飯豊山の麓、温身平へ森の散策に出かけた。例年であればここのブナ林は紅葉の見ごろの筈だ。晴天後の気候が崩れてあいにくの雨になった。山の天気は目まぐるしい。ひとつ山を越えるごとに雨が止み、その先の山では篠つく雨。散策路の駐車場で雨は止んだ。紅葉しているはずのブナ林は少し色が変わったくらいで今年はかなり遅れている。歩き初めて10分、雨になった。持参した傘をさいての散策だ。途中ヤチダモの巨木を見た。かなりの老木と思えるが、幹回りは5年前より成長して5.3mとなっている。
森の散策で雨になるのもまんざらでもない。雨で木々がイキイキとして元気がもらえる。何よりこんな雨のなかに深い森にやってきたという満足感もある。
この記事を書き始めて3日も経った。高齢者には家事に思わぬ時間を取られる。ブログのカレンダーを見ると10月の投稿数はまだ五つしかない。少し淋しい気がする。雪国のブナの森には個性がある。大きく育ったブナの大木に頼もしさがあり、その少し奥に中くらいの林が幹を折り曲げて林立している。ブナの家族を見る思いだ。ブナは比較的短い寿命だ。300年も経たないうちに風で倒れたり立ち枯れも出てくる。それだけに実を生らし、幼木の生育のために数年置きに豊作を繰り返す。この地方ではブナの森を白い森と呼ぶ。シラカバではないがブナ林は全体としては白く見える。ブナは一本一本の木の美しさよりブナの森全体の美しさが賞賛される。
森を育てるという営みは世紀をまたぐ長い時間が必要だ。林冠を切って光を与えると林床の低い草木を繁茂させる。やはり植林による二次林の造成が必要になる。そこには林業に携わる人々の知恵と技術がある。見渡す限りのブナの二次林を見たことがある。世界遺産の白神山地のブナは見ずじまいだがその美しさは命のあるうちに一度は見ておきたいものだ。
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