「次の日曜日、野球観に行かない?」
これまで球場に共に足を運んでいるK氏からのお誘いである。もとよりソフトバンク戦のこと。はて、次の週末には関東遠征だったっけ。所沢に行くのかな?
「東京ドームで日本ハムとよ。」
なるほど、日程表を見るとこの土日の2連戦のようだが変則的で、土曜日が函館でのデーゲーム、そして日曜日が東京でのナイターである。今年も相変わらずパの試合、交流戦を観戦してきたが、日本ハム絡みの試合をまだ観ていない。ならば行くか。
さて当日30日。18時の試合開始だから16時くらいに開門、それくらいに行けば大丈夫か・・・と、東京ドームの正面入口に着く。すると何とまあ長蛇の列。そして、「指定席、外野席、1階の内野自由席は全て売切れです!当日券お求めの方は内野の2階自由席をお求めください!」と係員が大声でアナウンスしている。へえ、日本ハムの「東京主催」というのはこんなに入るのかと改めて驚く。
事前打ち合わせ時の勘違いか、17時になってようやくK氏夫妻が現れる。2階席はこの時点では席があったので、ちょうどバックネットの上方の席を確保。ちなみにこの日の2階自由席は定価1000円。外野席の料金がいくらか聞かなかったが、ひょっとしてこちらのほうが特別に安く設定しているのかも。ただその2階席も時間と共に大勢のファンがやってきて、試合が始まってもまだ空席を求めて彷徨っている「難民」のような人たちも大勢いた。ビールの売り子も人出が足りないんじゃないかと思うくらい忙しく立ち回る。いや正直、日本ハム戦でこんなに満員となるとは思わなかった。
すっかり北海道になじんだ感のある日本ハム(現に最近になってプロ野球を観るようにはったK氏の奥さんは、日本ハムが東京に本拠地を置いていたことを知らなかった)だが、やはりかつての本拠地、東京のファンはまだまだ熱い。日本ハムが好調ということ、また夏休み、そしてひょっとすれば東京ドームでは見納めになるかもしれないあの選手を観たいということか。
先発は日本ハムがルーキーながら既に8勝の八木、ソフトバンクが杉内。序盤は共に一人のランナーも出さず、3人ずつで片付けていく。特に八木投手の組み立てが素晴らしく、シーズン初めにホークス打線を「10回」ノーヒットノーランに抑えたその投球がホンマモンであることを目の前で披露してくれる。
試合が動いたのは4回裏2死から。3番小笠原が初安打となる一発をライトスタンドへ。ドームの右半分から大きな歓声が上がる。続くセギノール、稲葉の連打でさらに1点追加し、ここでSHINJO。スタンドのざわめきが一段と大きくなる。
そして、杉内の投じた内角のボールを振り抜くと、打球は勢いよく左中間へ。歓声とともにそのままスタンドイン。何というか、地響きのようなものを感じた。よく「熱い空間」といえば千葉マリンのロッテファンをイメージするが、今日の東京ドームに詰め掛けた日本ハムファンもそれに劣らぬものがあった。
直後の5回にズレータの特大の一発が出てホークスが1点返すが、その後、稲葉の一発、金子のタイムリーなどで7対1とワンサイド。ワンサイドというのは、八木が8回までに許したヒットというのが、ズレータの一発だけだったのだ。これにはK氏もお手上げのご様子。
その八木、9回に川崎に安打、続く辻に死球を与えたところで交代。普通にこの点差、9回ということを考えれば完投と思うのだが、そのあたりはチームの勝利優先に徹する外国人監督らしい継投ということか。その後、大道のタイムリーで2点返すが、反撃もここまで。7対3で日本ハムの完勝。「満員御礼」のメッセージも出たくらいの大勢のファンを満足させる結果となった。
東京を本拠地にしていた頃も、毎回これくらい盛り上がっていれば札幌に移転することもなかっただろうな・・と思う一方、札幌に行ったからこそパのファン拡大につながったのだからよかったとも思うし、何だか複雑な気がする。それでも札幌を拠点として道内各地にも転戦し、そして年に2~3回は東京での凱旋試合を行う・・こういう営業方針が今のところ当たっているということか。
こうなれば一度行きたいのが札幌である。あちらでの盛り上がりは東京と比べてどうなのか。球場の雰囲気や演出は?新たな球場めぐりの旅の計画が楽しみである。