12月14日、広島県内をJRで一周すべく芸備線に乗車し、三次に到着。芸備線が多少遅れたが次に乗る14時40分発の福塩線には間に合った。もっとも、芸備線から乗り継いだのは私だけで、キハ120の先客も数人だけ。広島のローカル線といえば芸備線、木次線の存続が取り沙汰されるが、この福塩線の府中~塩町間も楽観視できない。
次の八次で技能実習生らしい外国人が6名乗ってきた。買い出しの帰りだろうか、食材や日用品が入った段ボールをそれぞれ手にしている。三次駅よりむしろこちら八次駅近くのほうが商店も多い。
塩町から福塩線に入る。中国横断道(尾道道)が併走するところ。この尾道~三次東~宍道(松江)の自動車専用道路の開通もローカル鉄道にとっては逆風である。
吉舎で先ほどの外国人実習生を含めほとんどが下車し、車内に残ったのは私を含め4人だけ。このうち2人は、鉄道に乗りに来たらしいお爺さんとお孫さんの組み合わせである。
この先のローカル線の区間を抜け、上下に到着。石見銀山街道で本陣のある町として栄え、上り下りの人々が行き交うこと、また瀬戸内側と日本海側の分水嶺があることからついた地名。ここで列車行き違いでしばらく停車するが、特に案内もなく、積み残しが怖いので(今年、ローカル線の小駅でその経験あり)車内に留まる。
上下からものんびり走り、備後三川から八田原ダム建設にともない移設されたトンネル区間を抜け、少しずつ芦田川沿いの車窓が広がる。16時31分、終点府中に到着。
この時間からでも福塩線の電化区間で福山まで行き、そのまま在来線を乗り継いで帰宅することができるのだが、この日はそのまま改札を出る。同じ県内でも(同じ県内だからか)東側に泊まる機会もなかなかないので、今回はここ府中で一泊とする。福塩線には何度か乗っているが、府中を目的地とするのは初めてである。
泊まったのは駅前の府中第一ホテル。昔ながらの造りの建物である。別に指定したわけではないが、高層階の部屋の窓越しに福塩線の線路があり、ちょうど府中駅に出入りする福塩線の105系を見ることができる。
さて、府中で一献ということだが目につくのは「府中焼き」である。広島のお好み焼の一種といえるが、豚バラ肉ではなくミンチ肉を使い、また麺も時間をかけてカリカリになるまで焼くのが特徴。広島市内にも専門店はいくつかあるが、こちら府中市では地元グルメとしてPRしている一品である。
今回訪ねたのは観光案内所に隣接する「一宮(いっきゅう)」。店名の由来は隣の福山市新市町にある備後一宮、吉備津神社からのようである。店内に吉備津神社のお札もあり、「全国一の宮」の朱印も飾られている。焼き上がりまでビールでしばらく待つ。
そしてこちらがその一品。広島のお好み焼も店ごとにさまざまな特徴があるのだが、思った以上にカリカリとして、むしろかじりつくといった感じであった。
後はコンビニで飲食物を購入し、部屋でゆっくりする。翌日はどうするか。
午後からの予定は決まっているのだが、午前中をどうするか。先ほど訪ねた「一宮」にちなんで、福塩線で新市で下車して吉備津神社に向かうか、気動車で通過した上下に向かうか。調べると、地元の中国バスで府中~上下間を結ぶ路線バスがあり、上下で1時間ほどの折り返し時間がある。上下には20年以上前に訪ねたことがあるが、その町並みを少しのぞくのもいいだろう・・・(それにしても、まだ時刻は朝8時すぎなのに、次の三次行きは15時00分って・・)。