再び「サイコロしりとりの旅」に話を戻す。長いことかかっているようだが、1日の行程を3回や4回に分けているだけの話である。
正雀からどちらに向かうか。「1.九度山」「2.柴島」「3.苦楽園口」「4.鞍馬」「5.車折神社」「6.杭瀬」の6つから出たのは・・・「5」。車折神社である。ということはもう一度嵐電に乗ることになる。この日の朝は宇多野まで行き、近鉄で法善寺、再び阪急で正雀と来てまた京都に向かう。宇多野から法善寺に行くのによく近鉄を選択したことである。ひょっとしたまた阪急に乗ることを予想していたのか。
ともかく河原町行の各駅停車に乗り、茨木市で特急に乗り換える。桂で準急に乗り換えて大宮で嵐電に乗るという慌ただしさ。昼間、眠たくなる時間帯である。路面電車に乗るとついウトウトとする。そこを目覚めさせたのはやはり・・・・暴れん坊将軍のテーマ曲。
車折神社に到着する。ここでも結構な数の客が下車する。神社の森はすぐ目の前に広がる。もっともこちらは裏参道ではあるが、ともかく参拝をしよう。
車折神社は昨今注目のパワースポットとしてテレビや雑誌などでも紹介されることが多い。「くるまざき」と読むが、後嵯峨天皇の乗った牛車が社前を通った時に車が裂けて動かなくなり、神の怒りを恐れて「車折大明神」の号を送ったのが社名の由来という。門の前の石を「車折石」とも呼び、「石」に対する信仰が厚いという。車が裂けたという理由は神の怒りというが、果たしてどうだろうかという気もする。今だったらクルマのタイヤがパンクした、あるいはエンストしたのが神社の前だったとか・・・いやいやそういう風に考えるのは野暮というものである。
ここでは「祈念神石」というのを授与される。まず本殿横の「清めの社」にお参りする。円錐型の岩に見える者、これは砂だという。
その後社務所で「祈念神石」をいただき、これを持って本殿にお参りする。後日願いが叶ったら、どこかで石を一つ拾い、その拾った石にお礼の言葉を書いて持参してお礼参りをして、本殿前に納める。本殿前にはさまざまな言葉が書かれた石がてんこ盛りになっている。さて私は石を持って再びここに来ることができるだろうか??
この車折神社が有名なのは「祈念神石」もそうだが、もう一つあるのはこの境内社にその名も「芸能神社」というのがある。芸能・芸術の神である天宇受売命(あめのうずめのみこと)を祀ることから、芸能や芸術に携わる人たちの強い信仰がある。祈祷は本殿である車折神社で行われるのだが、祈祷事項の中には「芸能上達」「公演成功」「ヒット祈願」「人気上昇」というものがある。
そのため、玉垣には多くの芸能関係者の名前が並ぶ。祇園の舞妓集もあれば歌舞伎、能・狂言、どこかの劇団員の名前がある。ただやはり目が行くのはテレビ等で活躍する俳優やタレントなど、いわゆる「芸能人」たちの名前。参拝客の多くは自ら芸能神社にお参りするというよりは、玉垣で有名人の名前を見つけるのが楽しみのようである。玉垣の申し込み案内というのがあるが「ご本人様(もしくは正式な許可をお持ちの代理人様)に限ります」とある。一般のファンが熱心なあまり勝手に奉納するとか、いたずらで申し込むというのを防ぐ意味合いだろうが、実際はどうなんだろうか。いわゆる有名人なら所属事務所が申し込むとか。
車折神社で運気を身に着けたところで、サイコロである。車折神社の「や」で行くのは・・・
1.大和八木(近鉄大阪線)・・・近鉄の各方面の列車が行き交うジャンクション。
2.山ノ内(京福嵐山線)・・・先ほど通って来た道路上の駅。
3.山の街(神戸電鉄三田線)・・・ニュータウンらしい名前。
4.山本(阪急宝塚線)・・・こちらも住宅街の駅。
5.八幡市(京阪本線)・・・石清水八幡宮のふもと。
6.近鉄八尾(近鉄大阪線)・・・再び河内に戻るか。
時刻は16時前。この日は18時から予定があるため、帰りがけに通る山ノ内以外は実質終了である。そして出たのは・・・・「3」。神戸の山の街である。
この日、「スルッとKANSAI3dayチケット」を使い果たし、夏の発売期間も終了している。ということでこの夏の「サイコロしりとり」はこれで終了。次の秋期間は神戸から再開となる。
・・・と言いたいところだが、実はこの「関西私鉄サイコロしりとりの旅」。この夏をもって一旦「企休止」ということにする。大阪阿部野橋から始めて京阪中之島線の渡辺橋を目指すこの企画だったが、ゴールならず。
まあ、連続して回ってきたことがあるのと、この夏からは鉄道の新たな企画を始めることがあり、ゴールは断念したわけではないが少し期間を置こうかと。
これまで回ってきた駅についておさらい。
【これまでの記録】
大阪阿部野橋~滋賀里~道場南口~茶山~牧落~中書島~松尾~黄檗~九条~鶯の森~林間田園都市~汐ノ宮~八家~橿原神宮前~恵比須~須磨~松ノ浜~真菅~貝塚~春日野道~千早口~千船~寝屋川市~志染~三井寺~洛西口~千鳥橋~汐見橋~信貴山下~大開~石切~りんくうタウン・・・相川~和歌山市~四宮~八戸ノ里~土居~泉大津~鼓滝~祇園四条~ウッディタウン中央~畦野~野田~高槻市~下古沢~和歌山港~打出~出屋敷~喜志~俊徳道~千代田~滝井~磯ノ浦・・・六地蔵~山陽魚住~弥刀~鳥取ノ荘~宇治~白鷺~木津~月見山~舞子公園・・・浅香山~丸山~的形~滝山~松塚~交野市~神宮丸太町・・・塚口・・・鶴原・・・龍安寺~四条大宮~山田川~和歌山大学前~江井ヶ島~牧野~野江~延暦寺~下新庄~宇多野・・・法善寺~正雀~車折神社
【会社別】
近鉄・・・13、阪急・・・8、阪神・・・7、京阪・・・15、南海・・・17、神鉄・・・6、山陽・・・7、高速・・・1、叡山・・・1、能勢・・・4、京福・・・4、坂本ケーブル・・・1
【府県別】
滋賀・・・3、京都・・・15、大阪・・・34、兵庫・・・22、奈良・・・4、和歌山・・・6
大阪阿部野橋をカウントすると、合計84駅の訪問であった。行ったり来たり、それぞれ自宅までの行き帰りも含めると正規運賃はいくらかかったのだろうか。「スルッとKANSAI3dayチケット」6枚で3万円だが、これを大きく超えているのは確か。まあ、元を取ろうが取るまいが、企画自体が普通の人から見ればアホらしいことなのだが・・・。
会社別で見れば南海が最も多かったのは意外だった。また路線の短い能勢電鉄や、途中テコ入れでリストに加わった京福も確率が高かった。府県別では駅数の多い大阪、兵庫が多かったのは順当なところ。近鉄線のある三重県が一度くらいは出てもよかったがそれは叶わず。
いろんな会社の顔や駅の表情が見られたこの企画。また再開する時が来れば引き続き楽しんでみたいところである。このシリーズにお付き合いいただいたご覧の皆さん、ありがとうございました。