午後から、冷たい北西の風が吹き荒れるも、夕刻には、静まる。
夕刻、西の空に、上弦の三日月。繊細な細い銀色の月。
今日のお題『花神』。
中国の故事・花神は、花咲爺さん。
近代日本に、革命の花を咲かせましょう・・・。
周防の小さな村の医師にすぎなかった村田蔵六(後の大村益次郎)が、幕末の倒幕軍・総司令官にのぼりつめ、非業の死を遂げる迄を描く物語。
司馬遼太郎氏は、『漢(おとこ)』を描きたかったのだろう。
司馬氏が、作品にするまでは、かの坂本龍馬さえも、歴史の中に埋もれた一人材にすぎなかった。
『ニッポンの夜明けぜよ。』
300年近い鎖国の中で、近代文明に目覚め、世界の列強と肩を並べるまでになった日本。
その礎を築いたひとりが、『花神』の主人公・大村益次郎そのひとかもしれない。
周防の片田舎で、医師を開業するも、緒方洪庵の適塾で、蘭学を学び、その非凡な才は、医学ではなく、近代兵学で花開く。
医術と兵学・・・。相容れないもののように思えるのは、私だけだろうか?
幕府(官軍)のイギリス式兵法に対し、蔵六は、フランス式兵術を用い、天才的軍略で、倒幕を果たす。
医学より、兵学の方が、向いていたようで。
才も使いみちがないと、花開かないらしい。時と場所を与えられた天才。
正に『花神』。
村田蔵六は、偏屈で不器用な人物だったらしい。
無骨、トウヘンボク、無愛想。
そんな漢(おとこ)が、生涯愛したのは、シーボルトの娘・おイネ。
おらんだおイネである。
おイネも産科の女医であった。