この間はオリックス対日本ハムのトレード話について書いたので、仕切り直しで旅行記の続きを。
山口・湯田温泉のホテル「喜良久」で朝風呂につかり、雑煮、お節料理、お屠蘇も楽しめるバイキング形式の朝食を済ませ、8時過ぎの気動車に乗車。久しぶりに山口市内を見物する、あるいは下関方面に向かう、ということも考えたが、何せ青春18きっぷで大阪まで戻らなければならない。当初の計画通り、新山口から山陽線で広島方面に向かう。
山陽線の岩国行は115系の3000番台。転換クロスシートのついた広島地区オリジナルの車両で、広島勤務時代には通勤の行き帰りによく乗ったものである。懐かしい。また山陽線のこの区間に乗るのも久しぶりである。
こちらに来てようやく瀬戸内海に出た。日本海と瀬戸内海、二つの海を見ることになったがやはり表情は全然違う。
岩国からは広島方面行きに乗車する。予想はしていたが車内は大混雑。そりゃ、日本三景、世界遺産の厳島神社へ向かう初詣客が多い。私も今回、厳島神社に向かう。出雲大社、太鼓谷稲成神社、そして厳島神社と島根、広島を代表する神社への参拝が目的となった今回の旅である。ただ、正月に厳島神社を訪れるのは初めて。広島勤務時代も、正月というのは大阪に帰省していたから。
青春18きっぷは宮島連絡船も対象となっており、そのまま桟橋に向かう。こちらも大行列だが、連絡船も3隻体制で10分ごとの運航。また車両甲板も開放して乗客を詰めると結構な人数が収まるものである。
宮島へは広電系の松大フェリーもあるが、JR連絡船は厳島神社の大鳥居に近いルートを通る。この、宮島の弥山と穏やかな瀬戸内の海に包まれた神社の光景というのはいつ来てもいいものである。また、行く時間によって潮が干潮か満潮か、鳥居が海に浮かぶように見えるか、あるいは鳥居の下まで歩いて行けるか、ネットで調べれば事前でもわかることだが、その日に現地に行ってどの景色に会えるかというのも楽しみである。今回は満潮とまで行かないまでも結構潮が満ちていた。干潮と満潮のどちらが良いかと聞かれれば、やはり絵になる満潮時かな。
下船して鹿の出迎えを受けるが、やはり参拝客の多さである。参道を歩くが、神社の入口のところで行列である。私が最後尾について後ろを振り返るとあっという間に行列が何メートルも伸びる。これでも2日だからまだ穏やかなほうで、元日はもっと大層な人出だったそうだ。厳島神社の構造からして、ここは入場制限をかけなければならないとのこと。
まあ今日中には参拝できるだろうな、とのんびり構えることにして、やっと行列が動き出した。行列がなかなか前に進まないのはもちろん人が多いからだが、その間に別の入口からツアーの団体客が割り込んでいくこともある。まあ時間が限られているから仕方がないのかな。

ようやく中に入る。中でも待つことになるが、そこは建物をじっくりと眺めることで過ごす。そうするうちにようやく中央の拝殿に至り、改めて新年に向けた祈願を行う(あ、でも厳島神社って、カップルで来ると別れるという嫌な言い伝えがあったよな・・・)。
拝殿から高舞台を挟んで鳥居を見る。この角度もいい。先端の灯籠と鳥居をセットで記念撮影する人も順番待ちの状態になっている。そんな中、高舞台の周りに人だかりができており、そのうち神社の人が灯籠のところにいる参拝客を追い立てにかかる。何でも、これから新春の舞楽を奉納するという。

雅楽の音色に乗って4人の男性が高舞台に上がる。奉納するのは萬歳楽。唐の時代、聖王の前に鳳凰が飛来して「聖王萬歳」と唱えたという伝説がある。その鳳凰の声や姿を舞楽にしたもの。しばらくその優雅さを観賞する。
厳島神社では何組もの人たちから撮影を頼まれる。普通のカメラならいいのだが、最近はスマホという人も多く、スマホを持っていない私としては不慣れで大丈夫かなと思う。画面のカメラボタンを押して、そこからちょっと間が空いてシャッター音がする感じで、タイミングがずれる気がする。それにしてもスマホの画質は結構いいみたいで、コンパクトタイプのデジタルカメラもだいぶ押されているという。カメラはスマホか一眼レフのいずれか、という日も来るかもしれない。
神社の裏参道も人だかり。まだ昼食をとっていないのだが、どこも行列である。広島に来たのだからと焼きカキをつまみ、土産物屋街でカキの鉄板焼とお好み焼をいただく。本当なら広島駅ビルと市内の新天地に好みの店があるのだが、今回は宮島口から鈍行乗り継ぎで帰るために立ち寄る時間がない。
観光地の中のこととて、この店のお好み焼も絶品とまではいかなくとも、まあこんなもんかという感じでいただいた。
そろそろ宮島を後に、連絡船に乗る。帰りも一本やり過ごすことになったが無事に本土に戻ってきた。ちょうど2駅岩国寄りの大野浦始発の糸崎行きがあり、残念だが広島はこれでスルーする。まあまた、今度はあの人と来れればいいか。ジンクスがあっても、せっかくの世界遺産なのだから厳島神社にも参拝したい。
広島時代に住んでいた五日市も過ぎ、広島から先の山陽線にも久しぶりに足を踏み入れる。セノハチ越え、西条辺りに来るともう日が落ちる頃だった。
糸崎の一つ前、三原で下車する。時刻表を見るに、本数の少ない岡山~姫路間の連絡も踏まえると、およそ1時間後に三原を出る姫路行に乗るのがいいかなということに。そこで、夕食の時間に当てることに。
三原といえばタコが有名なのだが、おあつらえ向きに駅前に「さかなや道場」がある。この「さかなや道場」は確かチェーン店で、マグロの形のハリボテが看板になっていたと思うが、ここは何とタコのハリボテ。糸崎や尾道といった漁港の札や、メニューにはタコ料理、広島カキ、そして広島の酒。もちろん居酒屋定番メニューも多いが、エリアによって郷土色を出しているのかな。
広島代表ということで千福に酔心、そして焼きカキやらタコ料理をいただく。最後は目の前で炊きたてのタコ飯。
広島カキとお好み焼はこの旅のお目当ての一つだったが、三原のタコは思わぬ出会い。こういうのがあるから、鈍行乗り継ぎは面白い。
その後は夜の闇の中、延々と列車に揺られることに。大阪に戻った時は宴の後のような気持ちになったが、過ごした日程はいろんなものに出会えて実によかったと思う。
やはりいいな、鉄道の旅は・・・。
旅行記に長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。