万葉集にも歌われた、潮待ち、風待ちの鞆の浦
買い物でお隣の町、福山に出たついでに、またまた鞆の町をカメラ片手に散歩してこようと思いました。当日は特別寒くもなく風もなく、青空が広がる絶好のお出かけ日和でした。鞆に向かって進むと、途中、消防出初め式があるらしく芦田川にかかる橋の下の河川敷には何台も赤い消防車が並び、ちょうどバトントワラーの妙技が行われていて多くの車やファミリーで賑わっていました。また、空を見上げると飛行船が音もなく飛んでいて、どこかに車を停めて撮影しようかどうしようかと迷っているうちに、あっという間に広島方面に行ってしまいました。飛行船は以前にも見たことがあり、飛行ルートになっているのでしょうか。
今日は、あまり時間がなく、ほんとにぶらりという感じです。福山市の中心部から鞆までの所要時間は約20分。いつものとおり市営駐車場に車を入れ、海外沿いの歩道を歩いていると、サヨリの天日干しをしている漁師さんの露店があり、もう少し歩くと、防波堤の上で、釣り糸を垂れる人がいました。「ここで釣りをしてはいけません」と書かれた立札が立っていましたが、お構いなしのようでした。鞆の浦の観光マップには「こりゃ、つれるで!」と人のイラスト描かれており、終始一貫していないようです。
以前はこの海岸通り、違法駐車が目立ちましたが、規制がかかりとてもすっきりしています。竜馬伝のころは、相当な賑わいでしたが、随分落ち着いてきました。
仙酔島行きの渡船乗り場から、「平成いろは丸」が出航していました。真っ黒い船体で、相変わらず異様な雰囲気です。
久しぶりに対潮楼に寄ってみようかと思いながらも、まっすぐ進むとそこは鞆港です。漁船がたくさん停まり、港の向こう側には、常夜灯、いろは丸展示館、そして右側の港の奥には、雁木とよばれる石の階段があり、このあたりはまさに撮影スポットです。港に沿って歩き、路地を通って常夜灯、いろは丸展示館前の広場に出ます。
鞆港は全国的にめずらしい江戸時代の港湾施設がそろって唯一残っているところです。この町が架橋問題で揺れています。最初に提起されてから実に29年、まだ決着がついておりません。
次に古い町並みの小路を通って、医王寺に行ってみることにしました。緩い坂道を歩くこと10分、医王寺太子殿参道と書かれた石柱が見えます。医王寺からの眺めも鞆を代表するスポット。一番の場所は、鐘楼前のベンチですが、残念なことにご夫婦がずっと座っていました。別に邪魔をするわけでもないのですが、せっかくなのでひとつ鐘をついてみました。ちらっと振り返ってみるものの、動きそうにないので、少し遠めからの撮影です。
サヨリの天日干しは鞆の名物
ここから、鞆の浦が一望できるのですが、さらに見晴らしがいいのが、太子殿からの眺望です。一度だけ行ったのですが、さらに数百段を登らなければなりません。この道は、あのシーボルトも登ったという記録があるそうです。
医王寺からの帰り、いつものカフェ「友光軒」に寄ってみました。奥さんがお客さんに架橋問題の説明をしていました。おそらく質問を受けたのでしょう。私も「その後、どうなっていますか?」と尋ねると、明日、住民への説明会が昼中にあるとのこと。「お仕事を持っている人は出れないですよね。鞆地区の住人もだんだん少なくなって、5000人を切りましたよ。」
「奥さんは、架橋に賛成、反対?」と尋ねると、「お客さんはどう思われますか?」と逆に質問を受けたので、「この海の景観は、できることなら残してほしいですね」というと、「外からの人は、皆さんそうおっしゃるんですよ」とのこと。それでも、「住人の数が随分減ってきたので、以前ほど橋の必要性はなくなったのでは」、とも言われ本音が少し見えた気がしました。
帰りに海岸沿いにあった露天で、サヨリの天日干しを買って、鞆をあとにしました。
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