国勢調査員を引き受けたふたりの話を聞いた。女性の調査員は「女の人のひとり暮らしは身ぎれいにしているし、話していても生き生きしているが、男の人のひとり暮らしは本当にかわいそう。夫と別れたいと思ったこともあったけど、あんな惨めな暮らしはさせられない。夫より先に死ぬことも出来ない」と語る。日頃はダンナをケチョンケチョンに言う人だが、この時は慈愛に満ちた顔だった。
2回目と言う男性の調査員は、「先回は『何のためにやるんだ。他人の収入まで聞くのはプライバシーの侵害だ』など、ケンカを吹っかけてきた人がいたので、今回はそういう人に出会ったらじっくり話を聞くつもりだったのに、ひとりもいなくて拍子抜けだった」と言う。昼間は働いているから夜回るのだが、百人回れば一人や二人、ケンカ腰で向かってくる人もいるだろう。
確かに国勢調査って、本当に必要なのだろうか。必ず手渡しと言うが、絶対に守られているとも思えない。住基ネットはどうなったのだろう。そして今度はマイナンバーという。私たち国民にどんなメリットがあるのかと思っていたら、ナンバーを扱うコンピューター会社が役人を買収したという事件が発生した。コンピューター化が進むと、その処理を専門とする業界は仕事が増えるが、そんな経済効果のためなのだろうか。
翁長沖縄県知事は、県の第三者委員会が前知事の辺野古埋め立て承認には法的瑕疵があるとの答申を受け、承認を取り消した。政府は法廷で争う方針だ。私の周りの人の中にも、「沖縄は米軍基地によって潤っている。反対を叫んでいる連中の多くは本土から出かけている。こいつらは中国から金をもらっているのさ」と本気で言う人がいる。沖縄は観光産業が伸びているから、米軍基地が亡くなればさらに訪れる人も増えるだろう。沖縄は独立できるほどの経済力なのに、いまだに「金欲しさで要求しているのだ」と信じている困った人たちだ。
正確な情報を知らないと、勝手な思い込みが横行する。人によって判断の基準は違うかも知れないが、より多くの情報が入るなら、いつしか自分の判断基準も変わるだろう。目で見ることが一番だろうから、メディアの役割は大きい。若い人たちはネットかな?