4月21日、日帰りで福岡までホークス対バファローズの試合観戦に出かけた。その観戦記はすでに書いたのだが、その前段ということで・・。
広島から博多までは「のぞみ」や「さくら」なら1時間10分以内、「こだま」でも1時間半、途中駅で後続列車の通過待ちが続いても2時間ほどで着く。新幹線の時間だけでいえば大阪よりも近い。そのこともあり、2回目の広島勤務となった2020年10月以降、バファローズの福岡での試合を観る機会もつくっている。
さてこの日、広島6時53分発の「こだま781号」で出発する。この列車、九州への日本旅行の割引プランを使って何度も利用している。現在鹿児島まで進んでいる九州八十八ヶ所百八霊場めぐりでは九州へのアプローチとなっている。この日は乗車した後、車内ではウトウトを通り越してしっかり眠っていた。各駅停車だが、ホームの駅名標を見ていない駅もちょくちょく・・。
九州に入り、さすがに8時を回ると体もシャンとしたようで、8時21分、博多に到着。そのまま在来線ホームに出て、門司港方面の列車が発着するホームの一角にあるスタンドでラーメンをいただく。ホームの立ち食いそば・うどんはあちこちにあるが、立ち食いラーメンというのが博多らしさである。
さて、ペイペイドーム福岡での試合である。あ、4月25日からは「みずほペイペイドーム福岡」という、スポンサーが2社連名となったなあ・・。もしこのドームで日本シリーズが行われることになると、日本シリーズのスポンサーはSMBC、三井住友である。「みずほドーム」というのは面白くないだろうな・・・あ、いや、ホークスが日本シリーズに進出してこうしたことを心配するより、バファローズが4連覇して日本シリーズ進出、そしてタイガース・・いやカープとの対戦でバファローズが日本一になることが、私の願いである・・。
まあ、オリックス銀行、楽天銀行というのもあるし、いらん心配だ。
何の話だったか。ドームでの試合前に福岡のどこかに行けないかということである。九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは鹿児島だし、取り急ぎ、福岡での札所めぐりはない。その中で鹿児島線の門司港行きに乗り、降り立ったのは福津市にある福間駅。
ここから向かうのは宮地嶽神社である。福岡から東の方向に筥崎宮、香椎宮、宗像大社など由緒ある神社が並ぶ中、宮地嶽神社もあったなということで出かけてみる。西鉄貝塚線は以前は西鉄宮地岳線として津屋崎まで運転されていたが、この神社への参拝者の輸送も担っていたことだろう。
やって来た西鉄バスに乗り込み、6~7分で宮地嶽神社前のバス停に到着。松ヶ枝餅などを売る門前の商店街を抜けると石段が続く。
石段を上りきったところで後ろを振り返る。この日はどんよりした空模様でこの後雨になるのだが、ここからの景色が「光の道」として知られている。参道が海岸まで一直線に伸びており、沈む夕日がその参道を照らすと一筋の光の道が生じる。毎年2月下旬、10月下旬頃に見られる現象だが、有名になったのは数年前にテレビCMのロケ地になってからだという。
もちろんこの日は景色を望むべくもなかったが、石段の横には「光の道」のパネルがある。
そのまま境内を進む。宮地嶽神社の創建は約1700年前、神功皇后が三韓征伐に出発する時、宮地岳の頂上に神を祀り、勝利を祈願したのが始まりとされる。後に神功皇后を主祭神として、おつきの勝村大神、勝頼大神とともに祀られている。「何事にも打ち勝つ開運の神様」として全国から多くの参拝者が訪れる。
様々な神馬やなで牛も並ぶ。神馬といえばたいていは颯爽と駆ける様子を表しているが、こちらには頭を垂れている神馬像がある、これは何かのメッセージだろうか。ちょうど脇に「人間万事塞翁が馬」とあるが・・。
拝殿に到着。しめ縄が太くて大きい。大きなしめ縄といえば出雲大社を思い浮かべるが、宮地嶽神社によればここが日本一大きいという。
また奥の本殿だが、屋根が金色である。宮地岳の中腹には6世紀末頃のものとされる宮地岳古墳というのがあり、石室にはさまざまな装飾品が納められており、金を施したものも多数見つかっている。時代を経て開運、商売繁盛の神として信仰を集める中、現在の地に遷って80年の年に屋根を黄金色にしたとある。しめ縄の他、こちらも日本一の大きさとされる大鈴、大太鼓。そして「光の道」・・パワースポットを前面に押し出しているかのようだ。
ここまででも十分ご利益ありそうだが、宮地嶽神社でぜひ訪ねるべきとされるのが「奥之宮八社」。こちらも一社一社お参りすれば大願が叶うという信仰がある。この奥之宮の先にあるのが宮地岳古墳である。それほど時間もかからないようなので、せっかくならば訪ねてみよう。
まずは一番社の七福神社。小さな祠だが、いきなり七福神のお出迎えとは。
二番社は稲荷神社。朱色の鳥居が幾重にも並び、狐の像も出迎える。
そして三番社の不動神社に向かうが、参道には多くの幟が奉納されている。ここが奥之宮八社発祥の地で、祠の奥に宮地岳古墳の石室があり、現在は不動明王が祀られている。不動「神社」というのも神仏習合の要素があり、そもそも、かつてはこの地を治めていたであろう有力者の石室を神社にするというのも大胆だと思う。
ここで折り返しとなる。四番社は万地蔵尊。子どもの願いを叶えてくれるという。
五番社は恋の宮。こういうジャンル?も扱っているのか。淡島神社と濡髪大明神の二社ということで、女性の体、心両面を守るという。
六番社は三宝荒神。火の神様として、台所や食べ物・調理の神様として信仰されている。祠の脇には竈も置かれ、また左右に鶴が一対置かれている。竈はわかるのだが、鶴が三宝荒神と何か関係あるのだろうか。
七番社は三宝荒神のすぐ脇の水神社。この辺りは大きな川がなく、農民たちは古くから宮地岳の地下から湧く水を神の恵みとして大切にしてきたという。
そして最後は薬師神社。こちらも薬師如来が神社に祀られるという神仏習合である。
江戸時代中期、宮地岳の山崩れにより古墳の石室が見つかり、畏敬の念として不動明王を祀ったのが奥之宮八社の始まりとのことで、八つの社でありとあらゆるご利益を網羅している。よく八社並べたもので、ありがたい限り。
宮地嶽神社からの帰りだが、バスの本数が限られる中、奥之宮八社を回ったことで中途半端な時間になった。ただ、往路のバスも乗車時間は6~7分だったから、歩いても行けそうだ。今にも雨になりそうな中、約25分で福間駅に戻った。ここでちょうど雨が降り始めたから、宮地嶽の諸々の神仏が護ってくれたようなものだ。
そして博多まで出て、ドームまで移動。そしてこの日はバファローズが勝ち、私の福岡観戦の連敗記録も止まった。宮地嶽神社さまさま・・・?