まずは、吉原真里さんという方のブログから。
『去年のクリスマスに、米上院が健康保険法案を可決したことを報告しましたが、昨日、下院が 219対212の僅差で法案を可決しました。
いくつかの個別の項目について上院との交渉が残っているものの、法案の骨子はそのままでオバマ大統領の手にわたることが決定しました。
ここに至るまでには、非常に長く苦しい道のりがあり、より網羅的で低額の皆保険制度を要求する立場からはいくつかの大きな譲歩もせざるを得ませんでしたが、オバマ氏が選挙運動において綱領の中核に掲げていた健康保険制度の抜本的改革が、とにもかくにも実現したことは、オバマ政権始まって以来最大の功績であるばかりでなく、1960年代の公民権法とならんで、アメリカ史に残るたいへん重要なことです。
さまざまな問題を抱えながらもとにかく国民健康保険制度が存在する日本では、アメリカの保険制度がいかに異常かということがなかなかわかりにくいのですが、低所得者層に限らず、ミドルクラスや専門職につく人でも、民間の健康保険に入るために莫大な費用を払い、それでも既往症があると加入を拒否されたり、病気になった途端に加入を取り消されるといった、無茶苦茶な現状は、この立法で大幅に改善されることになります。
現在保険に未加入な3200万人の人びとが保険に加入できるようになり、雇用者を通じて保険に入れない人にも比較的低額で保険が選べるシステムが整備されます。
これでアメリカもようやっと、医療において一応先進国と言えるようになるでしょう』
ここに移り住んで十年。この健康保険には泣かされてきました。
わたし達のような、個人の零細実業家には、本当に大きなお荷物でした。
でも、その荷物を背負い続けなければ、いざという時にえらい目に遭うことが目に見えていたので、それを肩から降ろすこともできず……。
きっとまだまだ完璧とはいえないだろうし、あちらこちらで問題が出てくるのでしょうけど、可決に至ったことを喜びたいと思います。
連邦政府が運営する健康保険制度を『社会主義』と呼んで猛反対する層、というものが存在するここアメリカ。
この感覚は、ずうっとここに暮らしていなければ、あるいは生粋のアメリカ人でなければわからないのかもしれません。
とにかく自分達が考えた自分達のやり方でないとイヤ!という人達の、オリジナルなことへの執着はすごいです。
それが小さな政府(共和党の主張)につながり、最近また盛んになってきた『Tea Party』という反政府運動につながっているのだと思います。
『Tea Party』
『Tea Party』というのは、アメリカの歴史の中で誰もが知っていなければならない、1773年12月の「ボストン・ティー・パーティー事件」に擬して開催されるものです。
アメリカの独立運動のターニングポイントとなったこの事件は、今でも、専制的なイギリス王政に対する反逆のシンボルと位置付けられています。
イギリスの植民地政策の象徴であったアメリカでの過重な茶税に反対するアメリカ市民の一党(およそ50人くらい)が、ボストン港に停泊中のイギリス船を襲い、「ボストン港をティー・ポットにするのだ」と叫びながら、計342箱もの積み荷の茶箱を海に投げ捨てたというのだから、いかにラディカルな実力行使だったかがわかります。
何だかソマリア沖の海賊顔負け。でもこの行為は海賊扱いにはなりませんでした。
いつだって結果は過程を正当化します。だから、あの反逆は正しかった、と。
で、昨年の4月15日に行われた『Tea Party』ですが、主催者側の総括によれば、ニューヨークやワシントンDC、ボストンなど全米800か所で、オバマ政権の経済政策が納税者たちにとって制御不能な無責任な政策に堕しているとして抗議する人々の集会が行われたそうです。
彼らによれば、この動きこそは、真に「草の根」(Grassroots)的なアメリカ国民の怒りの声だと主張しています。
どんなに共和党系の政治団体から大口の寄付があったとしても、それでも「草の根」なのだ、という主張は揺るがないのです。
どこの国も大変ですな
『去年のクリスマスに、米上院が健康保険法案を可決したことを報告しましたが、昨日、下院が 219対212の僅差で法案を可決しました。
いくつかの個別の項目について上院との交渉が残っているものの、法案の骨子はそのままでオバマ大統領の手にわたることが決定しました。
ここに至るまでには、非常に長く苦しい道のりがあり、より網羅的で低額の皆保険制度を要求する立場からはいくつかの大きな譲歩もせざるを得ませんでしたが、オバマ氏が選挙運動において綱領の中核に掲げていた健康保険制度の抜本的改革が、とにもかくにも実現したことは、オバマ政権始まって以来最大の功績であるばかりでなく、1960年代の公民権法とならんで、アメリカ史に残るたいへん重要なことです。
さまざまな問題を抱えながらもとにかく国民健康保険制度が存在する日本では、アメリカの保険制度がいかに異常かということがなかなかわかりにくいのですが、低所得者層に限らず、ミドルクラスや専門職につく人でも、民間の健康保険に入るために莫大な費用を払い、それでも既往症があると加入を拒否されたり、病気になった途端に加入を取り消されるといった、無茶苦茶な現状は、この立法で大幅に改善されることになります。
現在保険に未加入な3200万人の人びとが保険に加入できるようになり、雇用者を通じて保険に入れない人にも比較的低額で保険が選べるシステムが整備されます。
これでアメリカもようやっと、医療において一応先進国と言えるようになるでしょう』
ここに移り住んで十年。この健康保険には泣かされてきました。
わたし達のような、個人の零細実業家には、本当に大きなお荷物でした。
でも、その荷物を背負い続けなければ、いざという時にえらい目に遭うことが目に見えていたので、それを肩から降ろすこともできず……。
きっとまだまだ完璧とはいえないだろうし、あちらこちらで問題が出てくるのでしょうけど、可決に至ったことを喜びたいと思います。
連邦政府が運営する健康保険制度を『社会主義』と呼んで猛反対する層、というものが存在するここアメリカ。
この感覚は、ずうっとここに暮らしていなければ、あるいは生粋のアメリカ人でなければわからないのかもしれません。
とにかく自分達が考えた自分達のやり方でないとイヤ!という人達の、オリジナルなことへの執着はすごいです。
それが小さな政府(共和党の主張)につながり、最近また盛んになってきた『Tea Party』という反政府運動につながっているのだと思います。
『Tea Party』
『Tea Party』というのは、アメリカの歴史の中で誰もが知っていなければならない、1773年12月の「ボストン・ティー・パーティー事件」に擬して開催されるものです。
アメリカの独立運動のターニングポイントとなったこの事件は、今でも、専制的なイギリス王政に対する反逆のシンボルと位置付けられています。
イギリスの植民地政策の象徴であったアメリカでの過重な茶税に反対するアメリカ市民の一党(およそ50人くらい)が、ボストン港に停泊中のイギリス船を襲い、「ボストン港をティー・ポットにするのだ」と叫びながら、計342箱もの積み荷の茶箱を海に投げ捨てたというのだから、いかにラディカルな実力行使だったかがわかります。
何だかソマリア沖の海賊顔負け。でもこの行為は海賊扱いにはなりませんでした。
いつだって結果は過程を正当化します。だから、あの反逆は正しかった、と。
で、昨年の4月15日に行われた『Tea Party』ですが、主催者側の総括によれば、ニューヨークやワシントンDC、ボストンなど全米800か所で、オバマ政権の経済政策が納税者たちにとって制御不能な無責任な政策に堕しているとして抗議する人々の集会が行われたそうです。
彼らによれば、この動きこそは、真に「草の根」(Grassroots)的なアメリカ国民の怒りの声だと主張しています。
どんなに共和党系の政治団体から大口の寄付があったとしても、それでも「草の根」なのだ、という主張は揺るがないのです。
どこの国も大変ですな