鼎子堂(Teishi-Do)

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医師のいる文学史⑤:『法王庁の避妊法/篠田達明・著』 

2015-01-28 22:56:05 | Weblog
 
昨夜からの雨が、再び、寒さを呼び戻したようだ。昨日は、随分と春めいていたのに。


今日のお題。
この作品の著作者・篠田達明氏は、医師である。

数々の著作があるけれど、過去の歴史上の人物の病歴などをまとめた『日本史有名人の臨終図鑑』とか、『歴代天皇のカルテ』、『徳川将軍家十五代のカルテ』など、興味深い読み物を、書いている。
肩の凝らない読み物としても面白いものが多い。
また、名画に描かれるモデルの状態から、病歴を読み取る『モナ・リザは、高脂血症だった』など、歴史的、美術的作品と病気の関連を読み解いた本なども出版している。

小説も面白いものが多いけれど、何故か、絶版になっているものも多くて、ユーズド品・・・所謂、古本屋さんでしか流通していない著作も多い(最近では、古書店巡りをしなくても、Amazonなどで入手可能となって、自宅に居ながら、絶版のものを探せるのは、便利。但し、やはり希少本には、法外な値段のついているものもあったりで・・・)。


さて、本書『法王庁の避妊法』。

月経周期に関する基礎体温で、受胎予測する『荻野学説』を、荻野久作博士が発見する過程をドラマ化したもので、演劇での舞台化・上演された。
ローマ法王庁が、認めた唯一の避妊法ということだ。

演劇でも、過去何度か舞台上演されている作品で、原作本とともに、戯曲版が出ているらしい。
ジテキン(自転車キンクリート)さんの上演。

テレビ・ドラマでも、加賀丈史さん扮する荻野博士が、印象に残っている。

やはり、医師でないと書けない作品群なのだろうと思う。

人が生きている限りは、病気との付き合いは、避けて通れない(稀に、ものすごく丈夫で、病気ひとつしたことがない・・・っていう、健康自慢さんが、いらっしゃるけれど、これは、丈夫に生んで下さったご両親様、運のよさ・・・など、恵まれたヒトなんだろうなぁ・・・とウラヤマしい限りである)。

そんな病気も、歴史から、芸術から、医学者から、一般市民から、権力者から・・・角度を変えて、観察すれば、こんなにも豊かな物語の世界が構築される。

視点を変えると、病気も何故か、面白い(・・・もっとも、病んでいる本人には、辛い事この上なしですが・・・)。