20歳の孫娘が我が家に来た時、仙台に住む次女とラインを使ってテレビ電話をした。次女の娘は1歳5カ月になるので、だんだん意志がはっきりしてきた。ヨチヨチ歩きで危なっかしいが、かなり行動も大胆になり、次女も手を焼いているようだ。毎日とはいかなくても、時々孫娘の様子を動画で送ってくれる。この日は寝起きでまだ眠そうだったけれど、いとこである20歳の孫娘の声を聴いて元気になった。
画面に声の主が現れることが不思議なのか、1歳5カ月の孫娘は画面に指で触ろうとする。そのしぐさが可愛いから思わず声を上げると、ビックリしていた。そのうちだんだん慣れてくると、こちらの存在など忘れたかのように自分の遊びに熱中してしまう。私たちの子どもの頃は電話のない家があり、「電話を貸してください」と借りに来ることもあった。こんな風に長時間、お互いの様子を見ながら話が出来る時代が来るとは思いもしなかった。
私が通った小学校の隣に市の図書館があり、中に入ると本の臭いがした。運動会の頃には図書館の庭のキンモクセイが花を咲かせ、甘い匂いが漂った。中学か高校か覚えていないが、市の図書館は中心部に近い場所に移転し建物も立派なものになった。私が図書館司書の資格を取るために実習させてもらった小牧市立図書館が老朽化のため建て直すという。小牧駅前の再開発に合わせて新図書館を建設し、民間のツタヤに運営をさせる計画だった。
これに対して市民団体の「小牧の図書館を考える会」が反対署名を集め、市長が市議選に合わせて住民投票を行い市民の意向を知りたいとしたが、結果は反対が賛成を上回った。市長は「市民がどういう理由で反対したのか不明」「市民50人程度が参加する協議体を設置して議論していく」と言う。それにしても、市長の新図書館建設計画に賛成した市議会は、新しい議員を加えどう取り組んでいくのか注目される。
公立図書館を民間に委託することが流行しているが、1)図書館は資料収集の自由を有する。2)図書館は資料提供の自由を有する。3)図書館は利用者の秘密を守る。4)図書館はすべての検閲に反対する。図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。と、図書館憲章は定めている。果たして守られるのかと心配になる。