音楽グループ「チャゲ&飛鳥」のASKAが、覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕された。逮捕されたことよりも年齢が56歳だったことに驚いた。ミュージシャンが薬物に溺れることはよくある。おそらく音楽家だけでなく、画家も映像作家も、芸術で生きている人たちが陥る。私の高校時代の友人から聞いた話だが、彼がカナダに住んでいた頃は、大麻などを取り締まる法はなく、かなりの連中が吸っていたらしい。
「吸うとどうなるの?」と聞くと、「幻惑に襲われ、何でも出来るように感じる」と教えてくれた。芸術家は常に新しいものを創作しなければならない。作品が出来なければ絶望的になり、出来ないのではないかという恐怖に囚われる。それが恐くて薬漬けになり、再起不能になった人もいる。誰かに無理やり薬漬けにされた訳ではなく、自分で選択したケースがほとんどだから、再起も自分で行なう他ないだろう。
週刊漫画誌の『ビックコミックスピリッツ』に掲載されていた「美味しんぼ」が話題になっている。ビックコミックといえば、手塚治虫、石ノ森章太郎、白土三平、水木しげる、さいとう・たかを、ちばてつや、ジョージ秋山など、有名漫画家の作品が掲載され、多くのファンがいる。「美味しんぼ」の内容は料理の話と思っていたが、今、掲載されているのは原発事故のあった福島の話で、その表現が問題になっている。
福島に行って鼻血が出たとか、福島の廃棄物を受け入れ焼却処分した大阪市の焼却場近くの住民が健康不調を訴えているとか、実在する人物が「福島県には住まない方がいい」「除染しても人が住めるようには出来ない」と発言している場面がある。福島県知事は「風評被害を助長する」と批判。また、橋下大阪市長は「市長として抗議させてもらった」と、厳しい言葉を発した。
漫画に描いたことで問題になったのは、『はだしのゲン』に次ぐものだ。漫画だとバカにしてはならない。小説よりも影響力があるようだ。漫画でも歌でも映画でも、「主張は自由。作者の思っている真実ですから。あくまでも作者の主観ということでいいのでは」(橋下市長)と、私も思う。「チャゲ&飛鳥」の歌は、私も好きだ。