雨の中、老女が自転車を押してヨロヨロと歩いていた。ガソリンスタンドに差し掛かった時、自転車の荷物でいっぱいの前カゴから何かが落ちた。拾おうとしたが片手に傘、片手に自転車のハンドルではかがむことも出来ない。その時、ガソリンスタンドから若い女性店員が駆け寄って来て、落ちた荷物を拾い上げて前カゴに入れた。
老女は恐縮して前かがみになり、自転車が倒れそうになった。店員は慌てて自転車を抑え、片手を振って何か話しかけていた。美人ではないが笑顔が可愛かった。自分のことで精いっぱいの、何とも殺伐とした今日この頃、心温まる光景に出会えた。新型コロナウイルスの影響で、人と話すこともままならない世の中だが、まだ捨てたものじゃーない。
看護師をしている長女が、「私たちの世代は必死に働いているのに、お年寄りはゴルフや遊びに出かけられて、いいわね」と皮肉を言う。病院感染でクラスターが起きないように神経を刷り減らしているようだ。日本で暮らす私たちが感染から守られているのは、患者のために医療機関で働いている皆さんのおかげ、感謝している。
安倍昭惠夫人は、タレントらとレストランで食事をし、桜の下で記念写真と相変わらず華やかだ。そのことが国会で取り上げられたが、安倍首相は「プライベートなレストランの敷地内であって、禁止されている公園ではありません」と答えていた。夫人とはうまくいってないのかと、他人事なのに心配になったが、いや、政治への姿勢の問題だと思い直した。