常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

弥生

2025年03月30日 | 映画
弥生と言えば陰暦の3月、陽歴では4月ということになる。草木が弥々いよいよ生えそろい、次々と花が咲く季節。坂巻川の堤にある桜を見に行ったが蕾が膨らんできた。気温が高くなると、いつ咲きだしても不思議ではない。昨夜の睡眠スコア82点。レム睡眠17%、浅い眠り62%、深い眠り12%となっている。酒を飲まずに寝ると、確実に睡眠の質がよくなる。

花咲くといふ静かさの弥生かな 小杉余子

アマプラの映画「手紙」を観た。空き巣に入った男が、帰宅した老婦人を殺して服役、弟に手紙を書く話だ。刑務所の服役生活の淋しさゆえに書く手紙だが、書かれる弟にしてみれば読みたくもない。殺人者の弟であることが、社会でどれだけ差別され、夢を壊されてきたか。その生活を見続け、心を寄せた女性がいた。主人公直貴に山田孝雄、恋人の由美子には沢尻エリカが扮する。手紙をめぐってストーリーが展開される。

由美子には離れて暮らす父親がいる。父からの手紙が由美子にはかけがえのない大切なものであった。刑務所から送られてくる兄の手紙を疎んじるようになる直紀。それを見て由美子は直紀になりすまして手紙を書く。それを喜ぶ兄、由美子をなじる直紀。兄の手紙を破り、橋の上から投げ捨てるシーンが圧巻だ。それを見た由美子は手紙を拾いに川に向かって走る。車が走る大通り、あわや事故か。かろうじて事故を免れた由美子は、語る。「大切な手紙を、なんてことするの」

被害者の老婆の息子へ、毎月送られてくるお詫びの手紙。手紙で謝らても、母が生き返るわけではない。直紀はその息子から兄の大量の手紙を見せられる。この映画には直紀の人生にかかわる手紙の存在もある。手紙など書かなくなった社会へ、この映画はその価値を問い直している。ジェンスパークに書いてもらったこの映画の解説。
「映画『手紙』は、直貴という青年の人生を描いた人間ドラマです。直貴は兄が犯した罪によって人生に影響を受け、夢を諦めざるを得なくなります。物語は、彼が世間の冷たい視線や差別を乗り越え、成長していく過程を丁寧に描きます。特に兄弟の絆、夢を追い求めることの意義、そして赦しと再生のメッセージが感動を呼び起こします。重厚なストーリーと主演の演技が魅力です。」
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黄色の花

2025年03月28日 | 
春の花と言えばすぐに桜や梅を思い浮かべるが、黄色の花が意外に多いことに気づく。雪が消えてまだ2週間ほどだが、ミツマタ、マンサク、サンシュユ、スイセン、オウバイなどを矢継ぎ早に見た。これからフクジュソウ、タンポポ、菜の花、レンギョウ、キンポウゲ、チューリップなど思い出深い花々が次々に咲いていく。

山茱萸にけぶるや雨も黄となんぬ 水原秋櫻子

三月も終わりに近づいてきた。新年になってから、あっという間の90日だ。塚本邦雄の『今朝ひらく言葉』に次のような詩の一句がある。「間雲潭影日に悠悠、物換り星移り幾秋をか度りし。」意味するところは、大自然の運行はゆったりととして変わらないのに対し、人の時間は目まぐるしく過ぎる、ということだ。大自然が時に嵐となり、大きな山火事が世界中で発生している。この時代唐詩の時代に比べて自然にも大きな変化が起きつつある。人事や社会はさらに激しく動いている。花を愛でながら、心静かな時間が持てるのは、人生の至福ということができる。
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花に会う

2025年03月27日 | 
春が待ちどおしいのは、寒さが終わりになることだけではない。冬の寒さをたえてきた春の花の姿を見ることでもある。自分も同じように家にこもっていたから、春風のなかで花たちを一年ぶりに見るのはうれしい。右上から。オウバイ。去年の暮に花をみたような気もする。あれは狂い咲きであったか。ジャスミン科で梅とは関係がない。やはり春のこの花を見るとほっとする。きびしい冬を越して、ともに春を迎えた喜びがある。

生花の師匠黄梅かかへ来し 大岡久之

左上、ヒマラヤユキノシタ。名の通り寒さに強い。雪が消えたところから春一番に花を咲かせる。園芸種としてある時期はやったことがあったらしく庭の隅によく見かける花である。

右下、ご存じ紅梅。桜に先駆けて咲くが、このところの温暖化で桜の開花が梅のそれに近づいてきた。白梅も同時に咲くが、栽培種を選ぶには人それぞれの好みによっている。白梅の気品を推す人もいるが、自分は紅梅の華やかさに軍配を上げる。

紅梅の紅のただよふ中に入る 吉野義子
 
左下、サンシュユ。早春の黄花は、山でマンサク、里ではサンシュユが代表格。宮崎県の民謡「稗つき節」で歌われるサンシュはサンショウ(ミカン科)のことらしい。早春の蕾のころからこの木に目をつけていたが、花が咲いてやっとサンシュユであることが分かった。

さんしゆゆの花のこまやかさ相ふれず 長谷川素逝
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ミツマタの花

2025年03月23日 | 登山
早春のミツマタの花にひかれて、今年初めての山行となった。福島県相馬市の塩手山標高281m。低山といっても里山には急登がある。住んでいる山形から太平洋の見える相馬に行くと登山口の梅の花は紅梅も白梅も満開。登山口からわずかに登ったところでミツマタ花の蕾があった。気温はぐんぐんと上って20°c。帰りにはもっと花が開くことを期待して撮影時間は帰路になった。

ミツマタはヒマラヤ原産となっているが、中国や日本でも自生する。万葉集には三枝(さきくさ)という歌語があってミツマタのことだとする説がある。

春さればまづさきくさの幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ我妹 万葉集1895

手もとの万葉集釈注にも、さきくさは春、葉に先立って黄色の筒状の小花を開くミツマタであろう、とある。さきくさと通う幸くは元気であればの意。元気でさえあればまた逢うこともできる、そんなに恋こがれなさんなと詠んだ男の歌だ。
 
ミツマタは葉の出る前枝の先端にこのように花をつける。葉に先立って咲くからさきくさと呼ばれ、この花の場所から3本の枝を伸ばすからミツマタ。実に即物的な命名だ。花には甘い香りがあり、人々から愛される花であるが、三本の別々に伸びる枝が家族が離ればなれと解釈して庭には植えるなと、忌み嫌われる対象となることもあった。だが根本から枝を出すため株が大きくなるため存在感があり庭木として根強い人気がある。丸い蕾が枝にびっしりと付き、次々に黄色の筒状の花は美しく、その芳香は周囲をさわやかに感じさせる。また樹皮の繊維は丈夫で和紙の原料となる。この木から一万円札の紙も作られてきた。

今年初めての山行は、天候にも恵まれ、ウメの花と香りを楽しみ、さらにミツマタの花に出会えたのは幸運であった。あと何回行けるか分からない山行にも行かなければ出会うことのできない幸せがある。


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お彼岸

2025年03月21日 | 日記
昨日、彼岸の中日。恒例の墓参りに行く。妻の歩きをみていると石段のあるお墓にはもう今年が二人で行く最後の年になるような気がする。墓に供えるぼた餅と花を買い、墓の台石の目地に生えた苔を除き、水で墓の掃除も済ませる。「暑さ寒さも彼岸まで」という諺もあるように、今日からぐんと温かくなる。予想気温は17℃、5月なみの気温になる。大リーグの東京シリーズが2日間、久しぶりに野球中継を丸ごとみた。大谷、山本、今永の活躍は予想通りだったが、一年目の佐々木が素晴らしかった。自分の置かれた場所で最善を尽くす。コントロールを乱しながらも立派にやり遂げた。佐々木の成長する姿をしっかりと目に焼き付ける一年にしたい。

今年のやるべきことのもう一つは歯のケアだ。月1回、歯科に通って口に掃除、歯石の除去を行っている。通院も大事だが毎日の歯磨きがもっと大事。本屋で水口俊介『歯と健康の科学』を買ってきた。ブルーバックスの新刊、1100円。歯と口の周辺の筋肉、歯周病を勉強して毎日のケアを理にかなったものアップグレードしたい。この本の副題には「からだの衰えは口から」とある。オーラルフレイルという初めて聞く言葉がこの本のキーワードだ。固いものが嚙めなくなる、歯周病などが原因でかむ力が年齢とともに弱まってくることだ。若い頃は、大きな氷を口のなかでバリバリ砕くのを得意にしていた。60歳を過ぎてから徐々にかむ力弱まっているように感じる。

最後の章は「今日から始める正しい歯磨き」①歯ブラシの動かし方②力加減③歯磨きの手順になっている。今一度初心に戻って、毎日の歯みがきを有効なものにしたい。
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