昨日、この冬一番きれいに月山の姿が見えた。内陸は日本海から来る雪雲がほとんどを月山に降らせてしまうので雪が少ない。今年は特に日本海側に雪が降り、月山が雪の最終点のようになっている。多分、月山の積雪は例年に通りに多いはずだ。日差しのなか悠創の丘まで歩こうとしたが、足がなまって手前で引き返した。毎日歩いているつもりだが、以前はこの丘までの登りも意識しなかったが、4000歩を越えたあたりで足に疲れを感じた。
今年から始めた映画習慣はアマプラ、ネトフリの略語があるくらいで家での鑑賞が主流になっている。確かに映画館での大画面や音響は映画の真の醍醐味ではあるが、高齢者には家でチャンネルボタンでほぼ無料で楽しめるのがうらしい。だんだんと興味の分野も高齢者向けのものが増えている。『長いお別れ』は小説家中島京子の実体験をもとにした同名の小説の映画化だ。認知症という病気は徐々に自分を失っていくことから「長いお別れ」という英語名が付いている。中学校の校長を務めた主人公には山崎努が扮し、妻には松原千恵子、長女役に竹内結子、次女役は蒼井優という布陣だ。学校の先生という経験もあって、ほかのことはすっかり忘れているのに、漢字の読み書きは驚くほどできる。色んなものチャレンジして失敗を繰り返す次女に、この父は突然、「立派だ」と褒め、崩れそうな娘の窮地を救ったりもする。
圧巻のシーンは突然家を出て行方不明になった主人公が行った場所が昔子ども達を遊ばせた遊園地。見知らぬ小さな姉妹を遊園地の乗り物に乗せている主人公を発見。言外に主人公がその時代にタイムスリップしていることを示している。」家族が「お父さん」と声をかけると何とも言えないい笑顔で手を振りかえす父。次に見たのは、若年性認知症を描いた「蝶の眠り」。こちらは先日亡くなった中山美穂が演じる小説家が主人公。アルツハイマーであることを知った主人公は、人生の最後に大学の講師を務めながら小説を書く。学生の書いた作文に失望して講師を止めようとするが、学生から再挑戦を懇願されて書かせたものが理解できない。「前回よりずっといい出来」というのがやっとである。韓国の留学生に犬を散歩させるアルバイトをさせやがて執筆のアシスタントに起用する。そこに生じる恋愛感情。いずれも、人間の尊厳を少しずつ失っていく認知症は、高齢者にとってはかかりたくない病である。