必殺仕事人

お母様とお買い物に来られているお子さんの
テンションはいつも高めです
　
走り回るのは当然で、
時には奇声を発しておられます
　
（まぁ、元気なお子様で！）
　
仮に僕が山の手に住む有閑マダムなら、
ざますざますで、お子様の頭のひとつでも
撫でるかも知れませんけど、
そこは下町育ちの田舎者
　
「なに走りまわっとんぞ！いてこますぞぉ、ガキ！」
　
もちろん声には出しません
思念を送り続けます
体調が悪く、念が伝わりにくいときには、
仕方なく、視線でその思いを伝えます
気づかれないように、周りに迷惑を掛けないように
諭すが如く、そっと睨みます
　
そんないつもの光景の中で、
珍しいシーンに遭遇した
　
スーパーでの買出し
　
レジでどこを見るとなく
視線を泳がせながら順番を待っていると
元気にはしゃぎまわるガキ発見！
　
お祖母さまかしら？
僕より少し年上と言った感じの若いお祖母さま
ガキと照らし合わせても、
お母様ではなさそうなので、たぶんお祖母さまでしょう
　
レジでの支払を済ませ
袋詰めに向かうお祖母さま
その周りを常にハイテンションで踊るガキ
　
（元気ですねぇ！）
　
まぁよく観る光景なんで
微笑ましく見てたわけですけど、
そのガキ、突然信じられない行動に出ました
　
「カンチョー！」
　
よく通る澄み切った声で、
仮面ライダーの必殺技よろしく
大きなアクションを交えて
その先を尖らせた指先を一閃！
こともあろうに、お祖母さまの下半身へと突き出した
　
　
ブシュゥ！
　
　
彼が必殺仕事人の一人なら、
これぐらいの効果音を付けてもらえるだろうし、
事実、僕の耳には確かに
その効果音が聞こえた
　
（な、なんと言うことを！）
　
が
　
しかし
　
お祖母さま、何事も無かったかのように
せっせとレジ袋に買ったモノを詰めていく
周りの人たちも、何もなかったかのように
そして、必殺技を繰り出した当のガキも
目的を果たしたように、走りさって行ってしまった
　
　
（・・・・・・ふっ）
　
　
あかん
　
声だして笑いそうになった