところである。こちらは瀬野川の氾濫による。

ようやく平野部に差し掛かり、広島貨物ターミナル、そしてマツダスタジアム脇を通る。この日はカープは甲子園での遠征で、グラウンド、スタンドは無人だった。11時13分、広島に到着。立ち客も出ていた車内のほとんどの客が下車した。2分の停車で岩国に向かう。

相変わらず雨が降ったりやんだりの中、広島市街を抜け、宮島口に到着。観光客らしい姿の人の下車も目立つ。コロナ禍の影響で観光客も激減したのではないかと思う。このタイミングでは雨が続いているし、厳島神社の大鳥居も修復工事中だし、カキのシーズンではないし、大丈夫かと気がかりである。

山口県に入り、12時13分、岩国に到着。次に乗るのは12時34分発の下関行き。待ち時間があるので構内のコンビニで昼食を仕入れるが、列車が2両編成との表示なので早めにホームに戻る。115系の3000番台なら転換クロスシートで快適に行けるところだが、2両編成となると昔ながらのボックス席車両なのかな。

折り返しでやって来たのは115系のボックス席車両。無事に海側のボックス席を確保することができた。以前の中国観音霊場めぐりではこの先の徳山までの区間はレンタカーで移動したり、岩徳線に乗ったりしていたので、山陽線に乗るのも先ほどの三原~広島間同様久しぶりのことである。そういえば四国八十八所めぐりの時、松山に行くのにわざわざ柳井まで行って、柳井~三津浜のフェリーに乗ったことはあるが・・。

南岩国ではレンコン畑(ちょうどハスの葉が大きく広がっている)と東洋紡の工場という組み合わせの景色を見て、安芸灘の車窓に差し掛かる。雨の中というのが残念だが、この先、柳井港までは安芸灘や周防大島を中心とした島々の景色が楽しめる。今回多少時間がかかっても在来線乗り継ぎを選んでよかった。

田布施、岩田といった昔の国鉄の風情を残す駅を過ぎ、櫛ヶ浜で岩徳線と合流する。13時41分、徳山に到着。ここで17分停車。まあ、外に出ることもないから車内で過ごす。長時間停車なのは地域の中心駅ということで時間調整しているのかなと思っていると、隣を貨物列車が通過して行った。列車によっては10分以上停まることもあればすぐに発車することもあり、長く停まるのは貨物列車との兼ね合いと思われる。

徳山を発車。ここに来て雨も上がり、空が明るくなってきた。この先の予断は許さないが、現地に到着して何とか持ってくれればラッキーというくらいの気持ちで構えておく。途中の戸田~富海の海沿いの区間は先ほどよりは明るい空の下で進んでいく。

防府を過ぎて、次の大道では駅の南側に高川学園高校・中学校の立派な校舎が現れた。前回もこの駅は通過しているが、反対側の座席に座っていたためか全く気付いていなかった。高川学園は進学、スポーツにも力を入れており、私学のアピールとして校舎には合格者の出た大学名や、全国大会出場を祝う垂れ幕も出ている。特にサッカーは、前身の多々良学園時代も含めて全国大会の常連だという。

また、校舎の横には立派な人工芝が敷かれた野球のグラウンドがある。そういえば甲子園にも出ていたっけ。今年はコロナ禍のために夏の甲子園は中止となり、各都道府県ごとの大会に切り替わったが、この記事を掲載している7月27日の時点では、山口県大会の準々決勝に勝利し、次は準決勝というところまで来ている。

「間もなく新山口です」の案内が入る。新山口到着は14時40分。新大阪を出たのが朝の6時59分だから、乗り換え時間を入れて7時間40分・・・長かったが、久しぶりに乗る区間も多かったこともありそれほど退屈することもなかった。

次に乗るのは14時56分発の山口線山口行き。「SLやまぐち号」が発着するホームには「おごほり」の駅名標も観光用に立てられている。この日宿泊するのは湯田温泉で、それならば湯田温泉で下車していったんホテルに行くところだが、まずは山口まで乗ることにした。この後の山口線と山口市内のバスの時刻表を見たうえで、山口線の山口着が15時19分、そして駅前から15時25分発のJRバスで県庁前まで移動、そしてバス停から徒歩10分とある第16番の洞春寺に行くことにした。後で触れるが、洞春寺は山口で有名な観光スポットである瑠璃光寺に隣接している。夕方の時間帯で瑠璃光寺も見られるならば、そこまでをこの日のうちに回ったうえで湯田温泉に移動しても18時前にはホテルにチェックインできる計算だ。

そう決めて車内で待っていると車掌からの案内が入る。この日、島根県内の大雨の影響でダイヤが乱れていて、山口方面から14時41分着の特急「スーパーおき3号」の到着が遅れているという。山口線は単線のため、その到着を待ってからの発車になるとのこと。その「スーパーおき3号」が入ったのは15時10分頃。それと入れ替わるように山口行きは発車したが、この時点で山口からの15時25分発のバスには間に合わないことが確定。次のバスは15時51分発とあり、まあ、洞春寺の納経所の時間には何とか間に合うかなというところである。

単純に山口市内に行くだけなら並走する国道9号線を行く路線バスがあることは承知しており、山口線が遅れていることを知った時点でバスに切り替えれば早くに移動できたと思う。ただ、せっかく青春18きっぷを持っているし、山口線に乗るのも久しぶり、国鉄型気動車にも乗りたいということで、ここは山口線を選択した。翌日の行程では、湯田温泉から新山口まで路線バスで移動する前提にしているが。

国道沿いの大型店舗も並ぶ中を走り、湯田温泉を通過。15時30分頃に山口に到着する。ちょうどこの先の益田まで向かう列車と接続しており、そちらに乗り換える人もいる。

さて、県庁所在地のある駅ではあるが、新幹線、山陽本線、宇部線、山口線のジャンクションである新山口と比べるとどうしても地味に見える。やはり新山口が表玄関の印象がする。山口駅の小ぶりな建物内にも一応観光案内所、土産物も扱うコンビニはあるが、観光客の姿もほとんど見られない(まあ、これはコロナ禍の影響かもしれないが)。

ここで宿泊用のバッグをコインロッカーに入れる。洞春寺、瑠璃光寺を回った後は県庁前からそのまま湯田温泉に移動すればいいことだが、寺回りの時は身軽にしておきたいので、いったん山口駅に戻るのもやむなしとする。

ここまで長かったが、ようやく本題の観音霊場めぐりである・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~まずは山口を目指す

2020年07月26日 | 中国観音霊場

今回の中国観音霊場めぐりは7月23日~25日でのお出かけである。4連休ということだが最終日の26日は休養日に当てることにする。

まずは23日の朝、新大阪に向かう。前の記事でも触れたが、まずは岡山まで日本旅行の「バリ得こだま」を利用して行く。乗るのは新大阪6時59分発の「こだま841号」である。

こういう状況なので新大阪駅もさほど混雑しておらず、通常ならこの時間帯は改札内のコンビニや駅弁コーナーも朝食を買う客で行列ができるのだが、それも見られない。

ただ、気になることがあった。乗車券が送られた後、混雑状況はどうなのかなと、前日に「みどりの券売機」で空席の検索をかけてみた。すると、「こだま841号」の指定席はほぼ満席である。他の「のぞみ」や「さくら」には空席があるのにこの列車が満席というのは、ひょっとしたら同じような考えて割引商品を利用して出かけようという客が多いのかなと思う。私が利用した「バリ得こだま」はGoToキャンペーンの対象外である旨がサイトに記載されていたが、他の割引商品は「旅行会社が提供する日帰り旅行商品」という扱いなのかもしれず、それを当て込んで申し込んだ人もいるかもしれない。

そこで・・・本当は認められていないことなのだが、最初から自由席に乗ることにした。こちらは1両に10人もいない状況。そして指定席をのぞいて見ると、案の定3両の座席がびっしり埋まっている。「密」と言ってもいい。そして時間が時間だけにほとんどの客がムシャムシャ食べているし、中には早くも缶ビールを開けている人もいる。この車内の様子、見る人によっては「こいつら何考えとんねん!」とお怒りになるのだろうな・・。

これが毎日の通勤電車なら仕方がないが、岡山まで1時間あまりの乗車とはいえ、指定席が「密」で自由席がガラガラなら、空いているほうに移るのが自然な動きではないか・・・と自分を正当化してみる。JRも、指定席の予約にあたってはソーシャルディスタンス確保のために、シートマップの活用を勧めているし・・・。

途中の姫路、相生で列車通過待ちのためにいったん外に出る。新幹線とはいえ「こだま」のこうした鈍行列車的な動きは面白いところだ。間近で新幹線が通過するのを見ると、颯爽と駆け抜けるのは見ていて気持ちいいが、あんな速いものによく平気な顔をして乗っていられるなと、昔の人のような感想を持ってしまう。

8時09分、岡山に到着。いったん改札を出て、青春18きっぷに日付を入れてもらう。ここから鈍行乗り継ぎモードである。

次に乗るのは8時25分発の糸崎行き。岡山始発ではなく山陽線の万富から来る列車だが、到着すると車内の客はほとんど下車した。この列車の前に8時20分発の備中高梁行きが発車するので、例えば倉敷まで急いで行くという人が乗り換えたこともあった。乗った車両のほとんどの窓が開放されていた。このところ、車内の換気のために窓を開けることも呼びかけられている。今のところ雨は降っていないので、これは効きの悪い冷房の中にいるよりは快適に過ごせそうだ。

窓が開いているので走行音をより楽しむこともできる。途中で高校生の乗り降りもあり、並走する国道2号線の様子を見るうちに、広島県に入る。福山で多くの乗客が入れ替わる。

尾道水道が近づいてきた。中国観音霊場めぐりでは、福山~尾道間は高速バスで国道2号線を走ったので、山陽線で通るのは初めてとなる。造船所が顔を出し、尾道大橋を過ぎると尾道の町並みである。「海が見えた。海が見える」は林芙美子の『放浪記』の一節で有名だが、これは当時も今も変わらない山陽線の線路による演出効果もあるように思う。国道2号線だと地べたを走るので、建物に遮られて海は見えないし、鉄道といっても新幹線の新尾道駅では海の気配など全く感じないし・・。

この尾道から糸崎までは海に近い区間を走る。どんよりとした曇り空なのが残念だが、この先の雨雲情報を見ると、広島県から山口県にかけては降るような降らないようなもやっとした感じである。

9時51分、糸崎到着。次に乗る岩国行きはすぐの発車。これから、2018年の西日本豪雨で被災した区間に、被災後初めて乗ることになる。山口まではまだまだ長い道のりだが、それは続きのことにする・・・。

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第13回中国観音霊場めぐり~こんなタイミングで出かけることに・・・

2020年07月23日 | 中国観音霊場

2020年6月に県をまたぐ移動の制限が緩和されたのに合わせて、夏の中国観音霊場めぐりのプランニングを実行に移すことにした。前回は6月に夜行バスからの日帰りにて周南市鹿野にある第15番の漢陽寺を訪ね、その後で防府天満宮、毛利博物館・庭園などを回り、新山口駅まで駒を進めていた。この次は、当初の予定では5月の連休に訪ねようと思っていた山口、宇部、下関と回るプランで、中国観音霊場の瀬戸内・山陽側を終わらせる予定である。狙いは、本来であれば東京五輪の開会式にともなって特別に組まれた連休。昨年の6月に岡山の西大寺で始めてから1年ほどでここまで来た形である。

新山口まで進んでいて、次に回るのは山口市内にある第16番の洞春寺、第17番の龍蔵寺である。いずれも山口の中心部にあることから、せっかくなので湯田温泉の宿泊と絡めることにする。次の第18番の宗麟寺は宇部新川、第19番の功山寺は下関の長府にある。湯田温泉、宇部に宿泊して、最後は下関で一つの区切りとしてそのまま戻ることを考える。

新山口へは普通に新幹線で行けばいいことだが、一方で、鈍行乗り継ぎもしてみたい気もある。7月の連休はちょうど夏の青春18きっぷの時季。大阪からずっと乗り継いでいけば夕方に湯田温泉に到着する。ただ翌日以降がちょっとばたつきそうで、初日に山口市のどちらか片方だけでもお参りできればとも思う。

そこで出たのが、途中まで新幹線で行くというもの。ちょうど、日本旅行が提供するこだま号限定での割引プラン「バリ得こだま」というのがある。とりあえずこれで岡山まで行くことにした。新大阪~岡山が4300円と、正規の指定席料金から2000円ほど安い。新山口までのプランもあるのだからそれにすればいいのだが、そこは在来線にも乗ってみたい。岡山まで移動すれば、青春18の時季はいつも混雑する姫路~岡山間を楽にクリアできるし、この中国観音霊場めぐりでまだ乗っていなかった山陽線の三原~広島間も通ることができる。西日本豪雨で線路に被害を受け、旅客だけでなく貨物列車の運行にも長期にわたって影響を受けた区間である。2年が経過してどのような様子なのかも見たい。

そして復路は、新下関~新大阪まで「バリ得こだま」を利用することにした。乗車時間は4時間以上だが、山陽新幹線を堪能するには十分な時間である。

こうして後は出かけるばかりとなったのだが、7月に入って世間ではGoToトラベルキャンペーンに関するニュースがあふれることになった。新型コロナウイルスの新たな感染確認者が東京を筆頭に各地で増加して、また九州豪雨もあり、そんな中でキャンペーンの実施前倒しに多くの批判の声が挙がっている。そして政府もその扱いについて二転三転している。しまいには、旅行に行くことそのものに対して自粛警察を発動する雰囲気にもなってきた。

状況はいろいろあるが、自分としていろいろと注意、対策をとったうえで出かけることを選択した。GoToトラベルキャンペーンに批判の声が挙がっているのなら、別に私はこのキャンペーンがあるから出かけるということではないので、宿泊施設の後日割り戻しの申請は行わない。マスク着用、手洗い(乗り換え時など)、会話を控える(まあ、一人旅なのでそれはほとんどないが)、厚生労働省の濃厚接触者確認アプリの導入・・といった、日常生活の延長で気をつけるところ。夜の一杯をどうするかはその時の状況によるが・・。

そのうえ、新型コロナウイルスよりも個人的に恐れているのは天気予報。この4連休、九州を中心とした西日本に大雨の注意が呼びかけられている。雨雲の動きの予報を見ると山口県にも結構強い雨が降るようだ。札所めぐりの中には公共交通機関でのアクセスが不便なところもあり、そうしたところをどうやって回ろうかというのも懸念材料である。

そして迎えた7月23日。まずは新大阪からこだまに乗るということで早朝から出かける。まだ雨は降っていないが早朝から25℃を超えていて蒸し暑い。果たしてどのような1日になるのだろうか・・・。

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GoToキャンペーン、これも天下の愚策と言われるのだろうか

2020年07月21日 | ブログ
コロナ禍の中で、観光関連業界を救済するとして計画されたGoToトラベルキャンペーン。当初は8月半ばからの適用だったのが7月22日からに前倒しされた。

これだけならどうということもなかったはずだが、前提は「コロナ収束後」だったのが、前倒しを発表するのに合わせたかのように東京を中心に新たな感染確認者が急増した。そのためにキャンペーン実施中は時期尚早という声が高まったが、政府が取った対応は、東京都を除外するというもの。これにも反発があり、このためにキャンセルする人が相次いだ。すると、キャンセル料はどうなるのかという声が出る。キャンセル料は国が補償するという対応が出る。そうすると、キャンセル料を税金から出すのはけしからんとなる。で、3割を補填するとかしないとかの話になっている。一口にキャンセルといってもさまざまなケースもあるし、実際どのような手順で対応するのかも決まっていない。

このコロナ禍への対応として、アベノマスクや10万円給付金というのがあり、その対応がかなり杜撰との批判はあったが、これらはまだ現物が多くに行き渡っている(給付金は私個人には来なかったが、まあそれは家庭の事情なので政策とは別問題)。しかしこのGoToキャンペーンに関する政府の対応のブレさにはあきれるばかりだ。

なまじこうした対応をしたため、旅行すること、県をまたいで移動することが「悪」と取られかねなくなったと言える。また、東京都とそれ以外という不毛な隔たりを強調したのではないか。また、一時のような自粛警察が各地で跋扈するのだろう。中途半端にするくらいなら、全面延期でいいでしょう。

・・かくいう私だが、4連休のうち3日を使って中国観音霊場めぐりの続きで山口県に行く予定。これは変えません。ただ、自分で予約した宿泊施設の料金もGoToキャンペーンの対象のところ、ここまで言われるのなら後日申請はやめておこうと思う。そもそも、個人で旅行に行く行かないは自身で判断することで、リスクも自分で負担すればいいだけのことではないだろうか。

何かちょっかい出してくる自粛警察ども、それでええやろ・・・?
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観戦記・バファローズ対ホークス第6戦~何だかなぁ、YMCAってやっとる場合かなぁ・・・

2020年07月19日 | プロ野球(バファローズ・NPB)

前の2カードを連続で勝ち越したバファローズだが、踏ん張りどころとなるホークス、イーグルスの6連戦2カード。ところが5戦を終えて1勝4敗と負け越し。どうも投打がかみ合わない。最後の第6戦、前回完投勝利の山本に託す。

この試合は上段席で観戦。普段も内野のこの辺りで観戦しているので、ようやく腰を落ち着けたかなという感じである。今季は指定席の扱いだが、2~3席空けて着席するのも普段よりゆったりできてよい。

新型コロナウイルス感染症対策の取り組みについては前週の観戦記でも触れたので割愛するが、ネットニュースなど見ていると球場によってはスタンドが「密」の状態で座っているとか、観客の大きな声援のために球審が試合を止めたとか、いろいろ言われている。また、テレビ画面を見てもマスクを外して周りの客と談笑するところを映されていたりして、ネットでは「こいつらを出禁にせよ!」などという過激な反応も見られる。

この数日、東京、大阪を含めて各地で新たな感染確認者が増えていること状況だけに、余計に観客への視線も厳しくなっているように感じられる。京セラドームでは選手の応援歌を流すといった演出は控えるとともに、イニングの交代ごとに「大きな声を出してのご声援はご遠慮ください」「観戦中は必ずマスクを着用してください」と繰り返しアナウンスしているが・・。

・・・また試合前のことが長くなったが、この日はサードユニフォームの「勝紺」での登場。両チームのスタメン発表だが、バファローズの打順で5番・ロドリゲスはいいとしても、「6番・小島」とアナウンスされた時はため息のようなものが漂っていた。一方で「8番・太田」には期待の大きな拍手が起こっていた。

先発の山本。初回は先頭の栗原、そして前日に特大のホームランを放った柳田から三振を奪う。いずれも緩急を上手く使っていた。

ホークスの先発は二保。一死から安達がライト前にポトンと落ちるヒット、これを上林がお手玉する間に二塁に進む。続く吉田のゴロで二死三塁となって、迎えるはジョーンズ。早速ビジョンに「YMCA」が流れる。しかしライトへの力のないフライで凡退。先制のチャンスを逃す。

2回表、ホークスは中村がヒットで出塁するが、山本は松田、バレンティンと連続三振に打ち取る。3回も下位打線を危なげなく退ける。この日も乗っているように見られた。後は打線が何とかするところ。

3回裏、先頭の太田がレフトへのクリーンヒットで出塁。続く西浦がバントするも、甲斐が自慢の「甲斐キャノン」で二塁に送球してアウト。大城が粘って12球目をレフトに持って行き、一死一・二塁。この後安達凡退、吉田四球で打席にはまたもジョーンズ。そしてまたもビジョンに「YMCA」。・・・しかし、ショートゴロであえなく凡退。またも先制のチャンスを逃す。

4回裏、先頭のロドリゲスの当たりはショートへ。周東が追いつくも打球をこぼす。その分送球が遅れて内野安打となったが、もしちゃんと捕球できていればアウトだったところ。ここで迎えるのは問題の小島で、送りバントの指示も失敗。追い込まれてヒッティングに切り替えて空振り三振。本当、この選手をスタメンで起用する意味はどこにあるのだろうか。まあ、本人の心境はわからないが、これだけファンに叩かれていても平気な顔をしているのだから、メンタルだけは異常に強いのだろう。この後、若月が併殺打という最悪の展開。二保に手玉に取られている。

一方の山本も力のある投球で、6回まで許したヒットは中村の1本だけ。奪三振9、四死球0と辛抱が続く。

しかし7回表、先頭の上林がレフトへの二塁打で出塁。そして柳田がライトへのいい当たり。これでとうとう均衡が破れてホークスが1点先制する。

痛かったのはその後。中村が今季1号となる2ランホームランをライトに放つ。これで3対0、今の打線に跳ね返す力があるだろうか。

7回裏からは無失点の二保に代わり、高橋礼に継投する。若月にヒットが出たものの危なげなく抑えられる。

8回裏、ホークスはモイネロが登板。ホークスとしては盤石の勝ちパターンだが、先頭の西浦がライト前ヒットで出塁。続く大城、安達が連続四球で無死満塁とする。ここで吉田。またとないチャンスだ。

ここで吉田が四球を選んで押し出し。3対1と1点返し、なおも無死満塁で打席にはまたもジョーンズ、そして三度目の「YMCA」。ここで一気呵成に攻めたいところ・・・。

打球はセンターへ。まあ、犠牲フライには十分ということで、「最低限の仕事」はしてくれた。三塁から大城が生還して3対2・・・となったのはいいとして、二塁からタッチアップした安達が三塁でタッチアウト。無死満塁から確かに2点は入ったが、一気に二死一塁とチャンスがしぼんだ。続くロドリゲスも倒れて同点まで行かない。

何だか、「YMCA」が呪いの一曲に聴こえてきた・・・。

それでも3対2。9回に何とか望みをつなぐところで9回表のマウンドには、増井。あの登場曲のイントロが流れると場内からため息や嘲笑が飛ぶのも恒例の光景のようだ。案の定、ヒットとエラーで一死一・二塁とピンチを招いて打席にはバレンティン。ここまで当たりがないだけにかえって恐いが、ここは併殺に打ち取る。

9回裏にはホークスは抑えの森が登板。打席も下位打線ということで危なげなく三者凡退で試合終了。スタメンから外れたT-岡田がベンチにいたはずだが、代打に出ることもなかった。機会があるとすれば7回の小島の代打かなと思ったが、右の高橋相手に登場したのは右の山足。まあ、何かあったんでしょう・・・。

点数だけ見れば3対2と接戦だったが、何度もあったチャンスをつぶしたバファローズと、ワンチャンスをものにしたホークスの差はやはり大きかった。やはり打線、打線がなあ・・・。

終ってみればホークス6連戦は1勝5敗で、この日はファイターズが勝ったために、わずか1週間にして単独最下位に逆戻りである。何だかなぁ・・・。

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第13番「石山寺」~西国三十三所めぐり3巡目・18(本尊如意輪観音特別御開扉)

2020年07月18日 | 西国三十三所

雨の中、岩間寺の参詣を終えて、シャトルバスが立ち寄る石山寺山門前のバス停で下車する。

前回、西国三十三所めぐりの2巡目で石山寺を訪ねたのが2016年12月のこと。その時は岩間寺から立木山寺(立木観音)を回り、最後に石山寺を訪ねたのだが、ちょうど33年に一度という本尊の如意輪観音像の御開扉にめぐり会うことができた。この時は立木山寺がメインで、ならばついでに通り道だから岩間寺や石山寺にも行こうという程度のことだった。

33年に一度だから、2016年の前は1983年、2016年の後は2049年ということで、その時のブログ記事には「33年後とは・・・私、生きてるかな?」と書いている。訪ねたのもその期間終了日の1日前のことで、偶然のことだった。

それが、2020年の3月~6月にまた御開扉ということになった。2016年から3年あまりしか経っていないが・・・と見ると、33年に一度のほか、天皇陛下の即位の翌年にも開かれるとあった。現在の上皇さまが天皇に即位した際には、1991年4月に開かれたとある。もっとも、それ以外でも2002年に「石山寺開基1250年記念」、2009年に「花山天皇一千年忌」という寺の行事でちょくちょく扉は開かれているようだが、今回は天皇陛下即位の「御吉例」ということで、勅使により開かれる由緒ある行事だという。

御開扉は当初3月18日~6月30日の予定で、岩間寺と同じく、西国開創1300年の記念印がまだだったのでどこかの機会で訪ねようと思っていた。ところがそこにコロナ禍である。石山寺も当初は拝観受付を続けていたが、緊急事態宣言が全国に発令されたことを受けて、結局4月22日~5月31日まで40日間の拝観停止となった。そして6月1日から拝観を再開するにあたり、石山寺が宮内庁にも相談した結果、御開扉の期間を8月10日まで延長することになった。ちょうど、拝観停止の40日間に相当する期間である。

山門の脇から境内に入る。受付のテントが出ていて寺の人が何やら来賓の対応をしている。フォーマルスーツに身を固めた人の姿もちらほら。何か行われるのかな。そのまま進み、御開扉の内陣の拝観とのセット券を買い求めると、「7月17日・18日は、法要のため11時~12時の間、内陣の拝観はできない」と案内される。時刻は10時半を回ったところ。それまでに内陣に入れば大丈夫かなと、石段を上がって取り急ぎ本堂に向かう。
 
なお、この時一緒に、新型コロナウイルス感染拡大防止を祈願した護符をいただく。

本堂に着いたが、内陣の入口では先に来ていた参詣者の内陣拝観の受付を断っているところで、法要が終わるまで外陣で待つように言われる。よく考えれば、法要は11時からだがそれまでにいろいろ準備もあるし、先ほど見かけた法要の参列者たちも席に着かなければならないからそうなるだろう。聞いたところでは、当初5月に予定されていた、御開扉期間の折り返しにあたる中日法要というのが行われるそうである。

扉の奥に如意輪観音像の姿がちらりと見えており、これで拝観したことにしようかとも思ったが、せっかく来たのだし、別にここで慌てることもない。境内で1時間待つことにしようと(これなら、先ほど急いで岩間寺を出る必要もなかったな)、まずは法要が始まる前に自分のお勤めである。感染防止のために、本尊との結縁綱や鰐口紐は取り外されて使用できないとあった。その中で経本を読むのだが、ふと、「マスクをしているとは言え、声に出して読むというのは果たしてどうなのかな?」ということも考える。プロ野球でも「大きな声を出しての応援はご遠慮ください」と言われる状況だが、まあ、経本も小声でブツブツ言う程度ならいいのかな。これが、札所めぐりツアーのように団体でやって来て、先達の音頭で一斉に般若心経を唱えて・・・となると問題なのかもしれないが(もっとも、そうしたツアーそのものは現在再開されているかどうかは別だが)。

朱印もいただく。「西国1300年の記念印も」と申し添えると、「記念印だけでよろしいか?」と逆に訊かれる。プラス100円で、御開扉の記念の銀色の印も押すという。期間限定だが、これは別にいいかな。

他にも内陣の拝観を待つ人の姿が見え、そろそろ法要が開始ということで私も腰掛けに座って待っていたが、待つ間に境内の他の建物も見て回ったほうがよいかなと思い、外に出る。
 
多宝塔や弘法大師堂、蓮如堂、光堂、紫式部像などを見て回る。リズミカルな和太鼓の音が境内に響き、おそらくさまざまな読経がなされているところのようだ。

雨は降り続くが、まだ咲いている紫陽花や、緑もみじ、苔の景色なども楽しめる。一通り回って本堂に戻ると、般若心経や本尊如意輪観音の真言、光明真言などが唱えられていて、そろそろ法要も終わりに近づいているようだった。それを外陣で待つ人も20名ほどいた。

内陣からは30名ほどの人がぞろぞろと出てきた。こうした法要に参列する方々はどういった関係者なのかな。内陣での拝観準備が終わり、ようやく上がれるようになった。

石山寺の歴史は古く、奈良時代、東大寺の大仏建立にも携わった良弁僧正が、この地の硅灰石の上に塑像の如意輪観音を祀ったのが始まりとされていて、現在の木像の如意輪観音は平安時代中期、11世紀初めの作品である。今も硅灰石の上の玉座に安置されていて、高さは一丈六尺(約5メートル)。先ほど外陣からも姿は見ていたが、やはり間近で見ると迫力、安定感をおぼえる。

他にも脇仏の執金剛神、蔵王権現や、毘沙門天、弘法大師作と伝えられる不動明王などの像がある。その中でも貴重とされるのが、本尊の胎内仏。2002年の石山寺開基1250年記念の御開扉の時に見つかった4体の仏像で、ガラスケースに収められている。飛鳥時代の作で、聖徳太子の念持仏ではないかとも言われている。また、火災で焼失した初代の如意輪観音像(塑像)の断片も展示されている。こうしていろいろ並べるだけで、歴史の深さというものが伝わってくる。

これで内陣の特別拝観を終えて、石山寺を後にする。門前の土産物店で鮒寿司やしじみの佃煮などを買い求め、バスでJR石山駅まで戻る。帰りは石山寺から京阪電車乗り継ぎでもよかったのだが、今回は石山から新快速で京都まで移動する。

そして乗ったのが近鉄特急である。橿原神宮前まで南下して帰宅しようということで、まあ、たまにはいいだろう。今回乗るのは現在の近鉄特急の汎用車両ともいえるACE車。

ちょうど昼時を過ぎているが、食事は駅弁でどうだろうか。JRのコンコースで買い求めたのが太秦の穂久彩の「京都の弁当」。4×5列のマスに京のおばんざいがあれこれ詰めたもの。平日の昼間だが休暇中なのでいいだろう、車窓のお供を一緒に買い求めて、ガラガラの特急車内で一人たしなむことに・・・。
 
途中の大和西大寺を過ぎたところの車両区ではこのような車両に出会った。かつての「行商列車」の名残で、先日運転が取り止められたが、現在もこういう形で余生を送っているようだ。
 
西国の3巡目もこれで半分を過ぎて、先達用納経軸にも全ての1300年記念印が押された。他の札所めぐりとの組み合わせや、気が向いた時に訪ねているのでペースはゆったりだが、まだまだ難所も控えている。ぼちぼち行きましょうか・・・。
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第12番「岩間寺」~西国三十三所めぐり3巡目・17(初めてシャトルバスにてお参り)

2020年07月17日 | 西国三十三所

このブログでも、コロナ禍によりダメージを受けた観光業界の支援を目的としたGoToキャンペーンについて触れたのだが、7月22日からの適用に向けて動き出したところで都市圏を中心に新たな感染確認者が増加するということになった。そのため、このタイミングで実施することに対する反発の声が高まり、政府は「東京発着」を対象外とすることにした。

この定義もよくわからないのだが、さらに17日には、高齢者と若者の団体旅行も対象外とすることになったという。何を以て高齢者と若者の団体旅行と定義するのか、そもそも、そういう仕切りに意味があるのかと、さすがの私も思う。こうなると逆に、GoToキャンペーンの適用を受けられる条件というのは何やねん、結局意味がないのではないかと思う。では、高齢者も若者も参加するであろう一般の団体旅行はどうなるのか、高齢者や若者ばかりの中に私のような40歳代のおっさんが混じるようなツアーは対象となるのか否か・・・。

GoToキャンペーンの主旨は私も賛同するところなのだが、ここまで来ると果たして誰のため、何のためにやるのかという話である。一般企業なら間違いなく延期もしくは中止とする案件である。私自身、出かけることそのものは中止する気はないし、自粛警察と称する連中の言いがかりには一切応じることもないが、こういう中途半端な制度ならば別に利用する必要もないだろう。そもそもキャンペーンのターゲットが旅行会社の救済や、団体客、パッケージツアー客たちであり、青春18きっぷとか新幹線の格安プランとか、予約サイトにてホテルを押さえるというスタイルの旅行者への恩恵などわずかなものだから。

・・・タイトルは、岩間寺に行く話だった。例によって話が脱線してしまう。

西国三十三所の第12番の岩間寺。これまでの2巡で訪ねているが、3巡目の順番がここまでなかった。過去の1巡目は純粋に大津市内の札所を回る、そして2巡目は新西国三十三所の一つである立木山寺の参詣とセットで回っている。いずれも、京阪バスの中千町バス停から1時間近くかけて坂道を歩いて上ったのだが、特に1巡目の時には春先の雪の中を歩いたこともあり、個人的には難所のイメージがついている。それで2巡目以降、すっかり足が遠のいていたのだが、気がかりなのは「西国三十三所開創1300年」の記念事業との絡み。これまでの先達用納経軸を見返すと、第12番の岩間寺と第13番の石山寺だけが、開創1300年の記念印が押されていない。この記念事業もいずれは終わることで、周りには同時進行中の西国四十九薬師めぐりの札所もないため、どこかで機会を作らなければならない。

アクセスに難があるということだが・・・岩間寺に行くのに最も楽な方法となると、毎月17日の縁日にJR・京阪の石山駅から運行される無料のシャトルバスである。毎月17日と決まっているのだから事前にカレンダーで予定を立てれば済むことだが、なかなかこの17日と、土日の配置と、私の予定がぴったり合うことはなかった。そこをこの7月17日、平日ではあるが有給休暇を充てて何とか行ってみることにした。

このシャトルバスもコロナ禍にともなう緊急事態宣言の影響で2ヶ月ほど運転を取りやめていたが、6月からは運行を再開している。ただし、岩間寺のホームページによると、乗車は20名までという案内が出ている。バスは午前中に40~50分ごとに出ているが、通常であればシャトルバスは立ち客も出るほど混雑するそうで、それが20名までとなると乗れない可能性も出てくる。まあ、起点の石山駅は何もない駅というわけでもないので、乗れなければ次の便まで時間をつぶすかというくらいの気持ちで、朝のラッシュが続くJR大阪からの新快速に乗車する。

石山に到着。天気予報では大津は「曇り」と出ていたが、大津市内の石山に降り立つとしっかり雨が降っている。今年も各地で豪雨災害が発生していることに比べると「しとしとした梅雨らしい雨」だが、なかなかすっきりした天候にお目にかからない。梅雨が明けたら一気に猛暑日が続くというのはわかっているが・・。

改札を出るとまず目に入るのは、石山寺の本尊の如意輪観音の特別開帳の案内。石山寺は駅名にもなるくらいの観光スポットなので、下車客への案内としては当然である。このタイミングで石山に来たのはこの特別開帳があるためで、岩間寺からの帰りには石山寺に立ち寄る予定である。

南口に出ると、岩間寺へのシャトルバスを案内する立て看板がある。毎月のことなのでしっかりした造りである。それに従って進み、通常は京阪バスの折り返しスペースとして使われているであろう一角に入る。これから乗るのは9時20分発の便。

乗車前に係の人が、おでこに体温計をかざしての検温を実施する。特に問題なく車内に入る。発車時刻が近かったこともあり、結構乗車している。目で数えると20名前後といったところ。定員の20名というのは、2人掛けの席も1人ずつ着席する状態で満席になった数ということだろう。もっとも、中にはご夫婦や女性同士の複数客もいるから、20名というのも厳格なものではなく、一つの目安のようだ。

定刻になって出発。雨の中を進んでいく。東レの工場の横を通り、名神高速道路を跨ぎ、過去に訪ねて見覚えのある中千町から山道に入る。こんな道を歩いたんだなと、以前のことを思い出す。途中から人家もなくなり、急なカーブが続く。周囲の山も深くなってきた。過去に歩いただけに、シャトルバスは楽だなというのを改めて感じる。毎月17日だけと言わず、土日に数本ずつでもいいから運転してほしいのだがどうだろうか。運行する京阪バスとしてはこれは路線バスではなく、岩間寺による貸切輸送という位置づけのようだが・・。

石山駅から20分あまりで岩間寺の駐車場に着く。折り返し便は10時10分発で、これから30分弱。寺の大きさからしてお参りだけなら十分だが、ちょっと慌ただしいかもしれない。また、一緒に下車した人たちで納経所が混雑すれば厳しいかもしれない。まあ、間に合えば乗るし、間に合わなければその後の11時00分発に乗ろうかという心持ちで先に進む。中には時間を惜しんで早歩きの人もいる。

駐車場の小屋で入山料を納めて境内に進む。山門がない代わりに仁王像がお出迎えで、先に進む。

私の気持ちとしては10時10分発に乗りたいなというのが勝っているが、とりあえず一連の動きをする。中には手を合わせるのもそこそこに、とりあえずご朱印をいただこうと焦る様子の人もいる。かくいう私も観音経は早口で読んでいたのではないかと思う。

縁日ということで内陣にも入れるようになっていて、撮影不可のため画像はないが、山間の古刹の様子を見ることができる。

納経所も窓口3ヶ所で対応しており、ここで時間を食うことはなかった。あまり慌ただしいのもどうかと思ったが、ちょうど駐車場に戻ればバスが発車するというタイミングである。こうなると、雨の中で次のバスまで50分待つよりは、バスに乗ってとりあえず石山寺まで行ったほうがよさそうだ。そこまで行けば後の時間は柔軟に調整できる。

折り返しの便に乗ると、先ほどから少し人数が減っていたようだ。残りの人は最初から次のバス狙いなのだろう。下り坂ということでバスのスピードもスムーズである。

石山駅~岩間寺までは乗降の扱いがなかったが、岩間寺~石山駅までは途中のいくつかのバス停で降車のみ取り扱う。そのため、石山寺山門前にも停車。第12番から第13番に続けて参詣する人への便宜も図っている。実際、乗客の半数がここで下車した。逆にここから乗ろうとする客に対しては「降車専用です」と断っていた。路線バスの臨時便ではなく、あくまで、岩間寺による貸切運行の扱いだから・・。

雨が降り続く中だが、せっかくの機会で石山寺にも参詣することに・・・。

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タイガースの選手なら別に何をしても関西マスゴミは全力で擁護。結構な身分ですこと。

2020年07月15日 | プロ野球(バファローズ・NPB)

西宮球団で、コロナ禍で緊急事態宣言が出ている中で、オリックス・バファローズからフリーエージェントとやらで移籍あそばされた某投手が、何やら不倫なされたそうで。

まあ、結構なご身分。バファローズを足蹴にして殿上人におなりあそばされたのだから、女性の一人や二人、そんなもん不倫でも何でもないのでしょう。おめでたいことですなあ。

西宮球団には藤浪某という、後援会のヤクザ・・・失礼、熱心な谷町線の方々と親交を深めたれたり、その後は女子アナと乱交・・・失礼、熱心な意見交換会を交わされなさったという投手もいらっしゃるが、今やおとがめなし。立派にトレード要員として連日取り上げてくれる。

その藤浪某の後を受けた、しかもバファローズから出て行って西宮から三顧の礼で迎えられたのだから、やりたい放題。不倫、乱交も関西球団は美談として報道してくれるし、適当に揉み消してくれる。何なら、球団やマスゴミからによって、その女性とやらも数日後には淀川か大阪湾に浮かんでるのではないですか?

野球以外で全国ニュースにも出られたし、万々歳やなあ・・・。えっと、誰だっけこの投手?

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大相撲7月場所のチケットはこういう販売らしい・・・

2020年07月14日 | ブログ

7月19日が初日となる大相撲7月場所。本来ならば名古屋場所として連日熱戦が繰り広げられている。私も昨年初めて名古屋場所観戦に訪れて、両国国技館や大阪場所とはまた違った雰囲気を楽しんだものだ。

5月の夏場所を中止して、名古屋場所も力士たちの移動や、地方でのコロナ禍リスクを避ける意味で東京での開催として、無観客でもいいから何とか開催しようというので始まったところ。高田川部屋で集団感染が起きて現役力士が亡くなるという出来事もあった。それらを乗り越えて7月場所は無事開催となったが、ここに来て一足飛びで観客を入れての開催となった。

まあ、プロ野球やサッカーでも観客を入れるようになったし、それに続くというところか。1日の観客は両国国技館の収容観客数の4分の1である2500人までとしている。

大相撲の興行では砂かぶり、マス席、椅子席といろいろある中で、しかも発表から6日後の7月19日が初日というところでどうやってチケットを売るのか、あるいは誰に向けて売るのかが気になる。

そして相撲協会のホームページで発表されたのが、全席公式の「チケット大相撲」でのWEB販売という。まあ、WEB販売といっても誰でも簡単に登録できるから、別に部屋の後援会限定とか、お茶屋つながりでないと買えないというものではないようだ。

その内容。砂かぶりのタマリ席は販売中止、マス席は全てを1人マスとして販売。1人の単価としては通常より高いが、普段は4人分のマス席に1人で陣取ることができると考えればかえって割安ではないかと思う。そして国技館上段のイス席は一定の間隔を開けての販売。イス席の価格は通常とほとんど変わらないようだ。また、通常なら当日早い者勝ちで販売の最上段の自由席は、今場所は販売しないとある。

私は別に観戦するつもりもないが(東京に行く予定もない)、もし私が東京在住でこういうプランがあったら、マス席に行きたいなと思っただろう。実際には、7月14~16日にて先行抽選販売の受け付けがあり、その抽選の後、17日から観戦当日まで一般販売とある。まあ、先行抽選の時点で多くの申し込みがあり、そこで15日間すべて完売となるのだろう。

ただ、いろいろ制約があり、開場は13時とのこと。通常なら朝8時すぎからの入場で、序ノ口からじっくり観ることができるのも楽しみなのだが、ここは滞在時間を短くしようということだろう。13時開場ならちょうどNHKのBSと同じで、時間的には三段目の取組あたり。そして、館内ではアルコールの販売は行わないとある。プロ野球とは一味違って、相撲観戦となればビールは瓶または缶ビール、そして酒はワンカップ大関、手には国技館地下で調理する焼き鳥(個人的には、東京出張からの帰る際の新幹線のお供なのだが・・・)というのだが、7月場所ではないこと。

まあ、野球もそうなのだが、「こういう状況の下、大相撲を生で観戦させていただいて、誠にありがたい」という心境で国技館に向かえばよいのではないかと思う。無観客の中、「神事」というのを前面に出して称賛された相撲協会、客を入れての初めての本場所は、適度で、節度のある観客の中での興行となるのかな・・・?

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プロ野球有観客試合とGoToキャンペーン

2020年07月13日 | ブログ
観客を入れての初めての週末試合となったNPBプロ野球。11日の生観戦および12日はテレビ桟敷での観戦となったが、各球場での対応の違いもいろいろ気づくところだった。

中でも甲子園でのタイガース対ベイスターズでは、テレビで観る限りでは確かに座席は間隔を開けて発売されていたり、アルプススタンドは閉鎖ということでいつもと雰囲気が違っていたが、いつもと変わらずに鳴り物が鳴り、メガホンを叩いているのに驚いた。あらかじめ録音していた応援歌を音響として流していたそうだが、こういうことをすると絶対に「かっとばせ~!」と大声で応援する人がいたのではないかと思う。また、カメラも客席の様子を映す中でわざとそうした人を狙っているのかもしれないが、マスクを着用せず、あるいは「顎マスク」状態で、席を近づけてビール飲みながらベラベラしゃべっている人も目についた。まあ、観客の中でそうした人はごく一部で、球場も注意喚起はしているとは思うのだが、一方で何だかなあ・・・まあ屋外だから仕方ないかな・・・・そして所詮タイガースファンやからしゃあないなあ・・・と複雑な気持ちになる。

8月1日以降はどこの球場も収容定員の半数程度の客を入れる方向のようだが、そうなるとどこかで「密」ができることも避けられないし、注意を無視して大声で応援する人も絶対出てくるだろう。運営側の対策にも限界があることなので、そこは一人一人がきちんと意識して行動しなければならないと思う。今季については「野球を観戦させていただいている」というくらいの心持ちでよいのではないだろうか。

また、両国国技館で開かれる大相撲の7月場所について、2500人を限度に観客を入れて開催することが決まった。定員の4分の1程度の数だが、どういう配分にするのだろうか。

野球の間隔を参考にするならば、力士に近い砂かぶりは発売見合せ、マス席も1マスに1人、それも1~2マス開けて、椅子席も2~3席開けてとなるのかな。そしてチケットも誰もが買えるわけではなく、部屋の後援会とか茶屋ルート限定とか?

さて、新型コロナウイルスについては、東京ではこの数日新たな感染者が200人超というのが続いているし、大阪でも大阪モデルの基準値を上回ったことで通天閣が再び「黄信号」となった。こうしたコロナの第2波が来ているのではないかという不安に加えて、九州を中心とした豪雨災害である。さまざまな補償、対策費用が求められるところである。

その中でやり玉に挙がっているのが、「GoToトラベルキャンペーン」。コロナ禍で観光客が激減した観光地や旅行会社への支援策として出されたものだが、当初の計画を前倒しして7月22日からの4連休から適用するという。キャンペーンそのものも特定の業界だけ支援するのかという批判があるが、それ以上に大きいのはこのタイミングで前倒ししてやることへの批判。

私も7月の4連休は出る計画を立てているのだが、「GoToトラベルキャンペーン」といってもその内容は旅行会社のパッケージ商品の割引で、私のように個人で交通機関やホテルを予約して出かける分には関係ないかと思っていた。ただ、こうした批判が出たこともあってその中身の解説も出てきた。

それを見てみると、旅行会社のツアーの割引はもちろん適用の対象だが、個人旅行もその対象となるという。例えば、「往復の新幹線+ホテル」といった商品も対象となる。そして、交通機関とホテルを別々に予約した場合はホテルだけが対象で交通機関は対象外である。だから、新幹線や青春18きっぷというのは対象外。また、宿泊を伴う移動(夜行)も対象というが、こちらは夜行フェリーや寝台列車(サンライズ出雲・瀬戸)は対象だが、夜行高速バスは対象外とある(要は、布団や毛布を敷いて寝るかどうかが境目なのかな)。この辺りの細かな点はもう少し整理されることだろう。

すでに予約済の場合は、利用時に領収書と宿泊証明書をもらい、後日申請書と一緒に事務局に提出して還付を受ける形だ。一人1泊あたり2万円を上限として、代金の2分の1相当額を支援するもので、支援額の7割は代金の割引(還付)、3割はクーポン券の付与とある。

行く人、行かない人、キャンペーンに反対する人、旅行に来てほしい人、来てほしくない人、それぞれの立場で当然賛否がある。私はどうしようか・・・行くのは行くとして、国のキャンペーンには乗らずにあくまで自腹にこだわるか、いやいや、給付金は結局自分の手元に来なかったのだからせめてこの恩恵は受けておけというのか、迷うところである。もちろん「新しい観光様式」は実践する必要はあるが、とりあえず、現地で宿泊証明書だけはもらっておこうか・・・。
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観戦記・バファローズ対ファイターズ~久しぶりの生観戦(試合は接戦)

2020年07月12日 | プロ野球(バファローズ・NPB)

相変わらず無駄に長い観戦記で、ようやく試合開始である。11日のバファローズ対ファイターズの5回戦。バファローズが田嶋、ファイターズが金子の先発で始まる。

その田嶋の立ち上がり。先頭の西川に四球、盗塁の後に続く松本にも四球。一死後に4番・中田が三遊間を破る先制タイムリーを放つ。田嶋、大丈夫かと思われたが続く渡邉を併殺に打ち取ってピンチを脱する。

1回裏、先頭の大城。今季新しくなったビジョンにはこういう「俺の◯◯」とかいう一言も出る。

それはさておき、その大城が金子からライト前に渋い当たりのヒットで出塁。続く宗が送り、吉田のセカンドゴロの間に三塁に進む。ここで迎えるのはジョーンズ。ビジョンには早速チャンス時の「YMCA」が流れる。

・・・とここで、金子が暴投。思わぬ形で1点が入る。ともかく早い回に同点となった。

2回裏には金子対T-岡田という、かつてのチームの投打の顔同士の対戦もあったが(セカンドフライで金子の勝ち)、この日の先発はあくまでファイターズ流の「オープナー」ということで金子は2回で降板。昨年あたりからファイターズが取っている戦法だが、投手のモチベーションは大丈夫なのかなと気になる。ファンの方の思いやいかに。

3回からはファイターズは村田が「第2先発」として登場。一方の田嶋も2回以降は球数が多いながらも落ち着いた投球を見せる。

5回表、二死から宇佐見のヒット、西川の四球が出る。続く松本の打球をファーストのロドリゲスがよく押さえたが、ベースカバーに入った田嶋の足が離れて捕球ミスとなる。これで満塁。迎えるは近藤。この試合ちょうど100球目でセカンドゴロに打ち取り、何とかピンチを脱する。

ただ田嶋はこの日はここが限界と見て、6回は増井が登板。あの登場曲のイントロが流れると、スタンドにはあまりよろしくない方のどよめきが起こる。いきなり先頭の中田にヒットが出て大丈夫かと思ったが、続く渡邉がバント失敗、大田が併殺打でファイターズもチャンスをつぶす。

6回裏、大城の四球、宗のバントで一死二塁として、吉田正の打席。ファイターズは好投の村田から左のワンポイントで福田に交代。

ここで吉田正の当たりはファースト中田のミットをはじく内野安打。これを見て大城が三塁からホームに突入するが、ボールが返って来てタッチアウト。これはもったいない。三塁の風岡コーチはまたも「壊れた信号機」と揶揄されるのだろう・・・。

続くはジョーンズだが、交代した井口の前に空振り三振。中盤はお互いにチャンスのつぶし合いである。

ラッキー7。両チームとも応援歌は流れるが、もちろんジェット風船は禁止だし、大きな声で歌うことも禁止である。個人的には風船が鬱陶しかったのでこれはこれで良い。

その前に7回表。バファローズの3人目は山田。一死一塁から、宇佐見の打球はショートゴロ。6-4-3の併殺打かと思いきや、ショートの廣澤がファンブル。セカンドへの送球をあきらめてファーストに投げたが、バウンドが合わずロドリゲスがはじく。記録は廣澤の悪送球で、一死一・三塁とピンチが広がった。続く西川はショートフライ(廣澤、ちゃんと捕れよという無言の圧力がかかる)。

そして松本のところで、一塁ランナーの宇佐見が飛び出す。挟殺プレーの間に1点が入るかもしれないところだが、若月が落ち着いて廣澤に送球。宇佐見が慌てて一塁に戻るところ、廣澤が俊足で追いついて何とかタッチアウト。

8回表はヒギンスが登板。近藤に四球を与えたものの、中田、渡邉を連続三振に打ち取って安定した投球を見せる。

8回裏、ファイターズは6人目の公文が登板。先頭は廣澤の代打・山足。まずはレフト前ヒットで出塁する。大城がバントで送り、宗の内野安打で一死一・三塁として吉田正を迎える。まずは宗が盗塁で二・三塁とする。一瞬、吉田を歩かせて満塁でジョーンズ?というのも頭をよぎったが、公文はそのまま吉田と勝負。

吉田正も何とかファウルで粘ったが、最後は打たされたピッチャーゴロ。ゴロゴーのようで山足がホームに突っ込んでいてまたもアウトかと思ったが、公文がファンブル。ホームは間一髪セーフとなり、ついに2対1で勝ち越しに成功する。

その後、二死満塁となって打席にはロドリゲス。ここでセカンドの頭を越す2点タイムリーが出る。4対1と貴重な追加点となった。

ここでファイターズは公文をあきらめて、生田目を投入。私の勤務先企業出身の投手ということもあり、個人的にはここは抑えてほしいという気持ちも密かにはあった。しかし、投げるたびに「オリャッ」という声も挙げるのだが制球が定まらない。結局若月、小田に連続四球で押し出しとなり、5対1。「声だけやん」と、近くに座っていたファンがボソッと言ったのが聞こえる。

4点差となればディクソンもお休みかなということで、9回表は澤田が登板。代打・王にヒットを許すも二死となり、あと一人というところで代打・清宮。おっ、最後に清宮の打席も見られてよかったな、というところだったが・・・。

右中間への完璧な当たりは2ラン。これでスタンドもざわつく。結局ディクソンが登板することになる。まあ、ホームランでランナーがなくなったからかえって安心だった。

最後は西川をレフトフライに打ち取って、試合終了。お互いにミスも目立った試合だったが、チームは連勝、またこの6連戦はバファローズの3勝1敗1分となり、2カード続けての勝ち越しが決定した。あの6連戦6連敗の時はどうなるかと思ったが、ここに来て少しずつ勝ちだして、5位のファイターズにようやく追いついた。次は勝率5割が目標となる。

ヒーローインタビューは8回に好投し、その裏に決勝点が入ったので来日初勝利となったヒギンス。初勝利のボールをプレゼントされ、「サインして、『誰か』にあげることにします」と言っていた。

一方、敗戦投手は公文。これまでデビューからの「連続無敗記録」の日本記録を更新し続けていたが、183試合目でついにプロ初黒星となった。これは仕方ないとして、攻守のミス、栗山監督の采配についてはファンの方もかなりストレスのようで、ブログや掲示板にも結構激しいことが書かれているようである・・。

さて、試合終了後の退場も混雑を避けるため「規制退場」ということである。ヒーローインタビューが終ってもしばらくは座席に待機して、通路から観客がはけたタイミングを見て係員が案内する。また普段は開けない扉も開放して、出口が1ヶ所に固まらないように誘導していた。

何かと制約、異例の対応がある中、何とか興行を安全に開催しようというスタッフの方もお疲れさまでした。

「新しい応援様式」もあった観戦の感想として、終盤は特に1球ごとに緊張した。これまでなら終盤のチャンスとなるとここぞとばかりに鳴り物や歓声のボリュームも上がり、エネルギーを外に出すような感じだったのが、今季は真逆である。投球に入る前に、誰からともなく手拍子をするとそれがパチパチパチ・・・と広がるのだが、投手がセットポジションに入るとシーンと静まり返る。何だろう、相撲の立ち合い前の一瞬の静けさに似たようなものがあった。こちらも息が止まる。そして投球が終ると、それがストライクであれボールであれ、フーッと息を吐くような感じだ。最後は観ているほうもどっと疲れが出たが、この「新しい感覚」も悪くないように思う。次の生観戦は19日のホークス戦を予定しており、今度は上段席から観ることにしている・・・。

(最後にどうでもいいこと)バファローズの選手が打席に入る時、ビジョンに「俺の◯◯」が登場することについて触れたが、「俺の癒し」とか「俺の公約」、「俺の大好物」などといくつかのバージョンがある。その中の「俺の大好物」として、ロドリゲスの「お米に黒豆と豚肉を混ぜた料理」というのが気になった。どんなメニューなんだろう・・・。

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