「あれ~あの織物、上の方、ギザギザになってる~」とミモロが不思議そうに見つめる織物があります。
「川島織物セルコン」の夏休みワークショップに参加し、藍染糸でミニタペストリーを織ったミモロ。
「楽しかった~。今日も、「川島織物文化館」も見学していこう~」と、敷地内にある「川島織物セルコン」の歴史を展示する博物館へと向かいました。
「川島織物文化館」は、明治22年に創設された「川島織物参考館」をルーツとする国内最古の企業博物館です。
「ミモロちゃん、お久しぶりです」と、館長の辻本さんが、ワークショップが終わるのを待っていてくださり、今回もご案内くださることに…
さて、現在、ここでは、「川島織物セルコン創業180周年特別企画」として、
9月27日まで「さぁ、幕あけの時 大舞台を彩る緞帳」展
ここでは、今尾景年、海外天年、吉原治良など、名だたる画家が手掛けた緞帳の下絵や構想画などを展示。今回初公開の作品が並びます。
「あの~緞帳ってあんまり海外の舞台では見ませんよね~」とミモロ。
「はい、そうですね。日本では、劇場建築の室内装飾として、開演前の観客を楽しませ、休息感をもたらすものとして大きな役割を果たしてきたんですよ。現在は、織物の緞帳がほとんどですが、その昔は、画家が直接布に絵を描いたり、また刺繍で作ったものもありました」と辻本館長。
「じゃ、どうして織物の緞帳になったんですか?」と首をかしげながらミモロ。
「それはね~織物独特のボリューム感、また立体感もありますから、照明や見る角度で表情が変化するなど、絵では出せない味わいがあります。また、堂々とした雰囲気は、劇場の顔としてなくてはならないものでしょう」と。
会場には、緞帳のデザインを描いた貴重な資料が展示されています。
「緞帳って、結構厚手なんだよね~」とミモロ。
実際、緞帳を織る糸や機のサンプルもあり、その雰囲気もわかります。
「あの~ここには、実際の緞帳ってないんだ~」とミモロ。
「はい、ご注文いただいた緞帳や壁掛けは、先方に納めるので、手元にはありません。それを作る資料だけが残ります」と辻本館長。
「でもね~実際に作りかけた大きな壁掛けが、今回別の展示スペースにあるんですよ~」と。
それが、12月26日まで開催されている「綴織壁掛 春郊鷹狩 100年を語り継ぐ 断機の綴」展です。
「ここにあるの?」とミモロは場所を移動しました。
そこにあるのは、3分の1ほど織られ、上の方がギザギザしている織物です。
「これなんですか?サンプル??」とミモロ。
実は、この織物は、100年ほど前に宮内省よりご用命で織った壁面装飾で、技巧を駆使したとても細かい模様を織った職人苦心の作。着手からここまで織るのにも、相当な時間が掛かったのだそう。
でも、製作を進める途中で、糸の変色する危険性があることが判明。それで、当時の当主が、織ることの中止を決定。途中まで織った部分を機から外し、再び最初から織ることに…。
織物の上のギザギザは、当主がハサミで切った経糸なのです。
「え~経糸途中で切るの辛いね~苦しかったね~」と、その状況を想像して涙ぐむミモロ。
「そうですね~織っていた職人をはじめ、これに関わっていた人たちの思いを考えると、本当に辛いことです。でも、納得いかない品を納めることはできません。宮内省に限らず、どこにでも…。それがわが社のモノづくりの姿勢であり、大切な信用を守ることになりますから…」と辻本さんはキッパリ。
製作を中断した織物…それは手元に残し、今も大切に保存され、その当時の思いを、二度と繰り返さないように、後世に伝えているのです。
「苦い経験は、その後の大きな糧になるんだね~」と、改めて壁掛けを見つめるミモロです。
他にも見ごたえのある展示が…
「こんなに細かい絵を織物にするなんてすごい~」と、展示されている絵と織物を見比べます。
こちらが織物
これは原画
職人さんたちの高い技術が伺える作品に感激!何度訪れても、見ごたえがある展示に出会えます。
「あ、スタンプがある~」ブチュ~
スタンプがあると、どうしても押さずにはいられないミモロ。
さて、「川島織物文化館」は、事前予約で見学可能です。
ぜひ、一度、訪れては…叡山電車「市原駅」から徒歩約7分です。
*「川島織物文化館」の詳しい情報はホームページで
ご案内くださった、辻本館長にご挨拶して、車に乗ったミモロ。
「ミモロちゃん、またね~」と、ワークショップでお世話になった皆さんが手を振って見送ってくださいました。
「ありがとうございました。楽しかったで~す。またね~」とミモロも手を振り続けます。
*尚「川島織物文化館」の内部の撮影は許可を頂いて行いました。あしからず~
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