終日雨。
私が、初めて、医師が主人公の小説を読んだのが、今日のお題。
高校生が、どうして、渡辺淳一さんなのか・・・と今更思う。
晩年の渡辺淳一さんは、『愛の流刑地』、『失楽園』だとか・・・不倫系、性愛などがテーマになっていたのではないか・・・。その片鱗が少し出始めている作品なのかもしれない。
当時、なんとなく、無気力(←・・・コレは、今もそうだけれど)で、生きているのが、面倒だった頃、渡辺氏の『自殺のすすめ』を読んだのがきっかけだったような記憶がある。
死に顔がきれいに死ねるのは、雪山での凍死か、ガス中毒だ・・・という冒頭だったかと思う。
医師から小説家に転職?した作家さんは、結構、多い。
医学を志し、医師になって、その体験などを、小説に織り込む・・・医師でなければ、描けない世界なのかもしれない。
この『無影燈』の主人公・直江は、多発性骨髄腫に犯され、余命短い。
その事実を隠しながら、医師を続ける。
激痛を止めるために、ヘロイン(・・・だったと思いますが、或いは、モルヒネ?)が、必要だったため、患者に投与する分を、流用したのを、看護婦・倫子に知られてしまう。
死の翳が、ちらつく直江に、倫子は次第にひかれていくが、余命の短い直江には、関係のある女性が幾人かいた。
・・・病院を舞台にしたメロ・ドラマ系・・・で、現在程、医療についての記述があるわけではない。
どちらかといえば、死に対する人間の葛藤・・・のようなものが、テーマだったと思う。
テレビ・ドラマの一番最初の主演は、田宮二郎さんと山本陽子さん(・・・だった記憶している)。
その後、何度かリメイクされているようだけれど。私は、田村正和さんのイメージで読んでいた。
『あと6ヶ月で、あなたの寿命は尽きます。』
そう言われても・・・。
それば、病を治す立場の医師であれば、助からないと自分自身を説得するのに、どのくらいの時間が必要なのだろうか?
覚悟を決めるか・・・或いは、自分の運命を呪いながら、どうしても信じることが出来ず、何故、自分が・・・と寝る間もなく、問いつづけるのだろうか?
どうも、癌を治療する医師に、癌の発生する割合が、高いと聞く。
もしかすると、日常、『癌細胞』に接していると、自ずから、『癌』を招いてしまうものなのだろうか?
上梓より、随分と時間が経過した。
国民の1/2が、癌に罹る時代になってしまった・・・。