③ 辻氏の作品
辻氏の作品は、東京の片隅で造られたにも係わらず、本場の信楽焼きを凌ぐ作品に成っています。
) 主な作品は、壷、茶碗、皿、鉢、徳利、陶盤、香炉、水指、花生、食器、陶枕、陶彫など
多彩です。いずれも信楽の伝統的手法によって造られています。
一方、信楽の土を使いながら、象徴的作品や抽象的作品をも手掛けています。
これは、現代美術の彫刻の範疇に属する物とも言える、純然たる創作作品です。
) 単なる古陶の模倣ではなく、信楽の土と自然釉を使った斬新で、過去に囚われない無釉で
焼締める、独自の境地の作品を展開しています。
) 自然釉は意識的に釉を掛けた物ではなく、窯の中で松灰が器に降り注ぎ、それが高温
(1250℃以上)により、素地中の珪酸分と熔け合い、ガラス状の皮膜の釉状を呈するものです。
但し、単なる偶然性ではなく、窯詰めなどの工夫によって、ある程度のコントロールが
出来るようです。 この素朴の自然釉は日本人の美意識に、強い影響を与えています。
) 焼締めの美しさは、窯変によって生じた様々な火(緋)色や、焦げと自然釉の変化がもたらす
物です。焼成による「ひび割れ」なども余り気にしない様に見受けられます。
技巧に走らず、武骨で大らかに形造り、火や自然に逆らわずに、身を任せているかの感じが
します。
) 代表的な作品として
a) 「信楽自然釉陶盤・武蔵野」(1969年)や「信楽自然釉板皿」(1971、1972、1973年)、
「信楽扇面盤や板皿」などがあります。
これらの作品は、分厚い土の板を一見無造作に切り取り、端面を締めて形造り、表面(上面)に
丸や線状の凹凸のある文様(型押し、線彫)を加えて変化を付けています。
b) 「信楽大合子(ごうす)・天心」(1970年、高さ41x径42cm)は大きな土の塊を上下二つに
割り、内部を刳り貫いて球形を造っています。下部の球は中央部分から、大きく割れて
いますが、これは窯の中で割れた様に見えます。 その為、上下の合わせ目に「ずれ」が
起きています。用を目的としない創作的な造形と思われます。
c) 「信楽自然釉壷」(1966年)は胴の部分に大きな二本の亀裂が入っています。
又、隣の作品と「ひっついた」様な痕が見られます。一般にはこの様な亀裂の入った作品は
世に出る事は無いのですが・・・
d) 辻氏の代表的作品に「信楽陶缶」「磁器陶缶」(1982年)のシリーズがあります。
細長い缶詰の蓋を、無理やりこじ開けた様に見える作品です。
この用途はいまいち不明ですが、花器としても使用できそうです。
更に「信楽大瓶」(1982年)の様に、鶴首の状に上部が細長い瓶も複数個作っています。
いずれも半光沢のある、鮮やかな火色が見事です。
e) 茶道具として「信楽自然釉水指・カボチャ」(1974年)、「信楽無紋水指」(1981年)や
「信楽自然釉窯変茶碗」(1958年)、「信楽自然釉茶碗」(1974年)等があります。
尚、信楽を中心として作品を作っていますが、伊賀や唐津なども制作しています。
「伊賀自然釉鉢と青海波・海底の中の対話」(1979年、国際交流基金蔵)などです。
次回(加藤舜陶 )に続きます。
辻氏の作品は、東京の片隅で造られたにも係わらず、本場の信楽焼きを凌ぐ作品に成っています。
) 主な作品は、壷、茶碗、皿、鉢、徳利、陶盤、香炉、水指、花生、食器、陶枕、陶彫など
多彩です。いずれも信楽の伝統的手法によって造られています。
一方、信楽の土を使いながら、象徴的作品や抽象的作品をも手掛けています。
これは、現代美術の彫刻の範疇に属する物とも言える、純然たる創作作品です。
) 単なる古陶の模倣ではなく、信楽の土と自然釉を使った斬新で、過去に囚われない無釉で
焼締める、独自の境地の作品を展開しています。
) 自然釉は意識的に釉を掛けた物ではなく、窯の中で松灰が器に降り注ぎ、それが高温
(1250℃以上)により、素地中の珪酸分と熔け合い、ガラス状の皮膜の釉状を呈するものです。
但し、単なる偶然性ではなく、窯詰めなどの工夫によって、ある程度のコントロールが
出来るようです。 この素朴の自然釉は日本人の美意識に、強い影響を与えています。
) 焼締めの美しさは、窯変によって生じた様々な火(緋)色や、焦げと自然釉の変化がもたらす
物です。焼成による「ひび割れ」なども余り気にしない様に見受けられます。
技巧に走らず、武骨で大らかに形造り、火や自然に逆らわずに、身を任せているかの感じが
します。
) 代表的な作品として
a) 「信楽自然釉陶盤・武蔵野」(1969年)や「信楽自然釉板皿」(1971、1972、1973年)、
「信楽扇面盤や板皿」などがあります。
これらの作品は、分厚い土の板を一見無造作に切り取り、端面を締めて形造り、表面(上面)に
丸や線状の凹凸のある文様(型押し、線彫)を加えて変化を付けています。
b) 「信楽大合子(ごうす)・天心」(1970年、高さ41x径42cm)は大きな土の塊を上下二つに
割り、内部を刳り貫いて球形を造っています。下部の球は中央部分から、大きく割れて
いますが、これは窯の中で割れた様に見えます。 その為、上下の合わせ目に「ずれ」が
起きています。用を目的としない創作的な造形と思われます。
c) 「信楽自然釉壷」(1966年)は胴の部分に大きな二本の亀裂が入っています。
又、隣の作品と「ひっついた」様な痕が見られます。一般にはこの様な亀裂の入った作品は
世に出る事は無いのですが・・・
d) 辻氏の代表的作品に「信楽陶缶」「磁器陶缶」(1982年)のシリーズがあります。
細長い缶詰の蓋を、無理やりこじ開けた様に見える作品です。
この用途はいまいち不明ですが、花器としても使用できそうです。
更に「信楽大瓶」(1982年)の様に、鶴首の状に上部が細長い瓶も複数個作っています。
いずれも半光沢のある、鮮やかな火色が見事です。
e) 茶道具として「信楽自然釉水指・カボチャ」(1974年)、「信楽無紋水指」(1981年)や
「信楽自然釉窯変茶碗」(1958年)、「信楽自然釉茶碗」(1974年)等があります。
尚、信楽を中心として作品を作っていますが、伊賀や唐津なども制作しています。
「伊賀自然釉鉢と青海波・海底の中の対話」(1979年、国際交流基金蔵)などです。
次回(加藤舜陶 )に続きます。