ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「我々の民意で、これほど民主主義に背いた選挙を行った報いを安倍政権に受けさせよう!」by守田氏

2014年12月20日 | 日本とわたし
まず心に響いたのは、鎌仲ひとみさんのこの言葉です。
「日本人はまじめで責任感が強いから、ひどいことをされたと思うよりも、避けられなかった自分が悪いとすぐに思っちゃうのよ。
そう教育されちゃってるのよ」

わたしが初めてこちらを訪れた時、何度も何度も言われたのは「Don't be sorry」でした。
いったいどうしてあなたが謝っているのか、わたしたちにはさっぱり分からないという顔をして。
わたしにとってはとても自然な流れの言葉だったのにと、今度はわたしが首を傾げる番でした。

でも、こちらで暮らすようになってから、この鎌仲さんのおっしゃる意味がしみじみと分かるような出来事が何度かあって、
昭和のど真ん中生まれの自分が、どのような教育を受け、どのような風潮の中で育ってきたかについて、思い返しながら考えることが多くなりました。


それとは別に、記事を読んで驚いたのは、あの読売新聞が、こんな記事を書いていたということでした。
でもそれもやはり、意図があってのこと。
では、詳しいお話は守田さんから。

↓以下、転載はじめ

読売新聞が、安倍政権は民意を得ていないと自民党議員を説得?
【総選挙を捉え返す-その2】

http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f33ebdb90d5c3fd07a124b7508bd79d6

守田です。(20141219 22:00)

前号の「明日に向けて」で、「史上最低の投票率こそ問題。安倍政権は信任を全く得ていない!」と書きました。
しかし。ネットなどを読んでいると、民主的な側にスタンスを置く人々の間に、「ヴィジョンを出せなかった野党の敗北」という見解がけっこう多くあります。
なぜ自民党の圧勝を許したのか・・・みたいな論調です。
そうした論調はさらに、野党のふがいなさとか、対与党統一候補を作れなかったからよく無かったとか、
なぜ人々は、こんなに大事な選挙なのに棄権したのか、という方向にむかいがちです。

これを聞いて、僕は先日、滋賀県で対談した映画監督、鎌仲ひとみさんの言葉を思い出しました。

「日本人はまじめで責任感が強いから、ひどいことをされたと思うよりも、避けられなかった自分が悪いとすぐに思っちゃうのよ。
そう教育されちゃってるのよ」
というものです。

これは、子どもを初期被曝から守れなかった女性たちが、被曝をさせた東電や政府に怒りを向けるよりも、
ともすれば、何も知らずに被曝を避けられなかった自分を、責めてしまうことをさして語ったこと
です。

鎌仲さんは、
「あなたたちが悪いんじゃないんだ。政府や東電が悪いんだ。そのことに目を向けよう。
その上で、子どもを守るためにできることを探そう」
と、女性たちを励ましていくのですが、同じことを僕は感じています。

みなさん、いい加減、「良い子」でいることを止めましょう!

何度も言いますが、
第一に、安倍政権の今回の選挙の仕方が卑劣だったのです。
第二に、そもそも、歪み切った小選挙区制が問題なのです。
第三に、無責任な報道をした、一部のマスコミが悪いのです。

怒りは、安倍政権に向けなくちゃいけない。
野党のふがいなさ批判はその次
いわんや、統一候補が作れなかったと、民衆勢力の間でもみ合うのは愚の骨頂
民衆そのものである棄権者に、怒りを向けるのもやめましょう


見据えるべきことは、これほど民主主義に背いた選挙を行った報いは、必ず安倍政権自身に跳ね返るのだということ。
そこを見逃さずに、民主主義の破壊者安倍政権と対決しなければならない、ということです。

仲間割れしていてはいけない。
選挙において、戦術がそれぞれで違うのは当たりまえ
それぞれが懸命に考えて行ったことを、尊重し合いましょう
棄権をした人の気持ちも忖度しましょう
そうして、次に備えて仲よくなりましょう
仲良くなくて、なんで真の連帯ができるでしょうか?
民衆勢力の中で問われているのは、まずは、自分が正しいと思う行動をとらなかった人の、立場を考えて見ることです。
そこに気づきがあれば最高。
そうでなくても、思いやりを持てば、互いの説得力が上がるはずです。
もちろんこれは、常に、僕が自分自身に言い聞かせていることです。



安倍政権の衰退の兆候を書きましょう。
極めて興味深い記事があります。
読売新聞に載った「『熱狂なき圧勝』浮き彫り・・・自民党支持率ダウン」という記事です。
なぜ興味深いのかと言うと、今回の不意打ち的な総選挙の仕掛け人ではないかともうわさされる、ナベツネ氏率いる読売新聞の記事だからです。
短いので、全文を掲載します。

「熱狂なき圧勝」浮き彫り…自民党支持率ダウン
【読売新聞】2014年12月17日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141217-OYT1T50000.html

「衆院選結果に関する読売新聞社の緊急全国世論調査では、安倍内閣の支持率は51%と、
解散直後の前回調査(11月21~22日)から横ばいで、自民党の支持率は5ポイント下がって36%だった。
 
与党の圧勝が、内閣や自民党への積極的な支持によらない、「熱狂なき圧勝」であることを裏付けている。
 
2005年以降、過去3回の衆院選では、圧勝した政党の支持率は、解散直後に比べ、8~16ポイントも上昇している。
内閣支持率も、「郵政選挙」で自民党が圧勝した05年の衆院選をみると、小泉内閣の支持率は、解散直後の48%から選挙後は、61%にまで跳ね上がっていた。
 
今回自民党が大勝した理由については、65%が「ほかの政党よりまし」を挙げており、消極的な理由だとみていることが分かる。
 
自民支持層に限っても、
「ほかの政党よりまし」は64%にのぼり、
「安倍首相への期待が高かった」14%、
「経済政策が評価された」11%、
「与党としての実績が評価された」9%など、
積極的な理由を挙げた人は少数にとどまった。
 
一方、民主党が伸び悩んだ理由は、
「信頼が回復していなかった」61%、
「選挙準備が整っていなかった」15%、
「政策が評価されなかった」10%などだった。
 
自民党に対抗できる野党が「必要だ」との声が、82%に達していることからも、有権者が現在の野党に期待を持てない状況が浮かび上がる」



読めば分かるように、読売新聞は、今回の安倍与党の「勝利」が、自民党への積極的な支持によらないものであること、
要するに、決して民意を得て無いことをするどく指摘
しています。
この他にも読売新聞は、以下のようなタイトルの記事を、次々と出しています。

「自民、実感なき勝利」
「自民圧勝『他党よりまし』65%…読売世論調査」
「内閣支持率、横ばい51%(12月15~16日調査)」

その上で、「『謙虚な政権運営を』世論調査結果で政府・与党」という記事が出てくる。

読売の提言を読んで、政府与党が「謙虚な政権運営をしよう」と言いだした、という記事ですが、要するにそう言わせたかったことが分かります。

なぜ読売新聞はこのように、一見すると安倍政権に不利な記事を連発しているのか。
非常に分かり易い。
安倍与党を最もバックアップしている読売新聞が、低得票率の下での選挙結果のもろさを、一番感じているからです。
そしてそのことを、小選挙区制で安易に当選した、劣化した与党議員たちに、教育してもいるのでしょう。

「議席は獲った!しかし民意を得たわけではない。慎重になれ」というわけです。

「勝って兜の緒を締めよ」のようなものでもありますが、それ以上に、読売新聞は、与党完全応援新聞としての深い危機感を、前面に出している。
大衆の動向をいつも見つめているがゆえに、この選挙への怒りがどこから涌くかもしれないという、危機感を持っているのでしょう。

一方、政府与党批判派として、民主主義を守り抜こうと懸命に論陣をはっている側からも、同じ点を問題にした記事が出てきてます。
その筆頭は東京新聞ですが、今回は、東洋経済オンラインを紹介したいと思います。
これもある種の戦術かと思われますが、東洋経済オンラインはあえて、アメリカの日本専門家に総選挙について尋ねる形をとり、つぎのような記事を載せています。

日本国民は安倍首相を信任したわけではない 国民は「不死身のベール」に穴をあけた
【東洋経済オンライン】2014年12月18日 ピーター・エニス :東洋経済特約記者(在ニューヨーク)
http://toyokeizai.net/articles/-/56208

彼の主な論点は、以下の通りです。

・安倍首相は、今回の結果を、国民から受けた信託だと言うでしょうが、他の人は誰一人、そうは思わないでしょう。
投票率はとても低いものでした。 
実際、自民党は、いくつか議席を失っています。
今回の選挙により、いくつかの側面で、安倍政権は失速したと私は考えています。

・選挙結果で最も皮肉なのは、衆議院における議席の3分の2を、連立与党が占めたにも関わらず、
政府に関しても政策に関しても、国民の信託を得たとはとても言えないことです。
今回の結果は、政府がこれまで行ってきたことを、今後も継続してよいというメッセージではありません。
これまで推し進めてきた政策が、徐々に支持を失っていたことは明らかだからです。



これは昨日、僕が指摘したのとほぼ同じ内容ですが、ピーター・エニス氏は、国民が安倍政権の「不死身のベールに穴をあけた」、とまで述べています。
要するに、このひどい選挙が「終わりの始まりだ」、とも述べているわけですが、
論点が、読売新聞が与党自民党に向けた指摘とピッタリと重なっていることに、注目して欲しいと思います。
もちろんピーター・エニス氏は、すぐに、「負けた」と自己反省を始めてしまう私たち日本民衆にむけて、こうした点を強調しているのです。
なお、同氏は、次のような記事も書いています。

「総選挙で日本人は愚かでない選択をした」 極右を排除、低投票率で無意味な選挙に抗議
【東洋経済オンライン】2014年12月16日 ピーター・エニス :東洋経済特約記者(在ニューヨーク)
http://toyokeizai.net/articles/-/55943

この記事も、全体として短いながら読みごたえがありますが、注目すべき点は、
選挙が低投票率に終わったことに対して、日本の民衆をけして責めずに、むしろ「懸命な選択だった」と持ち上げてくれていることです。

・これは、日本の人々が愚かではないことを示しています。
彼らは、今回の選挙が、「ジェリー・サインフェルド的選挙」(アメリカのコメディアンによる長寿テレビ番組にまつわる表現で、何の意味も持たない選挙の意) だということが分かっていたのです。
そのため、家から出ないことを選んだのです。



「棄権を美化するのか」・・・などと野暮な批判をするなかれ。
もちろん、棄権の内容もさまざまであり、それこそ意識の高い棄権もあれば、そうでない棄権もあるでしょう。
しかし僕は、今は、棄権した人々に怒りを向けるよりも、棄権した人々の中の善意に訴え、仲間として連帯していく道を探ることの方が、ずっと重要だと思うのです。
ピーター・エニス氏の論には、そうした温かみがある。
「なんで棄権したんだ!」ではなく、「無意味な選挙への抗議だったんだよね!」と呼びかけていて、ユーモアに溢れた情がこもっている
学びたい姿勢だと思います。


さて、もう少し選挙結果の分析を進めると、今回の特徴は、すべての政党の中で唯一、「次世代の党」だけが大負けしたことです。
19議席から2議席への激減です。
小選挙区制の問題があるので、得票としてはこれほどの減ではないのですが、それでも、このことは好ましいことです。
なぜかと言えば、今回の「次世代の党」の選挙戦略が、完全なるネット右翼=極右排外主義狙いだったからです。
実際、「在特会」は、「次世代の党」への全面支持を打ち出していました。
その極右政党が、完全に崩壊してしまった
このことは、現在行われている「ヘイトクライム」が、実はごく一部の者によってもたらされているものでしかないことを、大きく示しました

では、かつて維新の中にいた次世代の党への票は、どこへ行ったのでしょうか?
そこまで行きすぎていないとの判断で、安倍自民党に入ったのだと思われます。
議席数にして17
つまり、これがなければ、自民党は大きく議席を失っていたのでした。
その分、よりリベラルな側へ、ラディカルな側へと暫時、票が移っていったのだと思われます。
何にせよ、ネット右翼は文字通り、「ネット」上の仮想空間で数がいるように見せかけているものでしかないことが、はっきりしたのではないでしょうか。

ところが、安倍首相にとっては、実はこの「ネット右翼」の存在が、大きな心の支えなのです。
そのために、自身のFACEBOOKで、とんでもない排外主義団体のページを、コピーして載せてしまったりしています
その点で、次世代の党の没落は、安倍首相にとっても打撃であること、
このことで、自民党の中のリベラル派、さらに、連立与党の中での公明党の相対的位置が強まったことも、見ておくべきことです。

もちろん、公明党や自民党リベラル派を頼みにしたくて、こう言っているのではありません。
すべてを決定づけるのは民意であること。
その力の発揮いかんで、自らも民意を得ていないと実感しているこの政権は、まだまだどのようにも動きうることが示されていること、

私たちがつかむべきことはこの点です。

だからこそ、民衆勢力の間で、互いを大きく思いやって、できるだけ大きく手をつないでいくことが問われているのです。
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「『民意の無い政権など倒せる。民意とは強いものだ』と国民が覚醒する事を恐れる安倍政権」by守田氏

2014年12月20日 | 日本とわたし
今日から連続で、守田敏也さんから送っていただいた記事を、3件続けて転載させていただきます。
題して『選挙の捉え返し』。
今回の、どうして行わなければならなかったのかも不明の、大金をそんなところに使う意義も全く見出せない、いわばデタラメの極みだった選挙について、
選挙が行われることになってしまった時から今までずっと、自分なりに考えてきました。
その過程で、思ったこと考えたことが、守田さんのおかげですっきりとまとまってきました。

今夜は、まずその一つめ。
『史上最低の投票率こそ問題。安倍政権は信任を全く得ていない!』です。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2c5b76714664fdc220a6bb4eaeac1fbf
「この国の8割以上の人々は、自民党を支持していません。
残りの2割の中にも、消極的な支持者がいます。
要するに、積極的支持者などごくわずかなのです。
このことをしっかりと見据えましょう。
一番いけないのは、この脆弱な政権を強大に観てしまい、民衆の力を小さく見積もってしまうことです。
同時に、このひどい政権を今すぐ倒せない理由を、民衆の中に求めてしまうことです。
その時に私たちの力は減退し、圧政がまかり通ってしまいます。

民衆に力を!
そのために、もっと大らかな団結と連帯を。
いつでもいの一番に、為政者の圧政に怒りを向け、民衆の力を高めていきましょう。

未来を私たちの手に!」



↓以下、転載はじめ(転載にあたり、文字の強調と句読点の追加をさせていただきました)
『史上最低の投票率こそ問題。安倍政権は信任を全く得ていない!』
2014.12.18
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2c5b76714664fdc220a6bb4eaeac1fbf

守田です。

12月14日に総選挙がなされました。
この選挙をいかに捉えたら良いでしょうか?
僕なりに考えたことをまとめたいと思います。

第一に、僕が最も重要な事態だと思うのは、投票率が52.36%(共同通信調べ)と史上最低だったことです。
しかも、やはり史上最低だった前回59.32%から、7ポイント近くも落としています。
有権者の2人に1人が、棄権したのです。
棄権という行為をどう評価するかは別として、このことは、今回の選挙における議席数、特に与党のそれが、有権者の支持とはまったくかけ離れたものになっていることを物語っています。

この劇的と言えるほどの低得票率=選挙制度の崩壊的事態の責任は、あげて安倍政権にあります
安倍政権が、こうした低得票率のもとでの与党の議席維持を狙ったからです。
そのために、「消費税率引き上げの延期を国民に問う」という、何が争点なのか分からないことを言いだして、選挙を強行したのでした。
しかも、批判を浴びている原発再稼働問題や、集団的自衛権行使問題、特定秘密保護法制定などにはほとんど触れず、できるだけ争点を曖昧にして選挙を行いました

これに対する野党のふがいなさが指摘されていますが、それは別の話。
まずは、政府与党が大変悪いことを、しっかりと確認すべきです。
こんなひどい解散-選挙など、してはいけなかったのです。
法的にはどうあれ、民主主義の基本ルールや精神を全く欠いた暴挙が、この低投票率を狙った選挙の在り方です。
にもかかわらず、読売、日経などは、選挙の翌日に、「与党大勝」という見出しを載せました。
何を言うか。
あんなものは、民主主義における勝利でもなんでもありません。

まだ正確なデータが出揃っていませんが、自民党は、議席数をわずかに減らしました。
投票率が7%も減る中でですから、前回よりも支持を減らしたのではないかと思われます。
ちなみに、比例代表での各政党投票数は、個人集計された方のデータによれば、以下のようになります。

自民  17,658,916 
民主  9,775,991 
維新  8,382,699 
公明  7,314,236 
共産  6,062,962 
次世代 1,414,919 
社民  1,314,441 
生活  1,028,721 
改革  16,597 
幸福  260,111 
支持政党なし 104,854


自民党の得票数は1765万8916票で、有効投票数5333万4447票に占める得票率は、33.11%です。
正確なデータがありませんが、有権者数は1億人を越えていますから、いずれにせよ、自民党の得票数は、有権者の10%台にしかなっていません。
この国の有権者の8割以上の人々が、自民党を支持などしていないのです。
それが今回の選挙で示されたことです。

にもかかわらず、この一番大事な点が、ほとんどの新聞では書かれていません
ここが情けないし、歯がゆすぎる。
大新聞には、民主主義のオピニオンリーダーたらんとする覇気などもう無いのだと思います。
僕が知る限りでは、
東京新聞は一面で、低投票率を問題視し、棄権の多さ=自民党が支持などされていないことを、安倍政権が受け止めるべきだと主張していました。
こうした視点を軸にしているので、他にもいい記事がたくさんありました。
しかし、自民党にしろ民主党にしろ、政党の側からは、この点の指摘が出てこない。
こうした態度こそ、民主主義を愚弄するものなのだということを、繰り返し強調したいと思います。

そもそも、野党やマスコミは当初から、「大義なき解散」としか言えなかった。
もっと積極的に、「民主主義を破壊する低得票率を狙った、もっとも悪辣な解散・総選挙だ」というべきでした
さらに、選挙が始まるや否や、早い時期にマスコミが一斉に、「自民300議席獲得か」という報道をしてしまったのも決定的でした。
まるでもう勝敗がついたかのような報道で、あの段階で多くの人々が、選挙への関心を失ってしまったと思います。
その上に、負けた候補者への投票は「死に票だ」とする論議が、各方面から強調されてしまいました。
どうせ自民党の大勝は決まっているし、負ける候補に投票しても『死に票』で意味がないとの強調がなされたのですから、多くの方がうんざりしたのも当然だったのではないでしょうか。

僕自身はそのため、「すべての票は命のこもった声だ!『死に票』という言葉に惑わされず投じに行こう!」と呼びかけました。
共産党をのぞく野党各党も、しばしば『死に票』という言葉を使うので、それでは総体としての投票率を下げかねない、と思ってのことでした。
しかし結局、多くの方が、『死に票』なら投じにいっても意味がない、と思ってしまったのではないでしょうか。
それ自身はとても残念なことです。

しかしこれも、僕らの敗北を何ら意味しません
悪いのは与党です。
安倍政権が手酷く悪いのです。
民主主義や、国家の成り立ちそのものを壊しています
同時に、そのことで、安倍政権の権力基盤が何ら強化されているわけではなく、むしろ脆弱さが増していることこそを私たちは見るべきです。
なぜか。
民意と議席数があまりにもかけ離れていることが、誰にも感じられるようになってきたからです。

民意は常に、大きな力です。
独裁国家だって、民意の離反が高まるときには倒されるのです。
歴史は、そのたくさんの事例のオンパレードです。
だから、どのような政権も、民意を味方につけようと苦心するのです。

戦前とてそうです。
何も、暗黒の軍部が、物言わぬ民だった国民を、戦争に率いて行っただけなのではない。
他ならぬ国民自身が、戦争に燃えた面も大きくあったのです。
このことを絶対に忘れてはいけません。

今はどうなのか。
前回の選挙に続き、今回でもはっきりしたのは、有権者の8割が自民党を支持などしていないということです。
「自民300議席で圧勝」という報道がなされたにもかかわらず、実際には、自民党がわずかでも議席を減らしたことにも、それが表れています。

何度も言います。
民意のない政権は弱いのです。
にもかかわらず、今回の卑劣な選挙と、もともとも小選挙区制の歪みによって、あまりに過大な議席を得てしまっているのが実態なのです。

だからこそ、多くの方にしっかりと認識していただきたいと思います。

民意のない政権など倒せる!ということです。

それほどに、民意とは強いものです。
実は、今の政府与党は、人々にそう思わせないように必死なのです。
その証左の一つが、原発再稼働問題です。
今、川内原発、高浜原発の再稼働が浮上してきていて、どうしても、気持ち的に受身的になってしまいがちかと思いますが、
私たちが誇りを持っておさえるべきことは、これだけの議席をおさえてきた与党が、これまで一つの原発の再稼働もできてこなかったことです。
実は、このことで、ウランの国際価格が暴落するなど、世界の原子力推進派が、大きな打撃を受けています
だからこそ安倍政権は、原発輸出を急ぎ、ウランの需要先を作ろうとしているわけですが、
そのためにも、日本の原発を一つでも動かさないと、説得力を持てない

つまり相手の側、それも安倍政権だけでなく、世界の原子力推進派が、私たち日本民衆の脱原発行動に追い詰められているのです。
追い詰めている力は、どこから出ているのか。
全国で繰り広げられている無数のデモなどをはじめとした、直接行動です。

毎週金曜日の行動は、首相官邸前だけでなく、全国のいたるところで、すでに100回を越えています
デモだけではない。
低線量内部被曝の危険性を訴える講演会、学習会、さらに、被災者と結びついた保養や訴訟などを数えるならば、
本当に無数の脱原発、脱被曝の行動が、この国の至る所で繰り広げられています

実は安倍政権は、民意の厚い支持などないことを誰よりも知っているがゆえに、再稼働をごり押ししてこれなかったのです。
いや、今も、再稼働の責任を、原子力規制委員会に預けようとしている
責任をとる言質を吐くことが怖いのです。
再稼働に正義があるという確信などもってないのです。

だから私たちは今、もっと積極的に、「こんな選挙のやり方は非道だ。安倍政権の政策は何も信任されていない」という声をあげ、
原発再稼働や集団的自衛権行使、特定秘密保護法に反対していく活動を、強化すれば良い
のです。
そのためにも、こんな外道な選挙で、負けたなどと思うのはやめましょう
そんなことを思う必要はまったくありません。
このことは今後、より細かい分析で実証していきますが、ともあれ、こんなことで凹む必要などまったくないです。

ここで、棄権をどう捉えるのかということも、押さえておきたいと思います。
今回の不意打ち的な選挙に対して、与党を少しでも凹ましたいと思った多くの方が、
安倍政権の低得票率狙いに抵抗して、さまざまに知恵をしぼり、投票を呼びかけました

僕も奮闘しました。
ただそのせいか、投票しない人を悪く言う論調が強くあったし、今もあります。
極端な場合は、投票しないものに何らかのペナルティを与えよ、などという人々もいます。

僕は、これはまったく間違っていると思います。
投票をしない自由だって、やはりあります
それが効果があるかどうかは別として、選挙総体に対する批判として、棄権する場合だって当然あると思うのです。
選挙へのかかわり方は、その人の自由です。
棄権をした人にペナルティを与えるなどというのは、投票の強制であり、まったく間違っています
選挙を遂行する側から言えば、棄権もまた一つの立場表明であることを踏まえ、
できるだけ棄権の少ない選挙、選挙民が意義あると感じる選挙を行うことが、当然の義務としてあることをこそ考えるべき
なのです。

そうした点から考えるならば、「選挙に行く人の意識が高く、選挙に行かない人の意識は低い」という考えもやめませんかと僕は言いたいです。
少なくとも僕には、今の自民党を肯定して票を投じた方より、うんざりして棄権した方とで、後者の方が政治意識が低いなどとはまったく思えません
にもかかわらず、選挙に行かない人に、社会変革を志す人々が「上から目線」で関わることは、間違いなのではないでしょうか
少なくともそれでは、説得力を持てないのではないでしょうか
棄権も一度尊重してみる必要があるのではないでしょうか
むしろ政治が劣化し、与党も野党も嘘つきばかりで、何も信用できないという状態に置かれている人々の嘆きや憤懣、しらけ感を共有化するところから、歩むことが大事だと僕は思うのです。

少なくともこの方たちは、今の自民党を支持していない人々です。
その数は膨大なのですから、だとしたら、その方たちにこそ、私たちはともに行動することを呼びかけようではありませんか

いや、それだけではありません。
今回の選挙では、自民党への投票も、「消極的支持」だった方が多いという結果が出ています。
安倍自民党は、有権者の10%台の投票しか得ていないわけですが、それすらも、決して積極的ではないのです。
ようするに、個別政策では、たくさんの反対を抱えているのが実態なのです。
だから私たちは、自民党支持者に対しても、「再稼働に本当に賛成ですか?」「日本が戦争をする国になっていいのですか?」と呼びかけ続ける必要があります

再度言います。
この国の8割以上の人々は、自民党を支持していません。
残りの2割の中にも、消極的な支持者がいます。
要するに、積極的支持者などごくわずかなのです。


このことをしっかりと見据えましょう。
一番いけないのは、この脆弱な政権を強大に観てしまい、民衆の力を小さく見積もってしまうことです。
同時に、このひどい政権を今すぐ倒せない理由を、民衆の中に求めてしまうことです。
その時に私たちの力は減退し、圧政がまかり通ってしまいます

民衆に力を!

そのために、もっと大らかな団結と連帯を。

いつでもいの一番に、為政者の圧政に怒りを向け、民衆の力を高めていきましょう。

未来を私たちの手に!


↑以上、転載おわり
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夕焼けがきれいだった日に

2014年12月20日 | 家族とわたし
長男くんの誕生日の翌日は、義母の誕生日。
彼女は今年、75才を迎えるというので、義父が特別イベントを企てていました。もちろん内緒で。
そのうちのひとつは、彼女の家族、友人知人、そして親族から彼女へのメッセージを集め、それを彼の秘書さんが編集をして、一冊の寄せ書きアルバムを作ること。
そしてあとのひとつは、家族が集まってお祝いの夕食を食べること。

旦那は、彼女が作ってくれたカップを写真に撮って、彼女への想いを綴りました。
わたしは、韓国に一緒に旅行に行った時の、干支の石像と一緒に撮った彼女の写真とともに、
初めて会った日に、わたしのことを全身(心)で受け止めてくれたばかりか、わたしがわたしのままで良いこと、さらには褒めてまでしてくれた人で、
その時の言葉がどんなに支えになったか、どんなに感謝しているかを伝えたくて書きました。

その彼女への贈り物を買う時間が全く無くて、当日の午後近くに慌てて出発!
モールに行くまでの道の信号待ちで、あまりにきれいな景色だったので、車のフロントガラス越しにちょいとひと撮影。


そして仕事を終えた旦那と一緒に、いざいざ出発!
でも、ふたり揃って、猛烈に疲れてしまっていて、車の中の空気は重く暗く…なのに、西に向かっているからか、夕焼けがめちゃんこ美しくて、




かと思うと、渡り鳥の大群が通り過ぎたり、


どんどん日暮れてくるのですが、どこかまだ朱色な所が残っています。








目的の場所は、ハーシー市の、前はチョコレート工場だったビルの中にあるレストラン。
ペンシルバニア州のハーシー市は、ハーシーズ・チョコレートの本社と工場がある町で、だから通りの名前もココア通りだったりして、こんな塔も建っています。


てっぺんは、ちょっと細めのキッスチョコ。


おめでとうお母さん!


魚が美味しいことで評判のレストランで、東海岸から獲れた魚や貝柱を、お腹いっぱいいただきました。


そして実家に辿り着くと…、あらら?なんか前と雰囲気が違う…。


なんとまあ、エレベーターが付けられていたのでした。ホールにはまたまた洒落たランプが。




もちろん、イチビリのわたしは乗りましたよ、全然必要がなくても。


よく映画とかに出てくる格子の内ドア。


地下から2階まで。


義母は今、野良ちゃんだったピーターと、シェルターから引き取ってきたリリーの、2匹の猫を飼っています。
ちょっと見ないうちに、二匹ともデッカくなっておりました。
一瞬、タヌキかと思いきや…、


さすが御年10才、クリスマスツリーにおいたをしたりはいたしません。


カリカリ餌しか食べないリリー。


義父はここでいつも新聞を読んでいます。


朝の光(曇っておりますが)の中でもう一度、玄関ホールをパチリ。


また来週、クリスマスの時に来ますからね~ということで、朝食をいただいてすぐに出発。

途中のファーマーズマーケットで、ここでしか売っていない手作りのアップルバターと、今年は飾るかどうか迷っていたクリスマスツリーを買いました。


例年の半分ぐらいのチビツリー。てっぺんをグニャリと曲げて無理矢理押し込みました。ニュージャージーまで我慢しておくれ~!



帰りは、どんより曇った空の下に広がる田園風景を少し。








以前は、こういう景色を眺めながら、なんとものどかだな~などと思っていましたが、この中のどれぐらいの範囲にモンサントが侵蝕してしまっているのか…、
ペンシルバニア州の全農家に、モンサントのラウンドアップの種が供給されたと聞いたことがあります。
この美しい景色の中にも、1%の毒がしっかり蒔かれているのだということ、
そしてそんな世界を少しでもきれいにして、次の世代の人たちに渡したいという思いを、
これからもしっかりと持っていきたいと思っています。
コメント (2)
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