本来なら、今晩は私が担任だったクラスの集まりに出席するため、家を出ていたはずだ。コロナ騒ぎで中止となり、気が抜けてしまった。教師となって5年目、このクラスは1年と2年の担任だった。才能のある子が多かったが、私がこの子たちの能力にどれだけ関与できたのだろうか。自由にやらせる、そのために自分は盾になると決めていた。
社会人になった彼らは私よりもたくましかった。教えられることも多かった。連絡の取れない子もいるようだ。何しているのかと心配になる。卒業して48年も過ぎた。私などより立派に活躍しているのに、何をいまさらと自分が恥ずかしくなる。今日は少し寒い。東京では雪が降っている。何だか憂鬱な気分だ。
気になる映画が何本かある。『三島由紀夫vs東大全共闘』、『ドキュメンタリー・鈴木邦夫』など。高校生の時、父親の書棚にあった三島由紀夫の小説『美徳のよろめき』を読んだが、そんなに印象に残らなかった。テレビニュースで自衛隊員に決起を呼び掛ける姿は見たが、時代錯誤に思えた。鈴木邦夫は私より1つ上だが、大学入学は同じ年なので気になっていた。
鈴木がどうして右翼になったのか、知りたいと思った。そういう点では西部邁も気になる人だった。自殺した西部を連載していた週刊誌を見て、単行本になったら買って読もうと思い、手に入れた。西部は60年安保闘争の時の東大の活動家だった。その後、東大で教鞭をとるようになって、次には保守の論客となった。
人は何時までも変わらない、そんな訳はないと私も思うが、どのように考えが変わっていったのか興味があった。コロナ騒ぎで家に籠っているのだから、昔を思い出して読んでみよう。それで何?と問われても答えは出てこないが、晩年なんだからこんなものだろう。