九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは鹿児島線で久留米に到着。これで東九州から南九州にかけての九州一周ルートがたどり着く形になり、ここからは佐賀、長崎方面の西九州に入る。
コンコースに出ると酒樽が出迎える。訪ねた日(2月11日)の次の週末、久留米の城島地区にて「城島酒蔵びらき」というイベントが行われるとある。不勉強なもので初めて目にする地名だが、案内によれば灘、伏見、西条と並ぶ酒どころだという。
これから目指すのは第94番・大日寺。地図を見ると、歩こうと思えば歩けるし、ちょっと遠いかなと思えば遠いという微妙な距離。バスの便もあるが、久留米駅に着いた時点では間隔が空きすぎている。穏やかな気候だし、30分ほど歩けば着くかなというところなのでそのまま向かうことにする。バス乗り場がある東口に来たが、再び自由通路を渡って駅の西口に出る。
久留米駅の西には筑後川が流れており、長門石橋の歩道を歩いて渡る。ちょうどこの辺りは川幅も広く、河川敷にゴルフのショートコースも設けられている。九州新幹線、鹿児島線の橋脚もあり、ちょうど特急「ゆふいんの森」が橋を渡るところであった。
橋を渡ると長門石の町並みに入る。この辺りは筑後川を挟んで右岸が佐賀県、左岸が福岡県なのだが、ここ長門石地区は右岸に飛び出ている形になっている。その逆に、佐賀県に属するが筑後川の左岸に位置する地区もある。ひょっとしたら昔は筑後川も蛇行しており、その跡に合わせて佐賀県、福岡県が決まったという歴史でもあるのかな。
住宅地に入り、市営住宅を左に見ながら歩くうち、大日寺に到着。山門や境内があるわけではなく、住宅と本堂が合わさった建物である。正面の扉は閉まっており、不在にしている旨の貼り紙がある。朱印は玄関前の箱に入っていたのでセルフでいただく。
大日寺は1985年、檜枝淳心尼により開かれた寺院で、その名のとおり大日如来を本尊としている。ちょうど玄関前に大日如来像が祀られており、こちらでお勤めとする。九州八十八ヶ所百八霊場の公式サイトでの紹介によると、元々この辺りはのどかな田園地帯だったのだが、後になって宅地化が進んだとある。
また大日寺は「かっぱ寺」の愛称があり、建物の周りにはかっぱの像が並び、かっぱの好物であるきゅうりを形どった風鈴もある。久留米といえばかっぱにまつわるさまざまな伝説があり、その中でも筑後川にはその昔、九千坊河童という一族が棲んでいたという。元々熊本にいたのだがあまりの傍若無人ぶりに加藤清正から追われ、人畜に悪さをしないことを条件として久留米の有馬氏から筑後川に棲むことを許された。それ以後、筑後川の守り神になったとされる。
さて、今回の筑後シリーズで福岡県の南部も終了し、さらに数キロ行けば佐賀県に入り、第60番・龍王院がある。今からでも行こうと思えば行けそうだが、ただ今回はきりよく福岡県側で終了し、佐賀県へは次回から改めての訪問とする。ちょうど、札所めぐり以外のお目当てがあり、その日程に合わせて佐賀に向かうことにする。
帰りはたまたまタイミングよくバスが来たので乗車し、筑後川を渡って久留米駅に戻る。東口ではタワーマンションの建設工事が始まっているところ。そのロータリーにはからくり太鼓時計、世界最大級のタイヤ(ブリヂストン創業の地ということで)、「とんこつラーメン発祥の地」碑などが並ぶ。
今回は日帰りでのお出かけで筑後エリアでの宿泊とはならなかったが、帰りの新幹線の時間まで一献としよう。久留米でも賑わっているのは西鉄久留米のほうだが、そこまで移動することもなく、ちょうど駅直結の「えきマチ一丁目」にある「魚々路(ととろ)」に入る。土日祝日は昼間から営業のようだ。チェーン店のようだが、その店舗の場所が北海道の札幌、釧路、静岡の三島、愛知の刈谷、そして福岡の久留米・・・とばらばらである。
単品飲み放題があり、そちらでいただきましょう。筑後キャンプ見学と札所めぐり、結構中身が濃いものになった。
まずは前半戦、刺身の三種盛り、とり天おろしポン酢、ネギ冷奴をいただく。
そして後半戦。こちらの店は焼き鳥、海鮮浜焼きが売りとある。焼き鳥は盛り合わせとして、海鮮も単品で注文。人数が多い場合は自分で卓上料理もできるそうだが、ここは店の方が焼いたものを出してくれた。
・・何だかあっさりした書き方になったが、飲みのほうはこの後サワーものをいろいろ飲んで元は取ったし、まあ、新幹線の時間までのつなぎでこれだけのものを口にできてよかった。
その「魚々路」を出た後、同じ並びにあるラーメン店「満一」に入る。このところ「飲んだ後のラーメン」というのは控えるようにしているのだが、先に「とんこつラーメン発祥の地」というのを見たものだから、まだ明るい時間だし、夕食としてラーメンもいいでしょう。