散歩コースに大きなお屋敷がある。今朝は、遠くから梅が咲いているのが分かった。大きな梅の古木である。屋敷の前には広い庭があり、柿の木や花のほか、野菜も作るスペースがある。梅の木は花が開くと、庭を独り占めするように伸ばした枝に、いっぱいに花をつける。玄関の戸口は、いつもぴったりと閉ざされていて、どんな人が住んでいるのか知る由もない。日ごろ、ここに出入りする人影も見ることがないので、春に咲く梅の花を愛でる老夫婦が静かに暮らされているのを想像したりする。
春さればまづ咲くやどの梅の花
ひとり見つつや春日暮らさむ(万葉集巻5 818)
春を待って咲く花はうめばかりではない。庭石の傍らに植え付けられたヒマラヤユキノシタも、ピンクで可憐な花をつける。葉がうちわのように大きく、霜にうたれると紫色に変色する。大きな葉に囲まれて、こじんまりと群れてピンクの花をつける。一面の雪景色のなか、岩陰の陽当りよいところから花をつけるのであろう。梅もユキノシタも、寒風がわずかにやわらぐ隙間に、みごとな花を咲かせる。この花の生命力を見て、どれほどの人が、長い時間の流れのなかで癒されてきたことだろうか。想像を絶するものがある。
と言われます。
待ちに待った春の到来
ですね。