11日、尼崎を朝の4時半にクルマで出発し、16時すぎに金沢市の西部公園にある石川県立野球場に到着。12時間の間どうしていたかの話はまた後ほどとして、石川ミリオンスターズ対群馬ダイヤモンドペガサスとの間で行われているBCリーグチャンピオンシップの観戦である。
北陸地区と上信越地区の優勝チーム同士で5戦3勝方式で行われるシリーズ。前日まで群馬が2勝1敗でリーグ制覇に王手をかけている。前日の第3戦は4時間を超える延長戦を群馬が制しているが、3戦とも接戦続きである。
公園には石川や金沢ナンバーに交じり、群馬ナンバーのクルマも結構停まっている。その中に神戸ナンバーのクルマを突っ込むのはちょっと浮いた感じがしないでもない。
入場料はシリーズに限り1,500円であるが、8月に金沢に観戦に来た折に石川の日本一に向けての協賛金募集に一口乗っており、その時の引換券に500円追加だけで入場できるという。それで入ったのだが、入場の際にNTTドコモ北陸の湯のみやら500g入りのパスタを2袋などがプレゼントでついてきた。これだけで500円を超えていやしないかな。
ということで、三塁側がホームの石川のベンチのすぐ上に座る。この球場、内野のネットが極端に低く、最前列に座っても目の前に障害物が来ないのである。一般の球場の場合、最前列となればフェンスが目の前に来て結構いらつくものだが、それがないのは非常に好印象。目の前に手すりの棒があるので、この上にカメラを乗せれば三脚の代わりにもなる。
試合開始が近づくと三塁側の石川も大勢の観客がつめかけ、一塁側も群馬からはせ参じた応援団がいろんな横断幕をスタンドに掲げている。チャンピオンシップにふさわしい盛り上がりである。東京に住んでいた時は群馬のホームゲームを見に行っており、その時見た選手の大半が残っているのだが、今日のところは石川が勝って明日の最終戦にもつれこんでほしいところ(そうなれば、明日も続けて観戦するつもり)。
ちょうど日が暮れる時間帯。球場で見る夕暮れというのも独特なムードがある。夜は冷えるのだろうな。・・・・ということは織り込み済みだったはずだが、実は羽織るものを自宅から持ってくるのを忘れてしまった。クルマなので熱燗で・・・というわけにもいかず、売店でお茶のホットを買って身体を温めながらの観戦。こういう秋のナイターというのを見るのも久しぶりだ。
後のない石川は左腕の大輔を先発に送る。石川には南という絶対的なエースがいるのだが、前日の試合で使ってしまっている。
1回表、群馬先頭の山田がいきなり左中間に二塁打を放つ。その後、二死一・三塁として5番の小西が三遊間を抜けるタイムリーで1点先制。
ところが石川も負けてはいられない。群馬先発の大木(イニングの初めには必ず「大きな栗の木の下で」のメロディーが応援席から流れていた)から簡単に二死となるが、3番の楠本の振り抜いた打球。
両翼が91.5mと狭いせいもあるが、レフトの頭上を越えてスタンドイン。たちまち1対1の同点となる。
これで三塁側の石川ファンも総立ちで大喜び。これで俄然面白くなった。
大輔は常にボールが先行する投球だが、時にスローカーブを交えて打者の打ち気をそらす投法で、ランナーを出しても粘って失点を許さない。地元ファンの「だいすけー!!」「ダイスケー!!」コールも投球を後押ししているようだ。
4回に群馬の9番・青木の打球がショートの後方にポトリと落ちるヒットになり2点目を許したが、5回には内野の守備の乱れで招いたピンチを断ち切るなど、我慢の投球が続く。
ところが、石川打線が大木の緩急自在の投球を捉えられない。3回にヒット1本が出るものの、その後はいい当たりが出なくなる。こういう試合の場合、関西の試合なら野次の2つくらい飛ぶところだが、石川のファンは前向きというか、素直というか、「次がんばれー!!」と常に温かい声援である。
イニングの合間には専属のチームによるラップやら、マスコットキャラクター「スタ坊」(決して、横浜ベイスターズのパクリではありません)がグラウンドに出てナインと客席を盛り上げる。選手たちも、客席も大きな声を出して何とかしようとしているのだが・・・・。
2対1と群馬リードで迎えた7回、ペガサス打線が火を吹く。この回先頭の小田が右中間への打球。俊足を飛ばして一気に三塁へ。続く3番・丹羽も同じような当たりを飛ばし、3対1となる。さらに4番・井野口の右越えの二塁打、7番・川村のタイムリーで2点を追加し、5対1と大きくリード。これまで辛抱してきた大輔もこの回で降板。
こうなると流れは群馬ペース。大木が7回を2安打で抑えた後は、キム→堤という必勝パターンに持ち込む。それでも石川の逆転を信じて、三塁側からは誰一人として席を立とうとしない。
そして迎えた9回裏。石川は先頭の座親がチーム3本目のヒットを放つが、楠本が併殺に倒れる。最後は4番・甲斐がピッチャーゴロとなり試合終了。
その瞬間にマウンドに集まる群馬ナイン。がっくりとうなだれる石川ナイン。勝者と敗者が分かれる瞬間である。それでも最後にはお互いに一礼し、健闘をたたえあうのがBCリーグ。勝った群馬ナインに、石川のファンからも温かい拍手が送られた。
群馬・秦監督の胴上げはその後。3回宙に舞った。昨年は参入1年目で上信越地区優勝を果たしたが、チャンピオンシップでは3連敗。何とか雪辱を果たしたという形になる。
BCリーグの村山代表から優勝トロフィーとペナントを渡される。これで、四国・九州アイランドリーグの王者・高知と対戦することになり、今年こそBCリーグ勢が「独立リーグ日本一」の座を勝ち取ることが期待される。
試合終了後にベンチでうなだれる石川の選手。彼らもまた、この3年間で着実に力をつけてきた選手たちである。悔しさを胸に来年も精進を重ねることだろう・・・。
来年といえば、石川の金森監督が千葉ロッテの打撃コーチに就任することが決まり、BCリーグ発足から3年間指揮をとったチームを離れることになる。試合終了後にファンへの挨拶が行われた。初代王者、今年の北陸地区優勝、NPBドラフト指名の第1号(楽天・内村)輩出、若手打者の育成・・・これらの実績が評価されてのロッテコーチ就任である。ファンの中には涙ぐむ人もいたが、これも前向きな話として最後は大きな声援と「金森コール」で送り出された。
3年間苦楽と共にしたナインに胴上げされ、選手一人一人と抱き合って声をかけるその姿は、現役時代「死球」のリアクションで笑いを取っていたとは思えない、円熟した指導者のそれだった。
いや、私にとっておそらく今年最後の野球観戦となるであろう試合。最後にいい場面というのを見せてもらった。まずは群馬の健闘と、来期以降のBCリーグのますますの盛り上がりというのを願うばかりである。
地域球団同士の熱戦が繰り広げられるBCリーグ。このリーグは来年以降も注目して観戦しますよ!
・・・ということだが、明日12日は野球観戦の予定はなくなった。さて、どのように過ごそうかな・・・・?