友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

満天星と親子バンドペンション

2007年09月09日 23時59分17秒 | Weblog
 北白樺高原の姫木平の音楽ペンション「バウワウ」(TEL0268-69-2754)から見た夜空は美しかった。たくさんの星が夜空に輝いていた。星は手の届きそうなところで輝いている。満天の星空を眺めていたら、昔の人々はこんな風に星空を見つめ、星座や天の川を見つけていったのだろうかと思った。二人で眺めていたのだろうか、それとも大勢の人と眺めたのだろうか、そんなことをふと思った。

 ペンション「バウワウ」は私が高校の教師をしていた時の、吹奏楽部の生徒の一人がオーナーである。私は直接に教えてもいないし、私が吹奏楽部の顧問を引き受けた時には彼はもう卒業していた。おそらく35年くらい前のことになる。「先生はもう少し長い髪でしたよね」と彼が言う。エツ!私のことを覚えていてくれたのか!と私はビックリした。

 私が吹奏楽部の顧問を引き受けたのは、前任者を尊敬していたことと、頼まれたならば断れない性格のためだ。何も知らないままに顧問を引き受け、生徒たちに言われるがままに秋神温泉に出かけた。昨夜のOBたちの話から、私がカミさんや子どもと泊まった秋神温泉は前任者が定宿としていて、そのとなりがユースホステルになっていて、そこに生徒たちは宿泊していたようだ。けれども私が顧問になった時は、生徒たちはここから離れた民宿に泊まっていたと記憶している。

 そんなことはどうでもいいことだが、ペンションのオーナーは音楽好きで、高校生の時には音楽家になる道に進むべきかと悩み、結局、前任者の助言を受け入れ、高校だけは卒業することに同意して、そのまま、音楽家にならずに来てしまったと言う。彼は酔いに任せるようにピアノに向かい、好きなジャズを思いのままに弾いてくれた。

 「ピアノは独学だから、聞かせるほどじゃーないです」と言うが、実にうまい。音楽をあきらめきれない情念が漂っている。彼の息子も子どもの頃から父親がジャズを毎晩のように聞いていたためか、「まだまだ趣味のうちですよ」と言うものの、演奏会にも出かけるほどにジャズに打ち込んでいるそうだ。

 『満天星と親子バンドのペンション』をうたい文句にしたらいいのではないか。そう思った。前任者は、高校教師から市長になったほど人望のある人だった。私が訪ねた時も、首長としての心がけのようなものを話してくれた。ペンションには前任者が描いた水彩画が掲げられていたが、私にように絵を専門としてきた者よりもはるかに技術的にも優れた味のある絵だった。

 音楽好きは音楽好きを呼ぶようで、いろいろ話しているうちに、聞きなれた人の名前が挙がった。「エッ!同じマンションの人ですよ。私の友人でもあり、奥さんは孫娘のピアノの先生なんです」と話す。いっしょに出かけた二人も吹奏楽部のOBであるが、一人は私と同じ科の生徒だったからよく知ってはいたが、それでも直接教えた生徒ではなかったのに、なぜかズーと年賀状のやり取りがあり、彼は私の数少ない絵を覚えていた。

 もう一人は科も違うし、私が教師になった時にはすでに卒業していた生徒だったから、吹奏楽部が合宿をした時に、先輩として指導に来てくれていて、そこで知り合ったのが縁でずーと続いている人だ。社会の動きに対する認識や価値観にも共通するところがあったのだろう、午後7時から食事を始めて12時まで、5時間も話し合ってしまった。よき人との出会いがこんな風にめぐってくることに、驚きと感謝を覚えた。

 昨日は、諏訪湖の周りの美術館を巡り、今日は安曇野の碌山美術館とちひろ美術館へ行ってきた。碌山美術館はもう何十年も前に訪ねたことがあったが、周りの景色はすっかり変っていた。緑深い森の中の素朴な美術館という私の印象は誠に危ういものになってしまっていた。ちひろ美術館は初めて出かけたが、周りの配置といい、美術館の空間といい、申し分ない素敵な美術館であった。

 そして、何よりもこうした機会が生まれたことの不思議と、二人の心配りに感謝しなくてはならないと思った。
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