ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

「北山杉の里」での丸太磨き。艶やかな木肌を生み出す伝統の技

2017-09-29 | ものづくり

京都京北の「北山杉の里」で、山の仕事などを教わっているミモロ。杉の皮むき作業を体験した後は、いよいよ丸太磨きを教わります。
再び、川沿いの木造倉庫群に。
そこは、丸太を乾燥、保管し、冬には、「菩提の滝」で採取した砂を使って、丸太の表面を磨く丸太磨きが行われます。
「いっぱい丸太並んでる~」

北山杉の丸太は、表面に美しい凹凸があるのが特徴です。
「この模様自然に生まれるの?」とミモロ。この地区で林業を営む岩井さんは「いいえ、木の成長に合わせて木の表面に細い木を添えて、それで凹凸を作るんですよ」と。
「割りばしみたい…」
そう、細いまるで割り箸のような木を、杉の丸太の周囲に巻き付け、それが凹凸になるのです。
「木は大きくなりたいから、割り箸の隙間を押すようにしながら育つんだ~」とミモロ。
「あれ?こっちは、グルグル巻きの模様・・・」
「これは、杉に蔦が巻き付いたまま成長した木です」と岩井さん。
「でも、何年もかかる作業だよね~」
ミモロをいとおしそうに凹凸の木肌を撫でています。

さぁ。丸太磨きを見学しましょ。

「この水槽で磨くの?」
倉庫の一角には、水をはった水槽が。

岩井さんは、「菩提の滝」で採取した細かい砂を丸太の表面につけて、ゴシゴシこすります。
この作業は、冬の寒い時期に行われるもの。今回は、その様子を見せていただきました。
「ミモロもやりたい~」「はい、どうぞ~」
ゴシゴシゴシ・・・「もっとたくさん砂を付けて、それほど力を入れすぎないようにね~」
「は~い」

丸太磨きの技法は、その昔、この集落で行倒れた旅の僧侶を村人が助け、そのお礼に教わった技。
京都の北山杉の丸太ならではの技法です。美しい木肌をもつ北山杉の丸太は、茶室をはじめ、数寄屋建築に欠かせない素材として、まさに日本が誇る丸太なのです。

磨き終わった丸太は、水槽で、砂を落として、再び立てかけ乾燥させます。
 
「あれ?丸太割れてる~」とビックリするミモロ。
「あれは、割れてるんじゃなくて、わざと溝をつけているんですよ。溝があることで、ほかの割れを防ぎ、また木の動きを抑えることができるんです」と岩井さん。
「あ、そうなんだ~ビックリしちゃった~」とミモロ。この溝の部分は、床柱では、裏側に…だから表からはみることはできません。「木は、生きていますから、動くんですよ」と。木材になっても、生きているのだそう。

さて、周囲の山を見渡すと、山に植われる杉の高さが異なります。

北山杉の集落は、林業に従事するそれぞれの村人が、山に杉の植林した土地を所有します。でも、ひと山丸ごと、ひとりの人が所有するのではなく、細かく区分され、いろいろ人が一つの山を所有するのだそう。

その理由は、リスクの回避。もし山火事などが起きた場合、ひとつの山を丸ごと所有し、それが全部焼けてしまっては、その人は暮らしてゆけません。また、災害などの被害も、いろいろな場所に杉林を所有することで、やはりリスク回避になるのです。

杉林の高さが違うのは、植林した時期の違い。自分が植林した杉は、孫の代にやっと伐採し、収入になります。つまり、今の作業は、ご先祖さまのお力によるもの。そして、未来のために、杉を育てていくのです。

杉の植林時期を、細かく分散することで、伐採できる林を、絶えず持つことができるようになっているのです。

「林業って、すごく長いタームの仕事なんだね~。それを続けるために、いろいろな工夫が昔からされているんだ」と、いろいろなことを初めて知ったミモロでした。

「こんなに手間をかける林業は、世界でもここだけなんです」と岩井さん。
なんでも海外から林業に携わる人たちが見学に来ると、ここ北山杉の里の作業の細やかさに驚くそう。
手間をかけるからこそ、生まれる上質の木材。その需要は年々減少し、林業そのものの存続が危ぶまれています。
「もっと北山杉を世界に知ってもらえるといいのに~」と思うミモロです。





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