常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ジャガイモの花

2024年06月03日 | 日記
ジャガイモの花には、いろいろな思い出がからまっている。生まれが北海道の農家で、家の周りの畑には、ジャガイモが栽培されていて、花が咲くのを見ながら育った。この花が咲いて、あまり月日を置かないで畝を掘ると新じゃがができるのを楽しみにしていた。ジャガイモの原産地は南米のアンデス山脈である。はるばるインドネシアのジャガトラを経由して、江戸時代に日本へ入ってきた。ジャガタライモが最初の名で、ジャガイモはそれがつづめられたものだ。この花が咲くと、少年ころの思い出がいつもよみがえってくる。畝を掘り返したあとに、子供たちで芋ひろいをして籠につめたこと、その重さ。花を見ながら悲しみにくれていた姉たちのこと。何一つ楽しかった思い出はない。

芋の芽を出す部分を見ながら割る種芋づくりも、子供たちの仕事であった。ジャガイモは収穫量は多くても、収入金額は知れたものであった。種芋は、そのなかでも比較的収入になる作業であった。道外ではジャガイモの種は、ほとんどを北海道のものに依拠していた時代があった。ただ、新じゃがを茹でて、塩をつけて食べるのは季節の味であった。トウモロコシは、そのあとに出た。こちらは、畑から実の入ったのものを採ってきて、コンロで焼いた。遠火でこんがりと、こうばしいトウモロコシの焼ける香ばしい匂いが好きだった。

『怪人ジャガイモ男』という話がある。地下から突然姿を現し、日本中をポテトチップに変える。北海道をポテトチップにしてぱりぱりと食べる怪人だ。ジャガイモの花は美しい。こんな怪人が生まれるととは、到底思えない。だが、その美しさのなかにも、悲しみを包み隠す不思議な力がある。
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