11月17日、弥山の山頂から弥山本堂に着き、長い期間かかった広島新四国八十八ヶ所めぐりも結願となった。霊火堂にて1200年以上「消えずの火」で沸かした茶釜の霊水をいただき、これから下山である。
4年前に弥山に登った後は獅子岩まで歩いてロープウェーに乗ったのだが、今回は紅葉谷コースの登山道を歩いて下ることにする。弥山への登山コースの中でもっともアクセスしやすいとして、特に歩いて山頂を目指す人たちにお勧めという。大聖院コースより歩きやすいのかな。ロープウェーとの分岐点から紅葉谷公園まで1.8キロという表示を見て、下りに入る(もっとも、ここから弥山山頂まで0.7キロとあったから、登山口からの距離でいえば大聖院コースとさほど変わらない)。
自然の石で形成された石段を下るが、目につくのは倒木、そして荒々しく存在する岩の数々である。あくまで個人の感想だが、大聖院コースは石段が多くきつかったが、大聖院を経由して奥の院、山頂を目指す昔からの参道として整備されており、歩きにくいというところはほぼなかった。一方の紅葉谷コースは自然の登山道の名残だろうが、規則的な石段はなく道も凸凹していて・・。
上りがしんどいのは心肺機能、そして下りがしんどいのは脚に来ているという。私もこのところ体重は減っているのだが、下るうちに脚・・というより膝の部分が痛くなってきた。体重は減ったのはいいが、年齢とともに筋力も落ちたのを実感する中、持参のトレッキングポールが重宝した。これがなかったら・・。
とはいえ、歩数を重ねる中でさすがにしんどくなった。途中から紅葉谷公園までの丁石ではなく案内板が現れるようになり、それを励みに下っていく。
そしてようやくなだらかな坂となり、前方に紅葉のスポットが現れた。ここに来てホッとするが、一方で膝から下の痛みも強くなってきた。
厳島神社まで戻って来た。高潮のため参拝を停止してから4時間あまりが経過した後だが、その時とは打って変わって潮が引いている。さすがに大鳥居の下まで歩いて行けるほどではないが、回廊を支える柱も見える。大聖院に参詣、弥山に登山、そして下山した後で対照的な景色を見ることができるのも面白い。まあ、今回は参拝はいいかな。
その代わり・・ということで、広島新四国八十八ヶ所めぐりの結願、そして弥山登山後のお楽しみということで、一献としよう。観光客、参拝客で賑わう参道を歩く。
まず訪ねたのが宮島ブルワリー。1階のスタンドでは気軽に味わうことができ、3種類の飲み比べセットを注文。同じく登山帰り、あるいは外国人観光客もスタンドの雰囲気を楽しんでいる。私はようやく腰を下ろすことができてほっとする・・。
続いて訪ねたのが「杓子の家」。買い求めた杓子に名前を入れてくれる店であり、必勝祈願、優勝記念の巨大杓子が飾られている店。この一角にドリンクスタンド「ネコモシャクシモ」がある。こちらでは広島レモンを加えた桜尾ジンのソーダ割をいただく。桜尾ジンとは同じ廿日市市にある地元の酒造メーカーのブランドで、これもある意味広島の「地酒」である。
さらにハシゴして・・広島レモンが主役のカクテルバー「GEBURA(ゲブラ)」へ。広島名物の牡蠣の横にちょこんと添えられているレモンを主役に抜擢したというのがコンセプトで、オリジナルのレモンシロップがいい味を出している。ちなみに「ゲブラ」とはオランダ語で「兄弟」という意味だとか。こちらのドリンクはテイクアウトしてもいいし、店内でいただいてもいい。
こちらでは店内に桜尾ジン、桜尾ウイスキーをはじめとしてサントリーの各醸造所の便がずらり並ぶ。お好きな方にはたまらないだろう。
この「ゲブラ」の面白さは、最初にいただいたカップを注文口に持って行くと、800円以下のドリンクが200円でおかわり(しかも何杯でも)できるというもの。また「ゲブラ」は島内に3店舗あり、どこの店でおかわりしてもよい。このシステムは観光客にも結構知られているようで、注文口には結構な行列ができていた。
さすがに札所めぐりよろしく短時間で3軒めぐるとよい心持になり、ぶらぶら歩いて宮島桟橋に戻る。
復路は変化をつける意味で松大フェリーに乗る。広島市内方面の景色を眺めるならJR宮島フェリーよりおすすめである。
宮島でそれなりの時間を過ごした。このまま広電に乗り、そのまま高須まで揺られる。
・・・これで、広島新四国八十八ヶ所めぐりも結願となったが、実はこの後、番外霊場が残っていた。平和記念公園内の原爆供養塔である。こちらは真言宗にとどまらず宗派の枠を超えて、原爆の犠牲になられた方々の慰霊と世界平和を祈願して番外としているという。
札所としては結願したが、やはり最後はこの地を訪ね改めて平和を祈願することにしよう・・・。