パッサパサ

「あぁ、そんな時期がやってきたのねぇ！」
　
どこからともなく、いや、殆んどの場合
ラジオから流れてくるのを聴いているのだが
洩れ聞こえてくるキーワードで
季節を感じることが多い
　
「今年の風邪は強烈らしいですよぉ！」
　
なんて会話は、毎年聴いているように思うし
僕のように
　
「毎年、そんな事言うとるなぁ～」
　
と、突っ込む人間も毎年同時に現れる
今年の場合は、インフルエンザが大流行とやらで
マスクをかけている人を、いつもより
多く見るのは確かだが
　
そんな季節を感じる風物詩として
今日の朝は、どの番組でも
　
「昨日、どうでした？」
　
から始まった
昨日がどうした？と思うのは淋しい独身男の性で
家庭を持っているものなら子供達ととか
また、夫婦だけでお豆を投げ合うなんて
語呂的にはいかがなの？と言う
まぁ、早い話が節分と言うイベントを
愉しむことが出来るし、今日はその報告会って
ことになる
　
そんな報告会の中のひとつに
巻き寿司のまるかぶり報告があった
最近じゃ
　
「二十歳を超えると豆を数えて食べるのが大変！」
　
と言う、年増のアシスタントの愚痴に変わり
この恵方巻きの話が主流になりつつある
ご他聞にもれず、男性司会者が昨日の
巻き寿司の件を語りだした
　
たいして面白くもなく、盛り上がりにかけた
話だったが、佳境に入ったときに
　
「口の中が乾いて、飲み込めなかった！」
　
と、ノタマッタ
　
おいおいおい
砂漠の真ん中でメロンパンを一気に食えと
言われれば、口の中、パッサパサで
そりゃ、飲み込むのはどう？なんて思うが
巻き寿司の
それも、食えないからって半分の長さにした
巻き寿司を無言で食えないなんて・・・・・
　　
と
　
昼前、腹が減って動けない状態にも関わらず
本気で突っ込んでしまった
　
食えるときに食っとく
これ、大事なことだす
　

　

あっ、どうも

「今日はもう一人来るんですよぉ！」　
　
久々に遊びに出掛けた友人の部屋で不意に言われる
　
（えっ？　聞いてないよ！）
　
ダチョウ倶楽部のそれが
認知されていたのか覚えてないが
とにかく、キョドッてしまった
　
「僕の彼女です」
　
サプライズとして紹介されたのは、そいつの彼女
「よろしくぅ！」出来る限りの笑顔で応えたが
なにゆえ、俺に彼女を？と思った
　
彼は年下だったが
仲間内で遊びに出かけたとき
先輩が彼女を連れてきたことがあった
　
「おぅ！よろしくなぁ！」
　
不意に紹介されたその女性は保母さん
大柄だが、朗らかな
見るからに保母さんだった
　
「ちょっと来てもらえますか？」
　
夜勤の最中に、非常階段から現れた
新入社員に呼びだされた事もあった
彼は、中途採用だったが
とにかくモテた
　
社内を歩けば、こそこそと噂話をしている女子社員の
姿をみることもしばしばで
ディスコで声をかけて、嫌がる女性もいなかった
　
そんなモテ男に駐車場に呼び出される
　
「なにごとかしら？」
　
仕事の手をとめ、非常階段を降りていくと
可愛い女性がひとり立っていた
　
（ナニゴト、カシラ？）
　
思わずカタコトの思考回路が作動するほど
状況が飲み込めずにいると
　
「僕の彼女です！」
　
爽やかな笑顔でモテ男が左腕を広げた
　
状況が飲み込めないまま
失礼なことに、足先から顔までを
嘗め回すように視線を動かす　
　
「あっ、どうも」
　
目が合った時、自分の視線が余りにも
いやらしかった事を自覚して、顔が赤くなったのを
今でも覚えている
　
　
と、言う、
何故か、同僚に彼女を紹介された時のことを
次々と思い出した
　
特に理由はないと思うが、思い出したから
書いてみた
　
　

撃沈

何年振りになるだろうか？　
幹事ちゅうもんをしてみた
　
大宴会の幹事、六人の宴会の幹事
ことの始まりは、一通の年賀状で
コンパニオンさんでも呼んで
たまにはパァーと騒ごうぜぇ！って言ってたのを
思い出して企画してみた
　
そう、幹事をしたつっても
自分で企画して、参加者を募って・・・
でもまぁ、コンパニオン会社からの年賀状を
見ながら電話して手配して
店を予約して、料理を確認して、メンバーに
確認して・・・
　
今の時代、メールって言う便利なものを
フル活用すれば、大した仕事でもなく
なんとか無事に開催までこぎつけた

寄せ鍋、スキヤキ、しゃぶしゃぶの中から
幹事裁定で、寄せ鍋に決定！
　
コンパニオンさんも若くてピチピチ！
　
いやぁ～盛り上がる、盛り上がる
会話が弾む弾む
いやぁ～、しかし、すべらんなぁ～！状態
　
何を言っても笑う
おじさんチックな会話が妙に面白い
コンパニオンと会話しようと思うけど
そんなに突っ込んだ話をするつもりもない
問いかけに答えるコンパニャーの話を聞きながら　
　
「へぇ～」
　
声が揃う
そんな、上辺の返事を繰り返すのが
おじさんチックな会話術
　
料理も酒も会話も雰囲気も
全てを堪能したあと、二次会へと繰り出す
三次会へ行くときに、人数は半分に
彷徨い、本能の赴くままに四次会へ
　
見事に撃沈　
　
最後に見た光景は、水浸しになったカウンター
目の前には倒れたグラスと氷が迫っていた
　
でも、楽しいから
これでいいのだ