明るい陽射しがいっぱいなのに、冷たい風が強く吹き付けるので、バラの植え替えを始めるつもりでいたのに、ルーフバルコニーに出るのを諦めた。花屋へ出かけて行って、肥料や苗を買う気持ちにもなれず、ボ―と無気力に過ごしてしまった。
友だちが「名演のチケットがあるんだけど、代わりに行ってくれない」と電話をかけてきた。ロシアの演出家による『マクベス』と聞いて、「行きます」と答えた。カミさんに話すと、「旅行の前に、そんな人混みに行くなんてダメよ」と答える。「あなたが行かないなら、誰か誘ってみる」と言うと、「イジワルね」と膨れる。
NHKの朝ドラ『スカーレット』は、まるでお笑いドラマになった。ストーリーの展開が行き詰ったのか、回顧場面ばかりが続く。カミさんは朝7時15分から45分まで、NHKBSで『おしん』に続いて『スカーレット』を観ているが、私はフトンから出ていく気になれない。『おしん』も初めは面白かったが、孫のいるババになって、自分がされた嫁いびりをしていることに気付かない。
『スカーレット』の主人公・喜美子は働き者で、何事にも夢中になって努力する。夫の八郎は夢に向かう喜美子を支え続ける優し過ぎる男だ。喜美子は夫の話を聞く余裕がなく、夫の気持ちとずれていくのに気が付かない。これでは八郎はたまらないだろうと思っていたら、「いつの間にか」離婚していた。
最近のNHKのドラマは、笑いを取ることが至上命令になってきた。『麒麟が来る』も同様だ。NHKにお金を払っている私としては大変不満だ。公共放送が建前ならば、ドラマも音楽番組も要らない。民放で出来ることは民放に任せればいい。民放なら、好きな番組を自分で選ぶことが出来る。無気力だったのに、イラっとしたら少し元気が出た。