それにしても30日の総選挙結果はすさまじかった。4年前の「郵政選挙」で自民党・公明党が獲得した議席もすごかったが、今回の「政権交代選挙」で民主党が単独で308議席。いくら自公連立に逆風、民主に追い風とはいっても、こうも極端な数字となって現れるものだろうか。国民が政権を選ぶといいつつも、何だか見えざる手で踊らされているような気がしないのでもないのだが・・・。
私の住む尼崎市が選挙区となった兵庫8区。こちらは接戦となったが新党日本の田中康夫代表が、長く議席を守った公明党の冬柴鉄三氏を破って当選。個人的には「関西人が田中康夫のキャラクターをどう評価するのか」という見方があったのだが、知名度で辛うじて勝利したというところだろうか。マニフェストで独自色を出そうとしていたのだから、国政の場で少しでも実現されることを期待したいものである。
さて、この週末(29~30日)はそんな総選挙の喧騒を避けるため、またも「青春18」片手に早朝から列車に乗る。目的地は、ナイターでのプロ野球独立リーグの試合が行われる金沢。先週岐阜へ向かったときよりも大阪駅を20分あまりゆったりとした出発なのだが、それでも5時22分発。朝帰りの人、新大阪で新幹線の始発に乗り継ぐ人などを乗せて京都に向かう。
この日は京都から湖西線の列車で近江今津へ。自宅を出るときは雨もぱらついており、ここまでぐずついた天気模様。久しぶりの湖西線乗車で琵琶湖の景色を眺めるが、雲のため対岸までよく見渡すことができない。
8時14分発の福井行きに乗車し、新疋田の山越えをこなした後、敦賀着。この列車は福井行きであるが、その先、金沢まで向かう普通列車は敦賀始発となっている。このため、始発から席にありつこうとここで下車した。敦賀の町も港町として観光客の誘致がさかんである。今回は乗り換えのため素通りとするが、またいずれ、ウォーキング目的で散策してみたいものである。
今後の9時53分発の金沢行きは、旧国鉄急行型の455系。それが6両つながっている。車両につけられた銘板を見ると「昭和40年」「昭和43年」など、私が生まれる前から活躍していた車両ばかりである。
それが6両もあるとなるとなかなかどっしりとした壮観が漂ってくる。最近のステンレスやアルミで出来た車両だと、こうはいかない。
朝のラッシュでもないのに6両は多いなと、ボックス席に陣取って発車を待つ。発車直前にホームの向かい側に京阪神からの新快速列車が到着。すると、ここから大勢の乗客が一斉にこちらの列車になだれ込んできた。9割5分くらいが「青春18」利用の「タダの客」である。ボックス席はもちろん埋まり、デッキに立つ人も大勢出た。6両つないでこの有様なのだから、どんだけ乗客が集中しとんねんというところである。まあ、私のように大阪を5時台に出るのは別として、京阪神を7時半~8時台に出るとなればちょうど接続がうまく行く時間である。
乗客は特に中高年が目立ち、その多くが手にしているのは市販の時刻表ではなく、パソコンの画面を印刷したものである。こういう乗り継ぎ検索の場合、特に最短ルートで、待ち時間の少ない乗り継ぎを提示するものだから、それを見た人はおのずと同じ列車に集中することになる。本当、最近は鈍行列車のほうが座席の確保が難しくなっている。
北陸トンネルを抜け、今庄から少しずつ平野部が広がる。車内は中高年女性の話し声で賑やかである。往年の急行列車の車内もこのように乗客の活気ある声が充満していたのだろうか。
途中、特急列車の通過待ちをしながら、地元の人たちも入れ替えながら、敦賀から2時間半で金沢着。高架ホームからの階段には人があふれ、都市部のラッシュ時とさほど変わらぬ賑わいぶり。
さて、この日は金沢の繁華街・香林坊を16時25分に出発する路線バスで市民球場に向かうとして、それまでは金沢散策とする。4年前に初めて金沢の町に降り立ったのだが、その時は兼六園や茶屋街、そしてレンガ造りの近代化遺産の建物を利用した県立博物館を回っている。今回はどうしようか。
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・・・とその前に食事。インシュリンを投与した後、駅高架下のレストラン街へ。DM患者とはいえ旅に出たときはそれなりのものを食べたいという欲求があり(それが積み重なるとよろしくないことになるのはわかっているのだが・・・)、地魚を扱っているという「魚菜屋」へ。今夜のナイターでは地元の名物らしきものが食べられないことはわかっているので、北陸の魚は昼のうちに食べてしまおうというもの。
注文したのはバイ貝、サザエなどの貝をメインとした刺身と、ホッケ焼のついた定食。刺身ならカロリーもいくらかは抑えられるし、やはり新鮮なものを食べるということで味覚も満足である。朝食の時間がべらぼうに早かったこともあってしっかりといただき、天気も回復してきたので町をどう回ろうかといったところだ。
駅前のロータリーはバス乗り場である。柱に大きく乗り場番号が貼られているが、正直、金沢のバスの系統が飲み込めていない。路線図も入り組んでいるし、途中まで行くのなら別の乗り場から出るバスでも大丈夫というようなところもあってややこしい。そのうえ(これは私の個人的な感想なのだが)、行き先表示や運転手の案内も他所者にとっては非常に無愛想に感じる。
そんな観光客にもわかりやすくということか、一方では観光ルートを回るレトロバスや「まちバス」というのも出している。市内の観光スポットに立ち寄りながら循環するもので、こちらはわかりやすい。結局、100円でルートを回る「まちバス」に乗車し、市内中心部へ向かう。目的地は、金沢の新しい観光スポットとして人気を集めている円形の建物・・・・。(続く)