相変わらず強い北風が吹いていて、ルーフバルコニーに出るには大変な決意が要る。地上ではそれほどの風ではないのに、どうして意地悪なのかと思うほど強風が続いている。花の終わったチューリップを引き抜いて、鉢の土を入れ替えたいのに、強風のために作業が出来ない。可児花フェスタで「薔薇祭り」が始まったとテレビが報じていたので、昼食をどこかで取って出かけることにした。友だち夫婦にも声をかけ、一緒に行くことになった。
私たち夫婦は年間パスポートを持っているので、何度も行けばますますパスポートの価値は高くなる。入場料を払う段階になって、友だち夫婦は悩んだ。昨日までは300円であったものが、今日から「薔薇祭り」というので一気に1000円になっていた。年間パスポートは2000円だから、あと1000円払えば何度でも入場できる。けれども来なければ1000円が無駄になる。1年間に2回以上来るならパスポートを買った方が安上がりだ。悩んだ末に1000円の入場料を払った。
しかし、入ってみると薔薇は全く咲いていない。入り口付近で幾本かの薔薇が咲いていたけれど、本来の庭園の方は全く咲いていなかった。「いくらなんでも、300円から1000円は上げ過ぎだ。薔薇は咲いていないし、詐欺にあった気分だ」と友だちの憤慨は収まらない。ポッポ号に乗って西ゲートから東ゲートまで行く。見ると圧倒的に60代以上が多い。薔薇の咲いていない庭園を運転手が説明して行く。途中に1ケ所停留所があり、降りることは出来るけれど、乗ることは出来ない。歩き疲れた高齢の女性が乗りたそうにしていたが、無情にも運転手は「降りる人だけですから」と乗せない。
薔薇は咲いていなかったけれど、新緑の木々は美しく、園内を散歩するには気持ちがよかった。最後に目当ての薔薇の苗木を探して回る。私たちはここに来るたびに1鉢ずつ買うことにしていたし、友だち夫婦も薔薇の苗木を買うために来た。私は迷子になったシャルル・ドゴール空港と同じ名前の薔薇を、友だち夫婦はイギリス生まれの「プレイボーイ」とアメリカ生まれの「プレイガール」と他に1鉢買った。今朝、友だちの家の庭で実に見事なツル薔薇を見せてもらった。昨年、一緒に行って買ってきたものだ。我が家のような鉢植えではこんなにも大きくならないが、窓いっぱいに生い茂っていた。今日は3鉢も買ったから薔薇屋敷にするつもりなのかも知れない。
「薔薇祭り」なのに、薔薇が見られなかったのは残念だったが、納得のいく薔薇を買うことが出来たので気持ちは上向きになった。それにしてもどこかこれまでと運営が違う気がして、案内役の人に聞いてみた。昨年までは岐阜県が主体で運営してきたけれど、今年から民間に変わったそうだ。それで料金設定も、それまでは通常は800円だった入場料を300円とし、「薔薇祭り」の期間中は特別に1000円にしていることが分かった。新しい経営者としては、通常を300円にすることで薔薇の季節以外にも客を呼び込みたいのであろう。また、薔薇の好きな客には年間パスポートが格安であることを知らせたいのだ。
「薔薇祭り」に1000円払うか、年間パスポートに2000円払うか、どっちがお徳なのだろう。悩むところである。